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地方・小出版流通センター通信 No.1540(2026/06/22)

 米国で長く親しまれてきた「マスマーケット・ペーパーバック」と呼ばれる安価な作りで使い捨ての出版形態があります。最盛期には6万6000店に卸している最大手のリーダーリンク社が昨年末、マスマーケット・ペーパーバックの取扱いを止めると発表しました。紙は軽くて粗い酸性紙で、すぐに黄ばむわ、厚いので背表紙はすぐに割れるわ、角はすぐに捲れ上るわ、ものを大事にする日本人には理解し難い作りではあるのですが、だからといってマスマーケット・ペーパーバックを読むアメリカ人は本が好きではないということにはならず、むしろ安く、たくさん読みたい人に向けた本で読者を増やしていた存在でした。

 アメリカの書籍販売データを提供しているブックスキャンによると、最盛期の2004年には1億100万冊も刷られていたマスマーケット・ペーパーバックは2024年には1,500万冊まで激減しているといいます。今、アメリカで懸念されているのがその「手軽に安価に」買うオプションが無くなることだといいます。普段本を読まない人の目に触れ、買物ついでに読んでみたり、クレカが持てない若い年齢層が気軽にお小遣いで買うことが出来なくなるということです。

新刊・これから出る本

●名所旧跡のガイドではなく、その場所に染み付いた「人の悩み(理不尽、しんどさ、板挟  み)と「小さな幸せ(猫、約束、おかたじけ)を丁寧に拾い上げ、綿密な時代考証で江戸庶民の姿を描く市井小説。岡田一郎著「ようこそ江戸切絵図の町へ(上)(下)」 各1,300円 アテネ出版社は、しみじみとします。遊女の離縁状、彫師、子猫、縁切榎など、上巻は本郷・浅草・千住・下谷・板橋・音羽。下巻は深川・神田・品川・芝・本所内藤新宿が舞台。上巻(ISBN978-4-908342-16-5)下巻(17-2)。

●1926年にカルフォルニアの零細農家に生まれ、第二次世界大戦時は日系人強制収容所で苛酷な生活を体験した日系の芸術家。ワイヤーから編み作られた独自の彫刻で知られる、美術家、ルース・アサワ、彼女はいかにして世界的な芸術家になったのか? マリリン・チェイス著 石井ひろみ訳「ルース・アサワ−触れるものすべて」3,000円 書肆侃侃房は、近年、再評価が進み、大規模な回顧展が「MoMA」などで行われ、国際的に注目される日系アーティストの詳細で400頁強の伝記です。ISBN978-4-86385-714-8

●軍用地は借地扱いになるため相続税評価額が低く、相続税対策に利用されている。戦争で記録(公図)がなくなった土地・建物も多い。男子・長男相続のしきたりが残っており、それが裏目に作用したり、沖縄ならではの不動産相続問題が沢山紹介されています。友利真由美著「おきなわの不動産相続−ホントにあった24の事例」2,000円 ボーダーインクは、先祖からの財産をしっかり活かすために数々の事例からまなぶトラブル回避法を伝授します。ISBN978-4-89982-504-3

●<9月7日> 嘉手納基地にある旧越来村森根で日米軍の降伏調印式があった。式はわずか1時間。長い長い沖縄戦が公式に終了した。スティルウェル大将が「以上。宿舎に戻ってよろしい」と締めくくった(米陸軍資料)。日本側の3指令官の1人、納見敏郎中将は12月に自決した。〜こんな具合に120文字で表現され、沖縄で地上戦が始まる直前の3月21日から降伏文書調印の9月7日までの出来事が去年の地元紙に掲載されました。琉球新報デジタル本部編「きょうの沖縄戦 1945」1,300円 琉球新報社は、120文字の日誌、172日の証言。ISBN978-4-86764-033-3

●2011年8月初版以来16刷+改訂増補版4刷のロングセラー「不登校は1日3分の働きかけで99%解決する」の続編。森田直樹著「不登校は新コンプリメントトレーニングPLUSで99%治る」1,800円 リーブル出版が出ました。悩むたくさんの家族とともに20年。不登校「完治」に向けての、再発を防ぐ工夫がいっぱいつまった新版。ISBN978-4-86338-437-8

●高校の国語教育解説書として編集された、小田原漂情編著「スーパー読解『羅生門』 名作を深く読んで、国語を知る」900円 言問学舎が出ました。高校一年生で学ぶであろう、「高校国語」への入口として適切な読み物とされる羅生門を、「物語りの筋を追う」だけの視点ではなく論理的にとらえ、高いレベルで解明する詳細な解説本です。ISBN978-4-9913636-3-4

●満州などでの性暴行被害者数百人が、引揚げ港・博多近郊で治療を受けた。女性や孤児らを支えた献身的行為に光を当てた労作。インカ遺跡を発掘した文化人類学者・泉靖一を「災害人類学」の先駆者として再評価します。下川正晴著「新装版 忘却の揚げ史 泉靖一と二日市保養所」2,200円 弦書房は、忘却された「戦後史の穴」=中絶施設・二日市保養所の実態。戦後日本の再生は、ここから始まった。ISBN978-4-86329-328-1

●著者自身も羅患し、体験した乳がん患者から10人に取材、「不安」を「勇気」に変えるメッセージ集。山本桂子著(キャリアコンサルタント)「働き盛りに乳がんになったあなたへ」2,000円 星湖舎は「エール」のような言葉が詰った本。自身もいん頭がんと前立腺がんを経験した「笑顔写真」家・北田敦久さんの写真を添えて元気の出る編集になっています。ISBN978-4-86372-138-8


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