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『戦国朝倉 史跡からのレポート』中日新聞福井支社:吉川博和著・1143円税別・A5判・ISBN978-4-9907285-0-2 推薦文

推薦文・1

松原信之氏(福井市、郷土史家、元県立高志高校教諭)
【越前朝倉氏の研究・吉川弘文館】【越前朝倉一族・新人物往来社】【朝倉義景のすべて・新人物往来社】【福井県謎解き散歩・新人物文庫】など著書多数。

以下、推薦の言葉

 平成25年は一乗谷において本格的な発掘調査が始められてちょうど50年目、また一乗谷が国の特別史跡に指定されてからも40有余年となる。この一乗谷に早くから目を付けて遺跡調査に取りかかったのが約55年前の県立高志高校の社会科研究クラブであった。その後、国の土地改良事業がこの地にもおよび、無数の青磁・白磁・染付の陶器の破片や、一部に金箔を残す阿弥陀如来の石仏などが発掘されて研究者を驚かせた。今は故人となられた、当時金沢大の井上助教授や福井新聞社の青園健三郎氏(福井テレビ会長)らの強い要請によって、昭和46年12月に一乗谷の城戸内の全域と隣接する東新町の安養寺・御所跡を含めた総面積278ヘクタールの広大な区域が一挙に国の「特別史跡一乗谷朝倉氏遺跡」として指定される結果となった。

 本書はこの一乗谷とその地に居を構えて繁栄した戦国大名朝倉氏と家臣団を新聞記者の目を通して巧みな筆致と史料を深く読み込み、専門家の意見を差し挟みながら文章に表したものなのである。ややもすれば難解な字句に左右されて読み辛い向きが多くなるのが普通であるが、本書は高校生や一般の歴史愛好家にも読みやすく、読者を引きつけていることは誠に喜ばしいことである。かつては福井県内の一寒村に過ぎなかった一乗谷も、今や日本における唯一の戦国期の城下町の遺跡として実に貴重な存在となり、戦国史研究家はもちろん、一般の歴史愛好家にも好評となり、毎年多くの見学者を一乗谷に引きつけるようになった。当時の代表的な戦国城下町であった山口市も府中市(静岡市)、甲府市も今は近代都市の下に埋もれていて、発掘不可能な遺跡都市となってしまった中で、一乗谷のみが全国で唯一、中世城下町の遺跡として残されているのである。

 一乗谷朝倉氏遺跡の発掘調査もまだ半分にも達せず、今後一乗城山や寺町であった「道福谷」の発掘調査が進展すれば、おそらく貴重な遺物、遺構が発見されることが期待される。発掘調査が完了すれば、遺構や遺物(現在、一部が国の重要文化財に指定されている)のみならず、広く一乗谷の景観を含めて「世界文化遺産」に指定されることも決して夢ではないだろう。


推薦文・2

岸田清・社団法人朝倉氏遺跡保存協会長

以下、推薦の言葉

 国の特別史跡、特別名勝、重要文化財の三重指定に輝く一乗谷朝倉氏遺跡には年間70万人以上の観光客が訪れます。今や北陸を代表する観光地にも成長しました。今から半世紀も前、そこはひなびた、草深い、谷底平野の寒村にすぎませんでした。まさに隔世の感がします。

 遺跡については多くの研究者らの優れた論文や調査、報告書がありますが、中学生が読んでもわかりやすく、ガイドブック的な要素を備えた書物の出版を待ち望んでいました。その意味からも、本書「戦後朝倉〜史跡からのリポート〜」は私たちの要望にぴったりの書物です。ぜひ、大勢の人に本書を手にとって頂き、朝倉5代国主の足跡や遺跡そのものの魅力を深く理解してほしいと思います。

 特に朝倉氏最後の国主・義景が織田信長軍に追われて落ち延びていくシーンは筆致が冴え渡り、引きつけられてゆきます。そして、朝倉氏の終焉を示す義景の自刃と一乗谷の炎上。さらには、逆臣たちの「因果応報」の結末。本書は単なる歴史解説書にとどまらず、ノンフィクション的な要素を含んだ歴史小説書としても十分に楽しめます。

 朝倉氏遺跡保存協会が自信を持ってお薦めできる価値ある一冊です。この書「戦国朝倉」を手に、あるいはこの書を一読した上で、1人でも多くの人が一乗谷朝倉氏遺跡に足を運んで頂けることを期待してやみません。

以上

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