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地方・小出版流通センター

地方・小出版流通センター通信 No.1260(2011/12/07)

 師走に入りました。全般的にもそうでしょうが、当センターも8月から11月まで連続前年割れが続き、このまま決算の来年3月まで行くのではと予想されます。震災ばかりではなく、世界経済・国内経済の不安定化で労働や生活の新らたな展望を見出しえないことが、社会や人々のさまざまな意欲を縮ましているのだと思います。そして日本は昭和25年生れまでの団塊世代が還暦を過ぎ、少子高齢化時代に明らかに入りました。この数年続く、各地の老舗書店・駅前書店の閉店の要因は、ほぼこれが原因と言って良いでしょう。とともに産業構造の変化による、学術・研究・教育の方向転換、それに関わる人々の減少も出版消費減退の要因です。

◆雑誌が振るわず、書籍を扱うことで採算を採らねばならない時代、ドイツの出版流通が改めて見直されています。欧米は基本的に雑誌と書籍は別に扱う出版流通の歴史があり、日本が最近まで参考にしたきたのは、米国の大規模書店チェーンでしたが、中規模店も含め、書籍販売で食べて行けてるドイツが注目されています。特に、一日で注文品の届く流通システム=取次機能が評価されています。日本も、来年からこのシステムを参考とした「書籍だけで採算の合う」流通の構築が語られるように思います。それは、書店の発注しか届かない、商品アイテムが絞られた、書店仕入をコントロールしやすいシステムです。そして毎日新刊が続々と出てくる日本と違い、季節ごとに予約した新刊が届けられるというシステムです。そして本の価格はほぼ倍近いのではないかと思います。ある方は、これは日本の明治期の書籍流通に似ていると指適します。

 市場の縮小と返品増の苦しみ、いままで利益も資金回転も扱い高も良かった雑誌の不振で、ドイツ式に期待が集るわけです。流通側は、効率の良いこの方法を求めますが、価格面で読者が、そして配布方法で発行する出版社が受入れるのは難しいように思います。しかし、返品減少と流通コストの削減がないと破綻しかねないことも事実で、戦争中の統制会社「日配」のように、物流(納返品共)の一本化や、出版社と書店の直接取引の代金保障するドイツ図書流通同盟の子会社による金融保障代行システムなどは考えられるのかも知れません。

◆かっては5割売れるの作家が残り5割の売れない作家を支え、それが2割が8割になり、直今は極端に言えば1割が9割を支えているのだと言います。最新号の「本の雑誌2011年12月号」648円 本の雑誌社刊の特集「いま作家はどうなっておるのか?」は、昨今の物書き状況を伝えています。かっての水準は、初版一万部。今は3千部もザラとか。そして、新人作家について、かっては五作までは育てる意味で黙って出版したが、それが三作になり、はたまた一作で打ち止めもあるとか。お正月向けの「作家人生すごろくを作る!」は、では21世紀の作家はどうなれば勝ちなのか?を作家人生を疑似体験することができるすごろく。解説対談もいろいろ参考になります。こんなに沢山の作家登竜門となる「賞」があるのか!電波メディアとのコラボの構造など、勉強になります。

 一方、同じ号の三角窓口(読者投稿ページ)の「本の雑誌と町の本屋さん」で電話注文の多かった大船・島森書店さんの閉店。「本を買うのは楽しいが、売るのは難しい!?」という、北陸・金沢の街における中核的<ブックオフ>の閉店。そして別の古本屋や新刊本屋などたて続け閉店という投稿は、地方中核都市の本環境の激変も改めて知らされ、年末に入り、厳しさひとしおです。

新刊・これから出る本

●アメリカのクリスマスの社会史。松谷淑子著「改訂版 アメリカン・クリスマスの誕生−Santaが生れた背景」1,200円 ブケイは、アメリカのクリスマスの成長とサンタクロース像の成立は、アメリカ資本主義の発展の歴史と重なるため、その商業主義が批判されてきたが、アメリカのクリスマスは、一つの文化創造で、アメリカ史の重要な一部ととらます。本書で、ヨーロッパので生れたクリスマスがアメリカのクリスマスへの変化していった変化の過程もわかります。ISBN978-4-9904575-1-8

●英国の詩人・作家ジョージ・マッカイ・ブラウンによるシェイクスピアついてのエッセイ11編。川端彰著「シェイクスピアの余白に」1,500円 あるば書房は、英国のオークニー諸島出身の詩人による、シェークスピア作品の解釈ではなく、シェイクスピアのテキストに触発された作家ブラウンのフィクションです。ユニークなルウェリン・トマスの木版画が配されています。ISBN978-4-9904076-4-3

●無縁社会が広がる中「孤独死防止策の決定打」として改訂された、住民流福祉総合研究所・木原孝久著「支え合いMAP作成マニュアル」1,800円 筒井書房は、地域における孤立を予防し、孤独死を出さないマップ作りの極意を伝授します。ISBN978-4-88720-948-9

●南北戦争勃発150周年の今年。アメリカの20世紀文学を代表する一人であるが著者が南北戦争100周年の時に書いた「最も理知的な評言」と言われるものの再刊です。ロバート・ベン・ウォーレン著「南北戦争の遺産」1,800円 圭書房は、小冊ながら、南北戦争がいまのアメリカを形作った所以、今なほアメリカ人の心を惹きつけてやまぬ理由を教えられる名著。ISBN978-4-9904811-3-1

●日本初公開のジプシー・カード占い。アレクサンドリア木星王著「タロット&ジプシー占い」1,800円 魔女の家BOOKSは、やさしいタロット占い中心の入門書。ヨーロッパで人気のジプシー・カードを多種掲載しています。ISBN978-4-944110-62-9


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