子どもの頃、田舎だったので、学校からの帰り道、春になると田んぼはれんげ草の花畑で、紫色の小さな花のなかで相撲をしたり、遊んで帰るのが日課でした。農家出身の友人に「なんで最近はれんげがないんだ」と聞くと「れんげの肥料としての役割りを化学肥料が代わったのだ」ということでした。
毎年春になると、千葉の実家にできる、竹の子や夏みかんを知人に贈るのが年中行事でした。お返しにいただく知人たちの作品である夏みかんマーマレードは毎日の朝食に使っていました。今年は、千葉の竹の子は放射能値が高くて収穫できません。夏みかんも安全値の範囲とはいえ、数十ミリベクレルはあるので人には送るのはためらいました。
5月も終わりになり春野菜が出来始め、収穫が始まりますが、瀬戸内で引退後野菜作りをしている知人は、福島に住む友人やご近所に届ける野菜の収穫を始めた伝えてきました。せめて、放射線の線量が下がるまでは続けたいということです。いままでは、自宅用に多種類、少量作っていましたが、当分は、少品種に切り替え、多収穫の野菜に集中するとのこと。こんな被災地支援もあるんだと知らされるとともに、当分の間、日本中でこんな助け合いが必要となってしまった、例年とは異なる初夏・田植えの季節です。
●先週亡くなった、吉田秀和さん追悼の記事が目立ちます。日本の芸術・音楽・評論の大御 所、そして実践者としての偉大な方だったことを改めて知らされます。吉田秀和著「言葉のフーガ−自由に、精緻に」2,400円 四明書院は、一世紀近くにわたる著作活動が見渡せるように編まれたコンパクト版。吉田芸術学の全体像とそのブリリアントに魅力があますところなく示されている大冊です。ISBN978-4-9906038-0-9
●地面にいるヒナをみつけたけど、どうしたらいいの? 子どもたちからそう聞かれたとき親子で読んでほしい絵本。和歌山静子作・絵「絵本 ぼくとりなんだ」1,200円 日本野鳥の会は、朝日新聞の生活ページで紹介されました。近くで親鳥が見守っているので、連れ帰らずにそのままにしておくこと。連れ帰るのは「誘拐」です。ISBN978-4-931150-51-5
●16年間に及ぶ原発反対の住民の苦難を描きます。原日出夫編「紀伊半島にはなぜ原発がないのか−日置川原原発反対運動の記録」953円 紀伊民報社は、自然公園になるはずだった町有地がある日突然、原子力発電所の建設用地に。対する住民たちの運動の記録です。福島原発事故が起きて、若い母親達から「紀伊半島に原発はがないのは何故か?」という質問が多く寄せられ、それに応えて、かっての運動の軌跡を淡々と伝えます。かって紀伊半島では関西電力が5ケ所の原発立地を進めていました。ISBN978-4-907841-11-9
●時を同じくして、北海道・札幌の寿郎社から、地方自治と原発のない未来を考えるための一冊として、汐見文隆監修/「脱原発わかやま」編集委員会編「原発を拒み続けた和歌山の記録」1,500円が出ます。若狭湾に集中しすぎる原発を太平洋側にも作ろうと狙われたのが紀伊半島でした。20年を超える激しい攻防の末、三重・和歌山を含む紀伊半島は「原発ゼロ」。両書を読むと1986年のソ連チェルノブイリ事故の衝撃が、原発立地を進める地域の人々にとっていかに大きなものであったのか!が判ります。ISBN978-4-902269-48-2
●年配の読者を中心に大きな反響があり、新聞の「声」欄でも紹介されるようです。細川呉港著「緑の花伝書−花だいこんを伝えた人々」2,200円 中国書店は、焼け野原となった戦後の日本を花で一杯にすることを願って、中国から5つのルートと5つの人生で運ばれた花だいこんの種の物語。半藤一利氏推薦。ISBN978-4-904213-13-1
●品切れでしたが重版が出来ます。石牟礼道子著「はにかみの国−石牟礼道子全詩集」2,500円 石風社は、生類たちのアポカリプス!底流に響く神話的世界が詩という蒸留器で清れつに結露しています。02芸術選奨文部大臣賞受賞。ISBN978-4-88344-085-6
●海外のがん治療、緩和ケア現場での最新ホリスティック事情のレポート。ジェニファー・バラクラフ編・飯野由佳子監修「がん治療のホリスティクアプローチ」3,200円 フレグランスジャーナル社は、エビデンスに基づく医療現場の補完療法とサポート。ISBN978-4-89479-221-0
●6月中旬に重版が出来ます。真実のみを記録する会編「自然対数の底1000000桁表」285円 暗黒通信団は、自然対数の計算プログラム(そして検算プログラム)から生れた本です。数学マニアが増え、問合せ多数なので重版します。ISBN978-4-87310-088-3