急に暖かくなりました。もう桜が咲きはじめた東京ですが、今週から首都圏の一大ターミナル「渋谷駅」が変わり騒がしく報道されています。しかし東横線や新都心線から、JRへの乗り換えは、余裕をもって10分は見たほうがいいようで、便利になった方も不便になった方も出てきそうです。なにせ、地下5階から地上2階まで移動する方もいるわけです。あくまでも、今回は「渋谷駅」や直通運転による乗り換えが便利になったという交通の変化で、これに伴い再開発される「渋谷の街」が出来るのはあと10年位かかりそうです。再開発で「書店空間」は生れるのでしょうか? ちなみに、今回の地下ターミナルの上の「渋谷ヒカリエ」に本屋はありません。
海外ニュースを見ていたら、アメリカで「小さな図書館」が急増しているということです。この4年で5千ケ所にものぼるとか。自宅の前に郵便ポストのような書棚のケースを建て、そこに自分の本を並べておくというもので、子どもから一般社会人まで、利用は無料で、一冊返したらもう一冊自分のお奨めの本を寄贈するのがルールだとか。アメリカでは「Little Free Library」と呼ばれ、「文学の井戸端会議」などとも例えられているそうです。小さな時に母親に読みきかせをしてもらった体験のある男性がお母さんの死後、懐かしみ始めた試みが全国に拡がっているそうです。日本では「家庭文庫」や「母親文庫」の歴史がありますが、公共図書館の発達したアメリカで何故、いま、このような文庫活動のようなものが始まるのか? 地域のコミュニケーション作りとか、お年寄りの新たな生きがい作りとか、言われています。先日紹介した長野の小布施町立図書館は「街じゅう図書館」と呼称し、町のお店の中に「小さな図書棚」設置を始めていますが、これもコミュニケーションやつながりを求めてのようで、成熟した先進国共通の本や読書の動きようにも感じます。
●なにが起こっても不思議でないフィリピンの最貧困地域に13年前にクリニックを開院、てんやわんやの助産院、泣き笑い奮闘記。冨田江里子著「フィリピンの小さな産院から」1,800円 石風社は、ドキュメント「海を渡ったサムライ&なでしこ」にも紹介されましたが、近代化の風潮と伝統の風習のはざまでの悪戦苦闘の記録。ISBN978-4-88344-184-6
●明治初期から昭和初期までの教師や医師の発言、学校や軍隊、同窓会関連の書類、受験雑誌、性雑誌を渉猟し、当事者にインタビューし、<男子学生の性的身体の管理の歴史>を解明。澁谷知美著「立身出世と下半身」2,600円 洛北出版は、「日本の童貞」(文春)の著者が、少年たちを管理した大人と管理された少年たちの世界を探究し、まとめた本。ISBN978-4-903127-18-7
●佐賀の出門堂から、深瀬泰旦著「伊藤玄朴とお玉ケ池種痘所」3,333円が出ます。佐賀藩医・伊藤玄朴を座標軸に東大医学部の起源とされるお玉ケ池種痘所設立に尽力した多くの蘭方医たちの苦心と開設前後の軌跡を検証します。ISBN978-4-903157-14-6
●小さなチムとのっぽのターク、きょうはなにしてあそぶ?なかよし二人がくりひろげるゆかいなお話が8つの絵本。岡信子作/柿本幸造絵「おはなしチムとターク」1200円 リーブルは、小さいサイズで持ち歩きやすく、おやすみ前の読み聞かせにもピッタリ。ISBN978-4-947581-72-3
●<ほんとうの琉球の歴史U>です。渡久地十美子著「尚円王妃 宇喜也嘉(おぎやか)の謎」1,500円 ボーダーインクは、目的のためなら手段を選ばない非情な女-尚真王の生母の犯した罪と受けた罰とは?「琉球王国の光と影」が見る著作。ISBN978-4-89982-253-6
●著者は世界45ケ国を俳句や短歌を詠みつつ桜を追って旅しました。峰村剛著「桜は今、世界のどこかで咲いている」1,900円 考古堂書店は、<春三月桜桜のバンクーバー><ダージンヒマラヤ桜咲きそめて雪の山々光輝く>などと詠み、写真付きで各国の桜を紹介。そして日本一のつく国内の桜紀行も。世界の桜の開花月別表も。ISBN978-4-87499-803-8
●河川堤防の特徴と被災の実態を紹介し、地盤性状の異なる河川事例も紹介しながら、物理探査をグラフィックに解説します。(独)土木研究所・(社)物理探査学会編著「河川堤防の統合物理探査−安全評価への適用の手引き」2,800円 愛智出版は、山と川のきわめて多いわが国の、河川堤防の質的整備の推進のための一助にと。ISBN978-4-87256-505-8
●ラジオ等出演多数。わらべ唄・昔話・謎かけなどの伝承の第一人者で最後の伝承者・安倍ヤエ(遠野市)と木の葉の子どもの対話「生きつづけるということ」1,500円 青風舎は、知恵と生きる力があふれ、子育て・人育ての方法がいっぱい詰っている珠玉の対話集です。ISBN978-4-902326-40-6
●韓国で70万部のベストセラーだそうです。クオンピヨン著/斉藤勇夫訳「(トッケオンジュ)」2,400円 かんよう出版は、一世紀もの間人々の記憶から忘れ去られていた、朝鮮王朝最後の皇女・徳恵翁主の物語。今を生きる我々の心に、日韓のはざまで時代と歴史に翻弄された女性の生き方が悲しく反響します。ISBN978-4-906902-12-5