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地方・小出版流通センター

地方・小出版流通センター通信 No.1308(2013/08/08)

 先日、ラジオ深夜便という番組で、画家・絵本作家でもある俳優の米倉斉加年さんが戦時中の話をしていて、戦時色が蔓延する中でも、当時、翻訳刊行されていた童話や民話は統制されず自由に読めたことが、暗い世の中で、子どもたちにとって慰みであり、喜びであり、生きる糧をくれたということを話していました。それは、ドイツのグリム童話であり、イタリアのピノキオであり、加えて戦前でも結構、翻訳紹介されていた東南アジアの民話などでした。

 今年は「グリム童話」が誕生して200年の記念の年です。小沢昔ばなし研究所から、小沢俊夫著「グリム童話集200歳−日本昔話との比較」1,800円 (2012年6月刊、ISBN978-4-902875-48-5)と同じ著者の講談社学術文庫の復刊版「グリム童話考」1,400円(2013年5月刊、978-4-902875-54-6)が出ています。

 また東京子ども図書館の雑誌「こどもとしょかん138号2013年夏号」710円では、グリムの研究者であり語り手でもある吉原素子さんの「グリム兄弟がめざしたもの−語り手のためのグリム童話入門」は読ませます。吉原さんは「グリム兄弟は民間メルヒェンに語り継がれ、語り込められれてきた人間の本質、生きぬく知恵や力を、とりわけこれから生きぬく子どもたちに手渡したかったのかもしれません。おかげで200年後の今を生きる子どもたちも、グリム童話を楽しみ、心の糧をいただくことができることになったのでは!」と結んでいます。米倉さんの話とも通じるのではないでしょうか。

 グリム童話は、「グリム兄弟によって収集された子どもと家庭のメルヒェン」ということです。「メルヒェン」とは中世ドイツ語の、人々が語り伝える出来事や知らせという「メーレ」という言葉と、小さい、短いという「ヒェン」がついて、「取るに足らりない、信ずるに足りない、ありそうもない」(価値が小さい)という意味が付加されて「口伝えの短い、ありそうもない話」が語源から見た意味。しかし、この民衆が伝えてきた価値の低い話が19世紀に入り、ロマン派の詩人たちにより、文学の最高の形式と看なされるようになり、200年も読まれ続けています。「ピノキオ」もイタリアで1883年に発表され130年もの間読まれている物語です。

◆8月14日・15日(水・木曜日)お盆休業とさせていただきます。

これから出る本・新刊案内

●60年に一度の大遷宮、その期間は8年間に渡り、今年で5年目になります。地元紙ならではの密着取材で、その過程を写真と、紀行作家・伊藤ユキ子さんの文章であますところなく伝える永久保存版が刊行されます。監修:錦田剛志(鳥取県神社庁参事)「出雲大社平成の大遷宮」3,000円 山陰中央新報社は、本殿遷座祭と奉祝祭の写真をメーンに、支える匠たち、出雲大社創建の由来・歴史、写真で見る昭和の大遷宮、宝物、祭礼・神事、出雲大社と伊勢神宮等豊富な内容となっています。ISBN978-4-87903-175-4

●里山からアルプスまで信州の山全て。アプローチや登山口から山頂までのポイントを目的に絵地図にして安心登山が出来るように工夫された「絵地図登山ガイドブック」、宮坂七郎著「信州の山 北信・東信209山」(978-4-88411-116-8)と「信州の山 中信・南信221山」各2,000円(978-4-88411-117-5) 信毎書籍出版センターは、画期的な山歩きのツール。信州(長野県)にある登山可能な山をほぼ全部を案内します。

●松江城下町発掘調査に携わった著者による最新の調査・研究から松江城と城下町の姿に迫ります。石井悠著「松江城と城下町の謎にせまる−城と城下の移り変わり」1,200円ハーベスト出版は、城下(町)の設計、道路網、天守の特徴・築城の工夫と謎、石垣から読みとる歴史等、発掘によって明らかになった当時の姿や役割などを甦らせます。ISBN978-4-86456-067-2

●利根川が流れる場所を変えられた「変流工事以前」の手賀沼を中心とした鹿島地域を復元します。千野原靖方著「手賀沼をめぐる中世(T)−城と水運」900円 たけしま出版は、中世(1400年代)、手賀沼沿岸の大地に築かれた城々に拠った諸豪族らの動向と、水辺の城、沼の水運の役割を検証。「手賀沼ブックレットNo.2」です。ISBN978-4-925111-45-4
同時に刊行で「手賀沼ブックレットNo.1」として相原正義著「元漁協組合長深山正巳による一つの手賀沼」1.000円も出ています。手賀沼の語り部と誰もが認めるジジイの手賀沼研究行脚の集大成。ISBN978-4-925111-46-1

●秀吉の中国攻めに立ち向かった同地の武将と攻める秀吉勢、双方の視点から、「侵略者としての秀吉」の実像を描きます。長浜市長浜城歴史博物館編「秀吉に備えよ!!−羽柴秀吉の中国攻め」1,800円 サンライズ出版は、現在開催されている、長浜城再興30周年記念特別企画展図録として作成されました。古絵図、書状、制札などをカラーで掲載。ISBN978-4-88325-513-9

●マウリ・クンナス作/いながきみはる訳「ぐっすりメーメーさんとあらくれアリー」1,800円 猫の言葉社は、街に移動遊園地がやってきた。オートパイで芸をみせるあらくれアリーは、78台のくるまを飛び越える芸に挑戦。世界中で読まれているフィンランドの絵本作家の楽しい新刊。ISBN978-4-904196-11-3


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