最近は全国紙(朝日・読売・毎日など)でも、地方(大都市以外)では夕刊がなくなっているので、読まれていないかも知れませんが、9/10の朝日新聞夕刊の「文芸/批評」欄で「詩人は社会とどう向き合うか−震災・原発事故−−表現するか距離置くか」という、二人の詩人からの聞き書き取材の記事が載りました。東日本大震災を主題に、大量の詩や歌が書かれました。これらに対して、詩人と社会との関わりをめぐって、現代詩の世界で熱い論争が引き起こされたことを巡っての記事です。福島の和合亮一さんなどの「震災詩」を評価するのは、詩人の藤井貞和氏で、「低調で行き詰っている現代詩の世界が動いていくことに意味があり〜中略〜福島の詩人たちは書かれるべき内容を、表現の幅や広がりという面で作品が貧しくなることに耐えながら書いている」と主張します。
一方、詩人荒川洋治さんは、「震災後の文学特需のような事態を『詩の被災』」と指適します。「一部を除くと、垂れ流された震災詩が『そうか詩ってこの程度のものだったのか』と人々を失望させる恐れがあるからだ」と。「80年代以降、現実社会を否定するよりも、目の前の快楽が重視されるようになり、詩も社会性を失っていった。〜中略〜 震災詩の書き手は無意識に『多数派』を指向してなかったか。詩の言葉は少数の人に深く鋭く入っていくことに意味がある。詩人がみな多数派を指向したら、表面的な心地よい言葉が愛され、深く考えて発せられた言葉が軽んじられる危険がある」と語ります。詩ばかりでなく、表現の世界の「いま」も同様に語られているようで考えさせられます。
●「1つの野菜で、こんなに色々作れる!」と大好評だった、『野菜のミニおかず210』の第2弾。「1種類の野菜で作れる」コンセプトはそのままに、第1弾には収録できなかった、豆苗やゆり根などの野菜も載せて、レシピ総数は222品。ベターホーム協会編・刊「もっと野菜のミニおかず222」1,000円は、野菜のあいうえお順で掲載しているから、レシピがすぐに探せます。「持ち寄りパーティにおすすめの野菜おかず」、「夏・冬それぞれにオススメの野菜常備菜」など、シチュエーション別の活用法や野菜の使い道を広げる、お楽しみレシピも掲載。ISBN978-4-904544-31-0
●大河ドラマ「軍師官兵衛」の主人公のキリスト教的評伝。雜賀信行著「キリシタン黒田官兵衛 上」1,400円 雑賀編集工房は、官兵衛がすぐに、信仰を捨てたという通説を覆えします。キリシタン禁制時にその証拠を消し去ろうとした黒田家による隠蔽工作や、キリスト教への偏見によってこのような通説が醸成されたといいます。有名作家によって描かれた官兵衛像を取り上げ、誤解や問題を再検討します。ISBN978-4-906968-01-5
●「三びきのやぎのがらかせらどん」の著者マーシャー・ブラウンが絵本製作の真髄に迫る、1990年代に行った二つの講演の翻訳刊行。マーシャ・ブラウン著/松岡享子・高鷲志子訳「庭園の中の三人/左と右」1,200円 東京子ども図書館は、子どもたちに長年読み継がれてきた絵本の作家たち−バートン、エッツ、ガアグについてなどについて語ります。子ども図書館「レクチャーブックス」の一冊。ISBN978-4-88569-031-0
●探偵小説を育んできた神戸という街。野村恒彦著「探偵小説の街・神戸」1,600円 エレガントライフは、ミステリー愛好家であり読書家の著者が、創作探偵小説揺籃期から現代まで、多くの資料と体験に基づき、神戸に関連するミステリーを紹介。江戸川乱歩、横溝正史などの逸話、酒井嘉七、戸田巽など神戸在住作家の活躍も描く珠玉のエッセイ集。ISBN978-4-906369-01-0
●満州に残した子どもたちを早く日本に迎えなくては!と、生涯を残留孤児たちの肉親探しにささげた僧侶の感動の物語。和田登著「望郷の鐘-中国残留孤児の父・山本慈昭」1,200円 しなのき書房は、吉川英治文化賞を受賞し1990年に88才で亡くなった生涯を生い立ちからたどります。ISBN978-4-903002-44-6
●脳を活性化して、手軽な健康づくりや大人の遊びとして復活している<お手玉遊び>。山本清洋編「新しいお手玉の世界」1,500円 南方新社は、いま静かなブームとなっているこの世界を紹介。お手玉演舞など奥深い遊びの世界を伝授するとともに、創作お手玉遊び15種類も収録しています。著者は体育学の先生です。ISBN978-4-86124-275-5
●1983年初版の本ですが、朝日新聞読書欄「思い出す本・忘れない本」で漫画家の藤子不二雄さんが紹介して、急遽増刷しました。柏原兵三著「長い道」1,900円 桂書房は、北陸の海沿いのある村に縁故疎開した少年が、土地の子どもたちからさまざまな屈辱を味あわされた、生々しい体験を描きます。ISBN978-4-9053645-38-1
●帝政ロシアから近代に至るまでのロシア文明の全体像を明解に描ききった初めての書物としてユーラシア研究者・杉山正明京大教授は読売誌上で絶賛です。デイヴィド・シンメルペンニク=ファン=デル=オイェ著/浜由樹子訳「ロシアのオリエンタリズム」4,000円 成文社は、素晴らしい読み応えある著作。ISBN978-4-86520-000-3
●「密航」「救急指定 私立S病院」等のドキュメンタリー、そして、伝説の若者番組「YOU」を生み、黎明期のNHKドキュメンタリーを作ってきたディレクター・萩野靖乃著「テレビもわたしも若かった」2,000円 武蔵野書房は、テレビの青春時代に彼は何を見たのか?渾身のドキュメンタリー論。著者没後一年の記念出版。ISBN978-4-902269-64-2