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地方・小出版流通センター

地方・小出版流通センター通信 No.1247(2011/06/07)

 政治の混乱が続き、「強い指導者」を求める、「きな臭い雰囲気」が漂い始めています。

 昨年の夏頃から「無縁社会」というものが問題となり、遺族による年金の不法受給や姥捨社会など家族の希薄化が社会問題となりました。藻谷浩介氏の「デフレの正体」が売れはじめたりもそのころからですが、すでに4、5年前からこの方の発言は注目されていました。郷土の歴史・文学・自然・芸術などが主体の地方出版物への需要が減少しはじめたのも、そのころからです。これは地域の老舗の書店の撤退とほぼ時を同じくします。

 そして3.11で東北沿岸の被災地の自治体の現状が明らかになるにつれ、人口減少社会の「実像」が具体的に見えてきます。そして、かっての戦後の貧しい東北や関東ではなく、近代社会に変容して様々な課題を持つ地域が見え始めました。農業・漁業・工業・商業と産業個々異なり、その建て直しは、決して「復旧」ということだけでは解決できないことが見えてきています。その地域の実態と将来像を考えるに資する著作物がもっと出てこないか? と期待しています。

6月4日(土曜日)から7月10日(日曜日)まで、首都圏で活躍する17社の地方出版社の仕事を紹介する展示会「関東の地方出版・全仕事−地域文化を耕す20年とこれから」が明治大学図書館ギャラリー(駿河台)で始まりました。各社の代表的な出版物やいままでの仕事の概略を紹介、代表的出版物、絶版になっている書目などと、テーマ展示として栃木の足尾銅山関係資料と、千葉の利根川関係資料が紹介されています。明治大学図書館が開いている時間帯は見学可能です。また、6月11日から7月10日まで、三省堂書店本店4階で、首都圏出版人懇談会加盟社のブックフェアー(即売会)も行います。首都圏の方々はご来場を。

新刊・これから出る本

●日本経済新聞土曜版「NIKKEIプラス1」の連載をまとめたお料理シリーズの第5集が出ます。ベターホーム協会編「かんたん美味5」1,200円 ベターホーム出版局は、毎日のおかずから、酒のさかな、デザートまで、かんたんで美味しく、気のきいた102品のレシピや調理のヒントがつまっています。ISBN978-4-904544-17-4

●出版産業シンポジウム2010の全記録。第一部「本の消費の現場で何がおきているか?」第二部人文書ワークショップ、デジタル時代取次はどこに向かうのか?書店の中古販売の実際を聞く、出版デジタル化の流れを再整理するという4つの分科会を紹介する、本の学校編「出版デジタル化の本質を見極める」2,400円は7月に出版メディアパルから。 ISBN978-4-902251-51-7

●欧米をモデルとして進められてきた食生活の革命は近年、生活習慣病、アートピー、がんの激増となって答を示しています。島田彰夫著「伝統食の復権−栄養素信仰の呪縛を解く」1,500円 不知火書房は、日本人が数千年かけて築き上げてきた「食生活の体系を再構築」することが、健康回復の手かがりになることを示す論考。ISBN978-4-88345-023-7

●2010年5月から7月に「沖縄の米軍基地」共通テーマに一般公募した論文をまとめた、沖縄県対米請求権事業協会編・発行「私たちの考える『沖縄の米軍基地』1,400円 ボーダーインク発売は、沖縄に暮らす老若男女が考える、沖縄米軍基地の現状と問題・未来への提言集、問題解決のためのコンセンサスをづくりを目指したものです。ISBN978-4-89982-203-5

●幻の自伝的作品の初の単行本化。谷内六郎著「北風とぬりえ」1,600円 天野祐吉作業室は、絵と文でつづる少年の日々。切なくて、おかしくて、美しくて。昭和の日本を通して、日本人の原像を描き続けた天才のが昭和初期の空気をみずみずしく甦がえらせます。ISBN978-4-905016-03-8

●原発ある限り、避けられない第2の福島。橋爪健郎編著「九州の原発」2,000円 南方新社は、九電玄海原発、九電川内原発という九州の原発を知る格好の手引書。地震が襲った、放射性廃棄物、事故の日常化、プルサーマル,新規立地策動など。ISBN978-4-86124-217-5

●カフェイン、エタノールやニコチンは生理活性物質を含み、適量であれば、健康の増進を図ります。青島均著「嗜好品の香りと健康−香りで健康に過ごそう」2,500円 フレグランスジャーナル社は、嗜好品の香りを最新科学で検証し、その指針を示します。 ISBN978-4-89479-202-9

●オペラの作曲活動をしてきた著者が千葉の音を聴き歩き感じたことは、百年前の人間の耳と現代人の耳を比較して、現代人の耳がいかに退化しているかということだと言います。仙道作三著「ちば音の風景」1,200円 崙書房は、毎日黙っても強引に入ってくる騒音と楽音を千葉から房総へ訪ね歩き、百年の時空間の変化も踏まえて、個人の趣向で仕訳けた民俗学的音風景の著作。ISBN978-4-8455-0199-1


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