トップページ地方・小出版流通センターサイトマップ


地方・小出版流通センター

地方・小出版流通センター通信 No.1252(2011/08/16)

 お盆休みも終わり、秋風が吹き始めました。今年のお盆や終戦関係の行事は地震・津波・原発災害を経ただけに、過去そして未来を知り、感じ、考えさせられる重たいものがありました。

 九州・筑豊の炭鉱画家山本作兵衛さんの仕事で、この度「ユネスコ世界記憶遺産」になったものは、田川市石炭・歴史博物館が所蔵する絵画585点、日記、雑記帳や福岡県立大学が保管する絵画4点、原稿など697点です。かって福岡の葦書房から昭和48年に刊行された「筑豊炭鉱絵巻」を底本として、絵は一点一頁として、カラー画を大幅増やし、炭鉱画の全体を俯瞰できるように編集し直した、「筑豊炭鉱絵巻−新装版 山本作兵衛・画文」(ISBN978-4-87415-827-2)6.500円が福岡の海鳥社から10月に発行されることになりました。B5判・横開き 総頁286頁、絵・カラー96頁、モノクロ88頁、筑豊炭鉱絵巻/筑豊方言と炭鉱言葉/自筆年譜など文章102頁で構成されている、決定版です。

 山本作兵衛さんは、明治39年に炭鉱員となり、採炭員や鍛冶工員として筑豊各地の炭鉱で働き、その合間に日記や手帳に炭鉱の記録を記して、記録文は昭和27年頃から、記録画は昭和32年頃から描きはじめました。余白に説明文を書き加える手法で千点以上の作品を描き昭和59年に92歳にて亡くなりました。

 いま売れている佐野眞一著「津波と原発」(講談社)のなかで、おなじエネルギー産業に従事しながら石炭産業からは「炭鉱節」が生れたのに、原発労働者からは「原発音頭」は生れなかったのは何故か?と問うていますが、その答はこの画集からも読み取れるように思います。薪からはじまる人間のエネルギー獲得の歴史化は、石炭、石油、そして原子力と進化してきました。そして、人間の姿が見えていた、ほぼ100年に及ぶ石炭産業で生きた人々の労働や生活をこれほど生き生きと伝えるものはないように思います。

新刊・これから出る本

●クリニカルハーバリストの第一人者がシニア向けハーブ療法の奥義を公開。デービット・ホフマン著/飯嶋慶子訳「50代からのハーブ活用術−ハーブのホリスティクな働きと役割」2,500円 フレグランスジャーナル社は、老化に伴って現れる肉体の変化や機能の衰え、高血圧、不眠、静脈瘤や関節炎などの様々な体の不調や疾患について消化器系など体の組織ごとに詳しく解説し、予防し、健康維持するためにハーブを安全に効果的に利用する活用法を紹介。ISBN978-4-89479-206-7

●来年のNHK大河ドラマ「八重の桜」の主人公・新島(山本)八重は会津出身で戊辰戦争を闘った女性です。「改訂 会津鶴ヶ城の女たち」1,000円 歴史春秋社は、あの戦争で八重など篭城した女たち、自刃した女たち、そして避難した女たち、それぞれの戦いぶりを描いた幕末史のロングセラー。ISBN978-4-89757-111-9

●フィンランドを代表するセラミックアーテスト・ヘルヤ・リウッコ=スンドストロム文・陶板、稲垣美晴訳「地平線のかなたまで」1,600円 猫の言葉社は、後足に障害のあるものの強い前足のお陰で仲間助けをしたり、大活躍の子うさぎ君の冒険を陶版の絵で描く美しい絵本。フィンランド政府児童文学賞受賞作。ISBN978-4-904196-07-6

●台湾映画はその特有の歴史的文脈に結びつけられて語られることが多いが、それにとらわれることなく、台湾・大陸中国の監督作品を読み解く、星野幸代・洪郁如他編「台湾映画表象の現在(いま)−可視と不可視のあいだ」3,000円 あるむは、微光と陽光の修辞学−台湾ニューシネマから電影時代へ、転位する記憶と記録−台湾ドキュメンタリーの現場の二部構成で最新の台湾映画論を展開します。ISBN978-486333-045-0

●NPO法人城郭遺産による街づくり協議会編「戦国時代の静岡の山城−考古学からみた山城の変遷」2,400円 サンライズ出版は、8つの城の事例を基に、出土遺物 ・遺構から得られたデータを駆使し、それぞれの城の時代別変遷を考察します。ISBN978-488325-450-7

●推定100万人に迫ると言われる化学物質過敏症(CS)患者。安立和郎著「化学物質過敏症を工夫で乗りきる1−住まい対策実践編」1,800円 アットワークスは、化学物質過敏症発症者が、安心して暮らすための実用情報。多くの体験者情報を基に重要情報・注意点・改善対策を提示します。ISBN978-4-939042-74-4

●日本のなかでも特異な発展過程を経て成立している琉球のヒトと文化はどこから来たのだろうか?吉成直樹著「琉球の成立−移住と交易の歴史」2,800円 南方新社は、琉球弧の南方島嶼世界、中国、朝鮮など日本の東シナ海周辺域に起源を持つヒト集団が来着することで、文化・社会が定着・発展してきた姿を丹念にたどります。ISBN978-4-86124-214-4

●親子で手軽に楽しめる野あそびを90種以上掲載した、自然ウォッチングセンター著「親子おでかけ北海道 野あそびブック」1,500円 亜璃西社は、草花・木の実・五感・虫・川・海、冬あそびの7ジャンルに分け、イラストをふんだんに使ってわかり易く解説しています。著者は1992年設立以来、自然観察会、自然体験プログラムなどを通して自然への理解を深める活動をしている市民組織。ISBN978-4-900541-92-4

●中国地方5県を代表する37か寺が加盟する「中国観音霊場会」。その寺院の仏像を中心とした寺宝が展示された鳥取県立古代出雲歴史博物館で行われた、このブロックの仏像をまとめて鑑賞できる初めての展覧会の図録。鳥取県立古代出雲歴史博物館編「観音巡礼-中国路の古寺と仏像」1,429  円 ハーベスト出版は、重要文化財や秘仏とともに会の活動や各寺院の紹介も併載。ISBN978-4-86456-007-8


本のご注文について

★一般読者へ。できましたら最寄の書店でご注文ください。その際、書誌名・発行所とともに「地方・小扱いです」と書店員の方に告げてください。またネット書店でも扱っている場合があります。
お急ぎの方は当社でもご注文をお受けします。コチラをご覧になりFAXにてご注文ください。
★書店様へ。当センター扱い商品は「注文制」です。お取引取次店へご注文いただくか、弊社ファックス(03−3235−6182)にて、帳合・取次・番線・書店コードを明記の上、ご発注ください。よろしくお願いします。

トップページ地方・小出版流通センターサイトマップ