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地方・小出版流通センター

地方・小出版流通センター通信 No.1254(2011/09/14)

 秋野菜、冬野菜を仕込む(種まきや苗作りをする)、夏の終わりから秋にかけての一週間の遅れは、収穫時には一ケ月の遅れとなり、収穫出来ない場合もあると、百姓をやる友人は言います。この台風が全国を巻き込んだ先週の影響が収穫を大きく左右する地域も出そうです。

 「何をいまさら」「書生っぽい」と言われそうですが、倒産して復活したあの筑摩書房の70年を記録した本が2点が刊行されて、それをネタに仲間うちで「良書とはなにか?」という議論をしました。昨今の軽いものが闊歩する出版状況であらためて考えてみると寂しい感は逃れませんが、ちょっと楽しくありませんか?ある方は、「良い本」とは何か、簡単に定義できないからこそ、その絶えざる具体的な回答として、実際の「本」造りがある、と言います。また、ある方はみすず書房の本を例に「この本を出すことについて納得出来る論拠がしっかり定まっている、作品としての本の行く末を見つめているという感触がある」というようなものを形容する言葉として「良書」ということばがあると言います。一方、ある方は、ここまで言っていいのかとも感じますが、「良書」とは言わず、「百年読まれる本」を作りたいと言います。「百年」図書室にあるということではなく、実際に読者に百年読まれ続けるということを意味するそうで、身近なところでは、「ピータ・ラビット」は数年前に刊行から百年迎えたそうです。

 千年に一度の大災害の年、私どもの扱う出版社が出す本のなかで百年先に残る本はどんな本か?良書は多く出されるか?など思いを巡らし、読書の秋に突入です。

 国立国会図書館は、法定納本制度により収集した国内刊行資料の書誌情報を作成し、NDL−OPACやJAPAN/MARCとして提供してきました。いままでは有料かつ限定的でしたが、今後この書誌情報を迅速かつ無償で公に提供する「公共的書誌情報基盤ブロジェクト」が推進されはじめています。いままで納本後、「日本全国書誌=JAPAN−MARC」への反映は数ケ月かかっていましたが、第一段階として昨年10月より、納本後2日から3日でホームページに公開されています。このデータはテキストファイルで60日程度アクセス可能で、ファイルをダウンロード可能です。第二段階としては、今年1月から国立国会図書館サーチでの提供が試験的に始まり、新着図書の検索やRSS配信機能により「新着図書」の情報受信が可能となっています。このサービスは24年1月より本格稼働を目指していて、試験版で提供されている13項目の書誌データになかつた項目が追加され、より充実したものになる予定です。

 さまざまな機関(図書館、流通・販売業者、情報処理・研究機関等)が利用することになります。発行者や著者にとって、スピーディな出版情報の公開手段が増えることになり、販売現場でも利用できます。詳しくは国会図書館のホームページ、NDL−OPAC(国立国会図書館蔵書検索システム)を参照下さい。

新刊・これから出る本

●絶大な人気を誇り、「秋田名物」にまで成長した<ババヘラアイス。その謎につつまれた歴史とルーツを沖縄・高知まで取材した業界タブーに肉迫するルポルタージュ。あんばいこう著「ババヘラの研究」1,500円 無明舎出版は、なぜこのアイスが秋田で生きのこったのか?その衝撃の理由にも迫ります。ババヘラ誕生の日、ハバヘラという仕事、売り子たちの舞台裏、路上のゲリラたち、などなど。ISBN978-4-89544-541-2

●沖縄シャーマニズム・ユタ学入門書。浜崎盛康編著「ユタとスピリチュアルケア−沖縄の民間信仰とスビリチュアルな現実を巡って」1,800円 ボーダーインクは、ユタ信仰をスピリチュアルケアという観点から各研究者が概説。ISBN978-4-89982-210-3

●中国版キャバ嬢「小姐」にモテる秘訣。あの日本企業が中国で成功しない方法など、著者が実際に体験した実話(ホスト体験)をもとに語られる中国社会像・人々の姿。小山史著「上海でホストになったボクの夢のような100日間」1,300円 ナナロク社は、爆笑「水場」の中国論。他に、上海ホストはタンクトップで接客中!?、上海の仁義なき、地域差別など。ISBN978-4-904292-12-9

●現代ドイツの生命倫理学の代表研究者、M・クヴァンテの世界で唯一のヘーゲル行為論についての単行本の邦訳。ミヒャエル・クヴァンテ著、高田純他訳「ヘーゲルの行為概念−現代行為論との対話」 4,200円 リベルタス出版は、2004年にケンブリッジ大学から英訳本が出て国際的評価を得ているもの。ISBN978-4-905208-01-3

●大井美知男・市川健夫共著「地域を照す伝統作物」2,300円 川辺書林は、信州の伝統野菜・穀物と山の幸の品種特性、栽培、加工の解説に加え、戦国、江戸、明治、昭和と時代別の史実や社会情勢、伝播・盛衰の歴史にも言及。これから地域を照す宝に注視する企画。掲載写真280枚。ISBN978-4-906529-68-8

●毎年日本の現代音楽の第一線の作曲家の作品をニューヨークに招いて紹介する「ミュージック・フロム・ジャパン音楽祭」。福中琴子著「未知への旅」2,000円 洪水企画/発行、草場書房/発売は、この音楽祭の35年の歴史を軸に、音楽創造の秘密に迫る渾身の音楽評論集。60年代以降の日本音楽創造の核であった祭とのこと。ISBN978-4-902616-41-5

●城南信用金庫理事長吉原毅氏など「3.11東日本震災で何を感じ、何を考えたか?」そんな質問に寄せられた40人の声。柳田邦男、稲本正などの「自然」と「子ども」の力にスポットを当て、身近な視点から考える。そして、いま注目すべき生き方をしている徳永進、戸井十月の生き方をインタビューした、MOCプロジェクト編・刊「MOC2 いのちは生きるほうへ向かう」1,238円は、生きるを考えるライフスケープ・ブックとして発行します。ISBN978-4-9055539-00-1


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