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地方・小出版流通センター

地方・小出版流通センター通信 No.1276(2012/07/26)

 高野肇著「貸本屋、古本屋、高野書店」1600円 論創社という本が出ました。神奈川県古書組合35年史」を編纂した著者からの聞き書きです。この中で、地域の古書店が潤った60・70年代の郷土史ブームの時代の証言があります。各地で市町村史の編纂が盛んになりそのための資料を公官庁や郷土史研究家が求めて、古書市場は結構賑わったということです。それも、図書館や大学という組織より、個人の郷土研究家が沢山いて、その方たちが主要なお客であったというのは、恥かしながら認識不足でした。市町村の教育委員会などから委託された研究者が、市町村史を書いていたわけですが メインは組織が買い集めた資料や、保存されていた官公庁文書によると推測していましたが、この時代は底辺に市井の研究者が多くいらして、それらの人々が、80年代以降の地方出版社による郷土関係書や歴史書の資料提供者であり、書き手でもあり、読者でもあったということを改めて認識させられました。

 あれから40年以上経ち、震災後、改めて地域コミュニティー確立への気運がありますが、その一助として、この時代に編まれた刊行物が役立って欲しいと思います。貧しさから貸本を借りた時代から、置き場に困るので、レンタルやブック・オフがそして新刊本・古書(ユーズドブック)併設書店と変わっている昨今、新刊本外の市場を見てきた著者の証言は、いろいろな時代・場面で考えさせられます。本書によると、著者が店を営む神奈川県内の貸本屋数は最盛期の1953年〜60年が538店、それ以降減少を続け、1976年から80年は49店にまで減少したとのことです。

これから出る本・新刊案内

●「三銃士」「王妃マルゴ」など歴史小説で有名なアレクサンドル・デュマが19世紀,前半のフランス社会を背景に取り入れて描く壮大な復讐譚。大矢タカヤス訳「モンテ=クリスト伯爵」3,800円が新井書院から一冊本・1487頁という超厚い本で出ました。1844年の連載以来今日まで、世界中で読み続けられている大衆小説の一級品の新訳です。新井書院は活字が大好きな新規の出版社で、今後イタリア・フランス文学の翻訳書や分類学、音楽関係書を出してゆくそうです。ISBN978-4-903981-01-7

●地方都市・福岡で、志も見通しもなく、創業して30年。福元満治著「出版屋(ほんや)の考え休むににたり」1,800円 石風社は、能天気にして苦くおもろい出版社の楽屋話。アフガン支援をする「ペシャワール会」の事務局長としての顔も。どじょうやなまずのように川の底から世界を眺むれば、そこに何が見えたのか?私は営業が苦手だ!博多、バブル前後、本が放つ九州・沖縄の磁力など。ISBN978-4-88344-215-7

●昨今は新しい観光スポットとして注目される地、反対に「限界集落」として取り上げられる地など、800余年の間、風雪に絶えて存在してきた「平家部落」=「落人部落」は全国各地に点在しています。横山高治著「平家伝説と隠れ里」1,500円 かんよう出版は、その歴史・伝説から、分布、現在の姿を、訪れ、語ります。ISBN978-4-906902-01-9

●3.11震災後の夏休み、宮崎に来た中学生が古代へタイムスリップ。古代宮崎がよみがえる、恋と冒険のSF童話。加藤悦男著「西都原古墳漂流記」1,429円は、宮崎の鉱脈社から。ISBN978-4-86061-440-9

●あなたの人生を変容するオーラとチャクラのヒーリング。リーラ/プラサード/アルヴィナ著「サトルボディヒーリング−新装改訂版」1,800円 和尚エンタープライズジャパンは、あなたの人生を変容するオーラとチャクラのヒーリング。あなたの中に存在する、愛、美、豊かさ、幸福感、平安、喜び、強さを発見。ISBN978-4-900612-33-4

●すべての読者に島尾の「死の刺」の読み直しを提案する著作です。比嘉加津夫著「島尾敏雄を読む」2,200円 ボーダーインクは、「死の棘」と「死の棘の日記」を検証します。「死の棘」の夫婦、「死の棘」の愛人、「死の棘」と「死の棘日記」など。ISBN978-4-89982-226-4

●「3ケ月トピック会話」(NHKEテレ)の人気講師、コーチング界の第一人者、学習学の創始者である、本間正人著「壁?Wall?」1,200円 文屋は、「ほめ言葉ハンドブック」(PHP研究所・共著)の著者がはめて放つ自己啓発絵本です。ISBN978-4-9905552-5-2

●昨年3月12日に長野を襲った震度6の地震は、3.11の東北震災に隠れて、報道も支援も遅れ「忘れられた被災地」となりそうな中、地元NPO理事がブログとプリントで人々に発信し、訴え続けた記録。松尾眞著「震災と過疎を超えて−信州栄村 復興の歩み」1,905円 川辺書林は、過疎化、高齢化の進む地域に於ける災害対応の先例集。「集落の絆」と「農業再興」への努力が「中山間地域」再生のポイントといいます。ISBN978-4-906529-73-5


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