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地方・小出版流通センター

地方・小出版流通センター通信 No.1295(2013/03/05)

 井上ひさしの小説「吉里吉里(きりきり)人」のモデルとされる岩手県上閉伊郡大槌町吉里吉里。ここで保険代理店を営んでいた関谷徳夫(80歳)氏が、この地の独特の漁師町の言葉に興味を持ち、メモに書き留めて10年をかけてまとめた「いとしく おかしく 懐かしく−私の吉里吉里語辞典」を2007年に自費出版し、知人に配布したり、地元書店に置いたりしました。しかし、3.11の震災と津波で関谷さんの家も流され、家や書店にあった在庫本は消滅しました。ボランティアに訪れていた明治学院大学の学生が一昨年6月にがれきの中からその一冊をみつけだしました。

 明治学院大学が「吉里吉里の文化伝承のために」と復刊を計画し、134人の学生が参加して、辞典のデータ化をし、親類宅に身を寄せている著者・関谷さんのもとに1年通い、吉里吉里語を学びながら、加筆、訂正作業をし、元本になかったアクセント記号を付けたデータを完成させ、音声データも作りました。インターネット上でも公開できる状態ですが、復刊作業をした人々は、被災地でネットで見れる人は少ないし、地元の書店や食堂に置けば、店の収入になったり、視察にに訪れる人の関心も呼ぶと、まず書籍として発売・公表します。出版資金に資する200部の予約も集り、関谷徳夫著「復刻版 吉里吉里語辞典」4,000円(ISBN978-4-86339-042-3)は、東京のハーベスト社から3月中旬に発売となります。単なる方言辞典にとどまらず、豊富な用例が当地の生活ぶり、人々の考え・生き方を生き生きと伝え、読み物としても一級品です。

本書の表紙画像及び書店さま向け注文書は、コチラです。

これから出る本・新刊案内

●土はすべての生命の根源。福島出身の「味覚人飛行物体」こと醸造学の権威小泉武夫センセイが阿武隈弁で語る絵本。小泉武夫著・黒田征太郎絵「土の話」1,300円 石風社は、魂のイラストレーター黒田征太郎と小泉先生のコラボの絵本。シリーズ「火の話」「水の話」につぐ3弾目の刊行です。黒田さんは核廃絶を目指す「ピカドン・プロジェクト」を続けています。ISBN978-4-88344-225-6

●ルートビッヒ・クラーゲスの著作の翻訳刊行を続けているうぶすな書院刊、ルートビッヒ・クラーゲス著/田島正行訳「心情研究者としてのゲーテ」1,800円は10作目です。ゲーテの精神的位置、現象研究者としてのゲーテ、無意識の発見者としてのゲーテ、造形の思想家としてのゲーテ、性格学者としてのゲーテの5章です。ISBN978-4-90047-028-6

●東本願寺とアイヌ、蝦夷三菅寺とは?キリスト教とアイヌ等。計良光範著「アイヌ社会と外来宗教−降りてきた神々の様相」1,900円 寿郎社は、アイヌ社会にどのようにして外来宗教が入ってきたかを様々な文献から読み解く試み。著者はヤイユーカラの森運営委員長。ISBN978-4-902269-58-1

●新規加入の<書肆パンセ>の2月の新刊は、宮澤賢治作/園英俊挿絵/赤坂憲雄(民俗学者)・ロジャーパルバース(作家)解説「グスコーブドリの伝記」1,200円です。宮澤賢治の「未来への伝言」シリーズ@作目として刊行。凶作、飢饉、噴火、地震−自然の猛威と向い合いながら生きる人間の姿を描いた傑作長編です。ISBN978-4-9906530-1-9

●作家・上野英信の「追われゆく坑夫たち」(岩波新書)との出会いから著者の筑豊通いがはじまったそうです。石井出かず子著「鉄と石炭と女−石井出かず子の戦後史」1,500円 ひろしま女性学研究所は、1970年から筑豊に通い、炭鉱・たたらのフィールドワーク研究、執筆を続けてきた石井出かず子の記録作業の集大成。ISBN978-4-907684-34-1

●耳まで裂けた口をニヤニヤさせてながら、その子どもは<はぶりか>と不穏な言葉を発した〜小原猛作/三木静絵「不思議な子どもたち−琉球怪談 百絵巻」1,500円 ボーダーインクは、琉球で本当にあった百の怪談に百の怪画・イラストがついた、子どもも大人も震え上がる物語集。ISBN,978-4-89982-234-9

●対訳歌曲詩集・山田兼士訳「ドビュッシー・ソング・ブック」1,500円 澪標は、フランス歌曲と詩の愛好家へ贈る、、ドビュッシー生誕151年に贈る全歌曲対訳。収録詩人は、ボードレール・マルメラなど16人。ISBN978-4-86078-233-7

●りんご・チーズ・松茸など新たな具材の開発の進む信州を代表する郷土色「おやき」の最新紹介本。小出陽子(信州おやき協議会会長)編著「信州おやき巡り」1,500円 川辺書林は、作り方、おやき名人を訪ねて、信州おやき街道、そしておやきの店220店もご案内。ISBN978-4-906529-74-2

●首都近郊の南多摩(武蔵)と相模原周辺(相模)はいかにして近世から近代を作って行ったか?沼謙吉著「武相近代史論集−八王子・津久井を中心として」2,400円 揺籃社は、この地域史の基本事項を凝縮してまとめた書。いまの生活に根づいている文化や歴史を確認できるようにまとめられています。ISBN978-4-89708-300-1


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