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地方・小出版流通センター

地方・小出版流通センター通信 No.1300(2013/05/14)

 今週日曜日の朝日新聞読書欄を見ていて気づいたのですが、税込定価2,940という本が、紹介されている20点中に4点もあったこと。みすず書房の「銀嶺に向かって歌え」、敬文舎の「江戸絵画の非常識」、トランスビューの「幸せの戦後史」、彩流社の「ジェンダーと自由」の4点です。それぞれ、朝日新聞の書評委員が選んで紹介する、それなりの評価すべき出版でしょうが、その価格が3000円前後にならざる得ないという事実をしみじみと感じます。

 現状の読者環境でこの手の本の初版部数を考え、採算を考慮すれば、この価格が導き出されているように推察されます。かっては2000円前後であったろう企画が、この価格でしか出せない時代になったことは、日本の本の価格は安くて、上がるべきだと思いつつも複雑です。小部数出版の多い、当センター扱いの4月期の新刊は282点ありましたが、1000円以上が200点(71%)、そのうち2000円以上の本が87点(31%)、更に2940円以上は41点で15%でした。

 やはり2000円以上の値を付けるのは勇気がいるようです。そこから類推すれば、2940円という値付けは、出版社としては、この価格でもそれなりに読者はいると期待を持った、価格帯として共通の認識になりつつあるように分析したのですが、どうでしょうか? 来年消費税が8%になったときの価格帯がどうなるか? も気になりますが。

これから出る本・新刊案内

●本著のすごいところは、宮澤賢治も石川啄木も、橋も銀行も馬も、地蔵も羅漢も豆も、「盛岡ほどいい街は、他にないよな」と思っていることがフツフツと聞こえてくること。高橋智編著「盛岡伝説案内−其の壱−その百」1,600円 盛岡出版コミュニティーは、岩手山や盛岡の名前の由来から、お菊の皿、ムカデ姫の墓、豆腐、リンゴ、雁食豆など盛岡に関する伝え残したい説話100話。ISBN978-4-904870-26-6

●日露の共同研究によるオホーツクとその沿岸域を含む研究の成果の大冊です。桜井泰憲・大島慶一郎・大泰司紀之編著「オホーツクの生態系とその保全」12,000円 北海道大学出版会は、この地域を海洋生態系として一覧し総合的に扱った初めての報告書です。流氷の海をめぐる海洋物理化学にはじまり、海洋生態系と魚類・漁業、海生哺乳類T−鯨類、海生哺乳類U−トド・アザラシ、陸生哺乳類−ヒグマとコウモリ類、ロシアとの共同研究と今後の課題の7部構成。ISBN978-4-8329-8208-6

●若い介護職員のための、かけ声入りCD付きの介護を楽しくする実用書。春日くに子著「懐メロで歌って踊ろうわくわく12ケ月PART2」2,800円 あおぞら音楽社は、川の流れのように、森の小人など良く知られている歌曲を収録して、これで介護レクレーションに困らない!その場が、バッチリ盛り上がります。ISBN978-4-904437-13-1

●新規加入出版社「move」の新刊は、人気の鎌倉の料理教室・cooking eating studioを主宰し、フードコーディネーター+写真作家+装幀家でもある林恵子著「おいしいものは、お父さん、お母さんから教わった」1,600円は、その料理強室に集まった料理家8人+ゲストが、それぞれのジイ・バア、父母から受け継いだ”フツーのごはん"の数々をレシピ付きで紹介。ISBN978-4-9905786-1-9

●北海道新聞論説委員の小坂洋右著「<ルポ>原発はやめられる−ドイツと日本-その倫理と再生可能エネルギーへの道」1,700円 寿郎社は、著者がかって絶望の淵にあった東欧を旅して、ドイツの要人にインタビューして見えてきた、脱原発の方法。福島・世界の原発状況をまとめた詳細資料を付しています。ISBN978-4-902269-61-41

●東京子ども図書館編・刊の手のひらに載るお話集の最新刊。「おはなしのろうそく29」400円は、お子さんへの語り聞かせはもちろん、図書館、文庫、幼稚園、学校の読み聞かせにも利用して下さい。収録のお話は、「ウサギとオオカミ」「馬の首」「月曜、火曜、水曜など」など。ISBN978-488569-128-7

●電子書籍アプリで話題になったミステリーファンタジー作品がバージョンアップして書籍.化されました。川瀬直美著「マイ プリティ ドール」950円 クリエイティブメディア出版は、恐ろしくも哀しい、時を超えた切ない愛の物語。第一回出版大賞クリエイターズワールド特別賞を受賞作。ISBN978-4-904420-11-9

●名文でつづる焼酎の秘話と薀蓄の数々。鮫島吉廣著「焼酎 一酔千楽」1,600円 南方新社は、古今の逸話はもとより、科学・製法、歴史、民俗、文化に精通した著者による焼酎学の書。一杯の焼酎が100倍旨く呑める格安の肴。ISBN978-4-861240-27-0

●新規加入の東京「カランダーシ」はロシアの絵本専門出版社を目指します。絵:エフゲーニー・M・ラチョフ 監訳:牧野原羊子「うさぎのいえ」1,100円は、ロシア動物民話絵本。あの「てぶくろ」で有名なラチョフ待望の新しい絵本。読み聞かせにピッタリなロシアで愛し続けられている動物のお話です。ISBN978-4-9907032-0-2


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