トップページ地方・小出版流通センターサイトマップ


地方・小出版流通センター

地方・小出版流通センター通信 No.1310(2013/08/30)

 原発被害で避難している人々と汚染された大地や海を私たちどうすればいいのでしょうか? 放射線量が依然として高い地域の人々に「もう帰ることはできないので、新しい故郷をみんなでつくりましょう。そのためには、国をあげてしっかりとサポートします」と国家はリーダーシップを発揮すべきではないのか? という声があります。帰れるような、帰れないような、しかし誰が見ても絶対に人が住めない!という地域は、残念ながら、かなりあります。そして、そこで生産活動や生産物の流通が困難なことは、この二年余の福島及び周辺地域、27年経過した旧ソ連・チェルノブィリの現実です。

 今年も、ブックインとっとり「地方出版文化功労賞2013年」の受賞作が決まりました。本賞は、とっとり県民が、この一年の地方出版の刊行物から、すぐれたものを選び、顕彰するもので、今年は二点とも北海道の出版物になりました。地方出版文化功労賞は、渡辺一史著「北の無人駅から」2,500円 北海道新聞社刊です。著者は北海道を中心に活躍するフリーライターで、丁寧な取材に裏打ちされた確かな文章力が評価されるとともに、鳥取から遠い北海道のことながら、多くの地方にとって共通性があり、強く共感できるということで、選ばれました。内容的には、北海道の6つの無人駅とその周辺について書かれた7つのルポと背景となるデータ集からなっています。

 地方出版文化功労賞 奨励賞は、汐見文隆監修 「脱原発わかやま」編集委員会編著「原発を拒み続けた和歌山の記録」1,500円 寿郎社で、地方のどの県でも原発計画と、それを阻止した活動がありましたが、それを誰もが手にとれる整理された形で記録されたものは少なく、本書は3.11を契機に、記録として残したいという関係者の気持ちが後押しして出来たもの。昭和42年にはじまり平成2年まで続いた運動の表と裏、自治体、議会、産業、住民などの複雑に絡み合った変化を丁寧に、臨場感を持って綴り、また、理論的指導者と実際に運動を担った人達それぞれにスポットが当てられていることで、反対運動の実相が読み取れることが評価されました。

これから出る本・新刊案内

●祭りでもなく盆踊りでもなく、自分の哀しみを押し隠しても、他人を楽しませようとする、江戸期の人の心を継ぐ祭り、「越中−風の盆」の起源を推理します。おわらを語る編「おわらの記憶」2,800円 桂書房は、資料編・歌詞編も充実した労作。300年余の歴史を持つこの習俗を、明治(土俗の風習であった)、大正(世に認められ、広がった)、昭和(洗練され今に続く姿に)と資料を丹念に調べ記述します。ISBN978-4-905345-44-2

●米国の占領によって、沖縄には戦後、ゆいレールが出来るまで、鉄道というものが出来ませんでした。しかし、未来はいま注目のLRT(ライトレールトランジット)網を作ることが夢だそうです。ゆたかはじめ著「沖縄の鉄道と旅をする」1,900円 沖縄タイムス社は、沖縄の鉄道の過去、いま、未来を語ります。軽便鉄道、軌道馬車、離島の鉄道、ゆいレール、そして未来の路面電車へ。かってあった鉄道を丹念に調べ上げています。ISBN978-4-87127-210-0

●今回の号には、ボストン・レッドソックスの田沢純一投手のインタビューが。Y's publishing編・刊「ボストンワシントンDC便利帳Vol.9」3,000円は、駐在員・留学生が多いボストン・ワシントン周辺に長期滞在する方たちのための日本語生活ガイドの最新版。コンパクトな9つのNYガイドの最新案内も。ISBN978-4-8123-0064-0

●地元の民話を語り継ぐ民話サークルの新しい試み。読んで、見て、聞く民話。語り部出演のDVD付きの民話本。民話の会「石見」編、「夕陽を招く長者」1,800円 ハーベスト出版は、収録50話のうち13話はDVDで見て聞けます。石見に伝わる話を、おもしろい話、かなしい話、こわい話、ふしぎな話、やさしい気持ちの話と5分類して活字化して収録。978-4-86456-073-3

●中世キリスト教の世界観に忠実で、斬新なタッチで人間を追求したと評価されるダンテの遺跡が、フィレンツェに注ぐアルノ川周辺には沢山残されています。イタリア詩の特異な研究者=井出正隆著「ダンテの影−アルノ川に沿って」2,200円 あざみ書房は、ダンテを追いつつ、アルノ川の源流から下流までを巡ります。写真・地図多数。ISBNなし

●事故を起こしたロシアの原発から3qの距離にある街・プリピャチは今も人の住めない隔離された故郷です。前田俊明写真集「2010チェルノブイリの夏」1,800円 春夏秋冬叢書は、苔を踏むな!バックは地面に置くな!と放射能の脅威にさらされ、現在もなお政府の許可なく立ち入る事の出来ない24年後の街のルポ。福島の原発周辺の立ち入り禁止区域のいまでもあります。ISBN978-4-901835-40-4

●子育ての真っ最中に難病を発病した医師の手になる3才の子どもにも伝えられる”親の病気を子に伝える”説明絵本”。阿倍円香文/さとみ絵「ママ、なんで?びょうきのママにききたいの」1,200円 書肆侃侃房は、各専門家および病気とともに生きる家族たちの協力で出来たはじめての絵本。ISBN978-4-86385-121-4


本のご注文について

★一般読者へ。できましたら最寄の書店でご注文ください。その際、書誌名・発行所とともに「地方・小扱いです」と書店員の方に告げてください。またネット書店でも扱っている場合があります。
お急ぎの方は当社でもご注文をお受けします。コチラをご覧になりFAXにてご注文ください。
★書店様へ。当センター扱い商品は「注文制」です。お取引取次店へご注文いただくか、弊社ファックス(03−3235−6182)にて、帳合・取次・番線・書店コードを明記の上、ご発注ください。よろしくお願いします。

トップページ地方・小出版流通センターサイトマップ