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地方・小出版流通センター

地方・小出版流通センター通信 No.1312(2013/10/08)

 「私は、民主主義社会において、極めて重要な要素は、少数意見(異見)の存在を認め、尊重することであると考えています。それはまた、言論の自由にも通じることでもあります」と語る、清水英夫さんのお別れ会が先日行われました。戦時中にクリスチャンとなり、青山学院大学で長く法律の教鞭をとられていたこともあり、青山学院の聖歌隊に送られての、しめやかですが、記憶に残る良いお別れ会でした。約20年の編集者生活の後に法学部の先生となり、弁護士としても活躍され90才で他界されました。「現代出版学」という著書をはじめ、出版、表現の自由に関する著作は多数あり、表現・マスコミの様々な機関の委員、委員長などを歴任されました。当社も、黒人差別では? として糾弾された、「チビクロさんぼ」=「ブッラックさんぼくん」(子ども文庫の会刊)流通の際には、意見を戴きながら対処しました。

 このお別れ会の挨拶をされた方々が、この間の日本の政治や報道の姿勢に対して、強い危惧、危機感を持っていることを強調されていて、清水さんの思想が引き継がれていることが強く印象づけられました。最近の警視庁による、猥せつ図書の摘発の強化(テレビなどマスコミを引き連れて、40人もの警察官が詰めかけて家宅捜索し、関係者の逮捕というコアマガジンのケースなど)、監視取り締まりが厳しい時代となり、「表現の自由」のことなど省みる余裕もなくなる雰囲気のなかで、改めて清水さんの仕事・業績・遺志を心に留めておかなければと思います。

これから出る本・新刊案内

●<ついに波は防波堤を越え、陸側へと溢れ出してきました。それはあっという間に私たちを呑みこみました>(多くの死を乗り越えて)。大災害に正面から向き合った警察官達の葛藤と苦悩の中に多くの教訓が!岩手県警察本部監修/岩手日報社編「使命−証言岩手県警察の3.11」1,200円 岩手日報社刊は、震災1年半後に纏められた当時の内部資料を再編集し記録として残します。ISBN978-4-87201-412-9

●札幌ではベストセラーの定番。温泉を中心とした北海道の地元版元の独自取材による旅ガイド。「book−2」が先に発行され紛らわしいのですが。舘浦あざらし責任編集「北海道いい旅研究室14 book1」657円 あざらし舎が10月中旬に、やっと出ます。特集「週末でもひとり旅を歓迎してくれる温泉宿」、亀和田武さんの旅エッセイもスタートします。最近おいしかったラーメンもこっそり教えちゃうも。ISBN978-4-901336-28-4

●江戸時代初期にキリスタン対策として始ったといわれる、長崎の諏訪神社、秋の大祭=「長崎くんち」は、「龍踊(じゃおどり)」「鯨の塩ふき」「阿蘭陀万材(おらんだまんざい)」など、ポルトガルやオランダ、中国など南蛮、紅毛文化の風合を色濃く残した独特の奉納踊りを特色とする祭りです。太田由紀著「長崎くんち考」1,600円 長崎文献社は、踊り町の仕組み、現状と歴史を、豊富な資料と経験を駆使して分析し、くんちを語る総合的な参考書となるべくして書かれた研究書。ISBN978-4-88851-202-2

●戦国時代の出雲には500もの山城が築かれていたと言います。その中から50を選んで、徹底ガイド。高屋茂男著「出雲の山城」1,800円 ハーベスト出版は、歴史・地理・構造の攻略本。本書の特色は「縄張り図」を復元したことで、江戸時代から現代まで400年間、草木の中に存在し残された遺構を読み解き図化しました。ISBN978-4-86456-080-1

●「ロボット」「サンショウウオの戦争」などで有名なチェコの作家、劇作家・チャペックがこんな園芸の本を書いていました。栗栖茜訳「カール・チャペックの園芸家の十二ケ月」2,000円 海山社は、天候に一喜一憂、土づくりに夢中で花を見るのを忘れちゃう!園芸家は昔も今も変わらない。理屈抜きに読んで楽しくなる本の新訳です。和田誠の装幀、兄ヨゼフの挿絵もすてきです。ISBN978-4-904153-08-6

●新規加入の大原哲夫編集室の新刊は、没後一年の現代音楽作曲家として数々の作品を残した林光さんの数々の言葉と、演奏を2枚のCDと一冊の本にした、大原哲夫編「光さんの贈りもの」3,500円です。自らの少年時代の歴史を問い、作曲家誕生に至るQ&Aの形で書かれた未完(急死したため)の自伝です。CDにはバッハの「シャコンヌ」ピアノ版(編曲)など林さんのライブ演奏がたくさん収録されています。ISBN978-4-907523-00-8

●ファーブル昆虫記などでも出てくるフンコロガシなどを取り上げ、昆虫の匂いを感じる仕組みを説明し、匂いによって広がる昆虫の生きる「匂いの世界」を明らかにします。川濃内順著「匂いと昆虫の巧みな世界−匂いに支配されている昆虫の不思議」1,400円 フレグランスジャーナル社は、昆虫にとって最も重要な「生存」「繁殖」「進化」は匂いなくしては果たせなかったという発達過程を探り、解き明かし、コミュニケーション機能の農業への応用例なども紹介。昆虫は知られているだけで100万種以上存在し、人間も含めた全動物種の約75%を占めると言われます。ISBN978-4-89479-235-7

●アンドレ・ブルトンが最晩年に讃えた、魔術的な愛とエロスの詩画集といわれるものです。ラドヴァン・イヴシック詩&トワイヤン画、松本完治訳・編著「塔のなかの井戸〜夢かけら」4,500円 エディション・イレーヌは、フランス版の限定本の原画をもとにカラー刷り、2冊組本で作られました。ISBN978-4-9901234-5-1


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