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地方・小出版流通センター

地方・小出版流通センター通信 No.1314(2013/10/30)

 雑誌「広告批評」を出していたマドラ出版の天野祐吉さんの突然の訃報には驚き、脱力感のようなものがあります。先週まで、テレビやラジオでその顔や声を聞いていたからでしょうか? 広告批評は初期は広告会社・マドラの発行で、途中から出版専門のマドラ出版という別法人から発行されるようになりました。初期はほとんど東京を中心とした読者層でしたが、テレビやラジオの番組や広告が東京のキー局から地方局へ系列化が進むとともに、全国の読者に広がっていったように思います。いまは弊害と言われることも多くなった、地方都市の東京化(均一化)が促進・定着していった時代と共に歩んだと言えます。

 追悼の報道や番組で言われるような、日本で新しいスタイルの批評の世界を作った人=コラムニストと呼ばれた天野さんでした。広告批評の創刊から廃刊まで取り扱わせていただき、それが作り出す批評の反響にずっとつき合った体験は貴重なものでした。マドラ出版廃業後、天野さんが個人的にはじめた「天野祐吉作業室」の刊行物、「島森路子インタビュー集1 ことばを尋ねて」2,900円、「島森路子インタビュー集2 ことばに出会う」3,000円、天野祐吉×佐藤可士和著「可士和式」1,500円、谷内六郎著「北風とぬりえ」1,600円の4点は引続き取り扱いますのでよろしく。

これから出る本・新刊案内

●こうじなど発酵食の種菌を生み出す仕事を「もやし屋」と言います。酒、ミソ、しょうゆ、漬物、焼酎などに使われる、あらゆる有用な微生物を作り世界へ発信する会社が秋田にあります。塩野米松著「もやし屋 秋田今野商会の100年」1,700円 無明舎出版は、業界に先駆けて、昭和27年の黒麹菌、白ウサミB11菌、焼酎白麹など数々のヒットを生み出した、秋田発祥の総合微生物メーカーの百年を人と会社の両面からルポルタージュします。最新の製品は、大手農薬メーカーの「生物農薬原体」です。ISBN978-4-86544-577-1

●いま日韓で領土帰属問題となっている「竹島」から90キロの韓国領の島、欝陵島。この島は、明治以降は日朝の漁民が共住、今や韓国でも高所得の離島となっています。福原裕二著「たけしまに暮らした日本人たち−韓国欝陵島の近代史」800円 風響社は、この島の知られざる歴史をひもときます。ISBN978-4-89489-758-8

●近世、福岡が生んだ儒学者の生涯と学問。河村敬一著「亀井南冥小伝」1,700円 花乱社は、長子昭陽とともに亀門学を創始し多くの人材を育成した南冥。市井に生き、幅広い交流を重ね、学問を貫いた生涯を分りやすく描きます。ISBN978-4-905327-28-8

●遠州の天才的罠(わな)猟師の作法の数々。そのいのちをいただく作法を余すところなく紹介します。飯田辰彦著「罠師 片桐邦雄−狩猟の極意と自然の終焉」1,600円 鉱脈社は、知恵比べの罠掛け、緊迫の生け捕り、究極の血抜きなど、その実際をルポ。人口減、過疎化の進行する、昨今の人と野生動物の現在を照射します。ISBN978-4-86061-512-3

●60年代に全盛期を迎えた前衛芸術運動=サイケデリック革命のまっただ中にいた、著者がその時代の証言をします。おおえまさのり著「魂のアヴァンギャルド」1,600円 街から舎は、ニューヨークで体験し、インド・チベットで学んだ歩みを振り返り、原発によってメルトダウンに晒されるいまと未来を追求します。ISBN978-4-939139-18-5

●思想家・渡辺京二の半世紀におよぶ思索の軌跡を101の単章で編みました。渡辺京二著「万象の訪れ わが思索」2,400円 弦書房は、なにに共鳴し、どのように鍛えられたのか?が!大連での生活、敗戦、引揚げ、学生時代からいままでの思索が見通せます。小さきものの死、かよわき葦、地方文化の落城などは強烈でした。ISBN978-4-86329-094-5

●アバンギャルドの最もマージナルな領域を渉猟してきたフランスの問題作の本邦初の邦訳。ジェラール・サンドレイ著/久保田亮訳「率直な創造 クレアシオン・フラッシュ」2,700円 ギャルリー宮脇は、現代美術を語る本。著者は「創造」についての革新的思索・クレアシオン・フラッシュ=率直な創造の創始者、自称<非>芸術家の論客と称します。ISBN978-4-9902435-6-2

●シーボルトが自ら書いたシーボルト事件の真相、シーボルト遺言状の全訳など本邦初の5つの新資料を掲載。石山禎一著「シーボルトの生涯をめぐる人びと」8,000円 長崎文献社は、シ−ボルトの生涯人脈を網羅し、収録文献総数3000点以上で、シーボルトを深く知りたい人必携の研究書。ISBN978-4-88851-200-8

●ポーランドの作家にして画家、その小説は40近くの言語に翻訳されているブルーノ・シュルツ。その作品の翻案と翻訳、その影響を論じるエッセイと論考を集めた、加藤有子編「ブルーノ・シュルツの世界」3,000円 成文社は、工藤幸雄に始まる日本におけるシュルツ受容の展開を示す、はじまりとしてのアンソロジー。ISBN978-4-86520-001-0

●200年前のパリに開花した一大音楽サロン文化圏。福田公子著「19世紀パリのサロン・コンサート−音楽のある社交空間のエレガンス」2,800円 北星社は、才能ある青年音楽家を育てた当時のサロンを、豊富な図像で楽しめます。19世紀前半期のフランスの音楽文化を扱った研究書。ISBN978-4-939145-40-7


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