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地方・小出版流通センター

地方・小出版流通センター通信 No.1317(2014/01/15)

 新年を迎えました。年末・年始のお客様の出足はいかがでしたでしょうか。年賀挨拶のなかに、「還暦」(60歳)「古希」(70歳)を過ぎ、次の山「喜寿」(77歳)までのこれからの歳月7年、まだまだやりたいことがあり、出版道を歩み続けたい、という元気な便りがありました。

 「黒子のバスケ」脅迫事件の犯人は掴まりましたが、この本や関連商品の販売自粛の動きについて不安を感じるのは私だけでしょうか? 日本の小売り環境はおおきく変化し、町の商店からチェーン店が大半を占める状況に変わりました。本の小売り業も例外とは言えません。かって、私どもが遭遇したことなのですが、「チビクロサンボ」という児童書が黒人差別を助長するということで、反差別の団体から店頭からの撤去を求める文書が大型チェーン店各店に送られました。団体が書店店頭に座り込んだりして、お客に迷惑がかかるということで撤去したチェーンもあり、また出版の自由ということで売り続けた店もありましたが、それぞれの対応は今よりは多様で自由でした。もう20年ほど前のことです。

 しかし、今回の事件を見ますと、コンビニチェーン、レンタル・書店のチェーンなどが脅迫され、名指しされたチェーンは販売を中止し撤去しました。撤去せず継続販売した書店もあったようですが、その比率は、かってより大幅に小さくなっているはずです。大規模チェーンのシェアーがますます増える傾向にある現在、本の販売における「出版表現の自由」や多様性が維持される幅は、どんどん狭まってきているように、この事件の推移で感じます。店頭販売ではこんな状況ですが、いま大きくシェアーを伸ばし、これも寡占化が進むネット販売で、主要業者が首根っこを止められたらどうなるのだろうかと恐ろしくなります。

これから出る本・新刊案内

●かって文葉社(廃業)から出て好評だった本の復刊です。池田博明他著「クモの巣と網の不思議−多様な網とクモの面白い生活」2,000円 夢工房は、クモの網の面白い謎、クモの行動や生活にとって網がどれほど重要な役割を果たしているかが一般の人も分かるように書かれた画期的な書です。ISBN978-4-86158-060-4

●旧津山扇形機関車庫、津山駅から四方に伸びる沿線に佇む木造駅舎など鉄道遺産の宝庫といわれる美作の鉄道史、鉄道に夢とロマンを賭けた人々の人物群像も描きます。産業考古学研究者・小西伸彦著/みまさかローカル鉄道観光実行委員会刊行「みまさか鉄道ものがたり」2,200円 吉備人出版は、明治・大正・昭和の貴重な写真もふんだんに掲載しています。ISBN978-4-86069-375-6

●雨上がりに出会ったカタツムリがその殻が羨ましくなったナメクジのために殻の代わりになるものを探してますが、なかなか良いものが見つかりません。おのななせ(絵と文)・佐藤光輝監修「まいまいさんとなめくじさん」1,200円 弘前大学出版会は、学生の卒業製作の絵本出版。ISBN978-4-907192-07-5

●いままで困難といわれた、筋電図的手法をまだ歩けない乳幼児に適用、歩行の第一歩から歩行獲得過程の継続的記録に成功した結果を纏めた研究発表。岡本勉・岡本香代子著「乳幼児の歩行獲得」2,400円 歩行開発研究所は、世界の研究者が引用する歩行専門書です。立つ、歩くという直立二足のしくみの解明です。ISBN978-4-902473-14-8

●鉄道作家が現場の人々と対話した貴重な記録集の再刊。宮脇俊三対話集「ダイヤ改正の話」1,600円 クラッセは、国鉄から分割民営化、JR初めての63年3月のダイヤ大改正の裏話を各社の輸送課長から聞いたもの。青函トンネルと瀬戸大橋で、日本全国が鉄道ではじめて結ばれたという裏話も。ISBN978-4-902841-19-0

●琉球古典音楽を脈々と歌い継ぎ、琉球王の命で編纂された「国風絲樂三線譜(通称欽定工工四)」を継ぐ「野村流」。宮城嗣幸著「伝統音楽探訪−野村流の泉」3,500円 ゆい出版は、その原点を見つめ論及した書。ISBN978-4-946539-31-2

●競争の末に、全員が疲弊し貧しくなる経済学の法則=コモンズ(共有地)の悲劇というそうです。佐藤力生著「『コモンズの悲劇』から脱皮せよ−日本型漁業に学ぶ 経済成長主義の危うさ」1,600円 北斗書房は、日本型漁業が伝承する共生の価値観こそが、この悲劇から脱するカギだと説きます。ISBN978-4-89290-026-6

●私もアメリカに初めて行った時、著者と同じように、おつりが「足し算」で渡される!ことに、カルチャーショックを受けました。松原健二・長島正浩著「売買と貸借」の諸相-おつり計算から社債の発行まで」1,500円 松本大学出版会は、そのショックの本質を学問的に解き明かします。英語教師と簿記教師という異色のコンビが解明する「お金と取引」のメカニズムの本。ISBN978-4-902915-17-4

●奈良・金峯山寺で毎年2月3日に行われる節分会。その時行なわれる、鬼火の祭典の中の「鬼の調伏式」の元話を絵本にしました。金峯山著/松田大児画「鬼と行者さま」1,900円 コミュニケ出版は、「節分」に売りたい絵本。ISBN978-4-903841-101-6

●戦国時代、領主は民衆の暮らしや営みを保障する存在でもあり、城は有事の際は民衆の保護施設でもあったという解釈に基づいて戦国の城の姿を位置づけます。中田正光著/滝山城跡群・自然と歴史を守る会発行「戦国の城は民衆の危機を救った」1,500円 揺籃社は、関東王国の平和を求めた八王子城主北条氏照を描きます。ISBN978-4-89708-336-0


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