トップページ地方・小出版流通センターサイトマップ


地方・小出版流通センター

地方・小出版流通センター通信 No.1322(2014/04/09)

 世代交代をしつつもいまも新宿で営業するミニコミ・自主出版物専門書店「模索舎」や新・出版流通ネットワークづくりを目指した「ほんコミュニケート社」の創業者・五味正彦氏が亡くなって半年。先月30日の日曜日に偲ぶ会が100名を超える関係者が集り行われました。ベトナム反戦の市民運動・学生運動・公害・環境保護運動などから生れた自費出版の本やパンフレットを扱い、その流通も目指した、情報センターへの「シコシコ・模索舎」という空間を運営し、その流れで全国の市民団体・運動体・書店・喫茶店などに自費出版物を流通させる「模索販売企画」という流通組織も作りました。その過程で、『四畳半襖の下張り』のコピー版を仕入れ販売したということで「猥せつ図書販売」容疑で逮捕され裁判も戦いました。この事件は、発行者ではなく本を扱う書店主が扱ったというだけで逮捕・起訴されるという異例の「出版表現を巡る重要な事件」でした。

 五味さんは、癌が見つかってまたたく間の他界で、訃報を知った模索舎関係者が企画して、この会が行われました。参加者それぞれが五味さんやその運動や活動との係わり、意味を語り続ける2時間半でした。なお五味さんは、癌が発覚する前から、自分の関わってきた運動の資料(一枚のビラから冊子、本など)を整理し残そうと準備し、50数箱のダンボールに収めていました。この資料は立教大学の研究室の方々が遺志を継いで整理し体系化して将来公刊されるものと思います。

 昨年から今年にかけて出版流通の自由などを共に考え、携わってきた団塊周辺の方々が相次いで、それもほとんどが癌で亡くなり、寂しい限りです。先日も、関西の書店人の中ではユニークな存在で、若手の書店人や出版営業マンたちに慕われ、少部数出版へ理解も深かった、元コーベブックスの社員で、阪神大震災の後、姫路の「楽学書館・Bigin」で活躍していた松本博さんが心筋硬塞で急死されたとのこと。享年65歳でした。

これから出る本・新刊案内

●長期に米国滞在する日本人のための日本語生活便利帳の最新版のシカゴ周辺バージョン。Y's Publishing編・刊「シカゴ・デトロイト便利帳Vol.11」3,000円の巻頭特集は、<知って得するシカゴのトリビア><シカゴのご当地グルメ><シカゴならではグッズです。ISBN978-4-8123-0068-8

●長らく品切れであったものの再版。真実のみを記録する会著「自然対数の底1000000桁表」271円 暗黒通信団で、数学の本としてマニアに受けてます。ISBN978-4-87310-088-3

●かなり古い時代に出て好評のため品切れになった、同誌の4号、5号、そして3号の一部をまとめた総240頁の復刻・復刊バージョン。館野あざらし責任編集「北海道いい旅研究室 傑作選U」800円 あざらし舎は、4月下旬刊行予定。ISBN978-4-9013336-23-9

●魚梁瀬(やなせ)森林鉄道は高知産の杉を搬出するために1917年に開通し、1964年に廃止となりましたが、観光資源として甦っています。魚簗瀬森林鉄道保存クラブ編・発行「魚簗瀬森林鉄道=りんてつ 私の記憶」1,000円 リーブル出版は、営林署で林鉄にかかわった人々の高齢化に伴い、組織を解散する記念として作られ、多くの証言が収められています。産業遺跡として残っている施設群が注目されています。ISBN978-4-86338-076-9

●「躁うつ病」で失職した元新聞記者が綴る、渾身の「カミングアウト」。熱海芳弘著「双極性障害と闘う」1,600円 無明舎出版は、現在はこの病気の患者団体の理事を務めている著者から、全ての精神病患者やその家族へ届けたい書。ISBN978-4-89544-393-0

●現代人へそして次世代人に日本人の主食を語ります。浅見悦子著「こめ語り」3,800円 やさしい食卓刊は、「こめ」のすべてがわかる本。イネ、こめ、飯、棚田、行事と儀礼に分けて何が大切か、愛情深く著述。ISBN978-4-901359-63-4

●富原靖博・新城安哲著「ハブと海洋危険生物ハンドブック」1,200円 出版舎Mugenは、沖縄の野外生活、野山散策、海で泳いだり、潜ったりする時には必携の書。陸ではハブが、海では、ハブクラゲ、ゴンズイなど危険生物がいっぱい。英文抄訳付きです。ISBN978-4-905454-11-3

●日本海側の山陰、島根にある特異な湖。石飛裕他著「中海宍道湖の科学」1,200円 ハーベスト出版は、海水と淡水が流入する宍道湖の独特な生態を、陸水学という手法で、水利・水質、生態系の観点から総合的に研究した成果。ISBN978-4-86456-092-4

●九州方面から問合せが多い本。FM福岡の「モーニングジャム」の大人気コーナー「おもろい家族」の単行本化・第3弾。エフエム福岡「モーニングジャム」編「帰ってきた!おもろい家族」1,200円は、エフエム福岡発行/九州人発売です。涙あり、下ネタありの珠玉の80話収録を収録しています。ISBN978-4-906586-37-0

●倉田次郎著「秩父事件をどう見る」2,500円 埼玉新聞社は、日本の近代化初期に起きた自由民権運動の中でも記憶に残る、民衆蜂起の炎が現代に伝えているものは何かを追及しています。改めて、多くの資料を照査、足で確かめ、約5千人に及ぶデータを確かめた労作です。ISBN978-4-87889-712-2


本のご注文について

★一般読者へ。できましたら最寄の書店でご注文ください。その際、書誌名・発行所とともに「地方・小扱いです」と書店員の方に告げてください。またネット書店でも扱っている場合があります。
お急ぎの方は当社でもご注文をお受けします。コチラをご覧になりFAXにてご注文ください。
★書店様へ。当センター扱い商品は「注文制」です。お取引取次店へご注文いただくか、弊社ファックス(03−3235−6182)にて、帳合・取次・番線・書店コードを明記の上、ご発注ください。よろしくお願いします。

トップページ地方・小出版流通センターサイトマップ