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地方・小出版流通センター

地方・小出版流通センター通信 No.1335(2014/11/26)

今年4月から9月半期の当センターの出荷額は前年比トントンです。前年、前々年の落込みがヒドイので、まったく喜べない状況ですが。

日本では米国のような読書クラブは育たないと言われていました。そんななかで31年前に、九州・長崎で、子どもの本の会員制販売システム=「童話館ぶっくくらぶ」をはじめ、いまや日本で最大の扱い高となっている、童話館の創業者、川端強さんが11月3日に享年66歳で亡くなりました。品切れ絶版になった児童書の復刊、復刻出版も旺盛に行ってきました。当社は初期から、出版社の童話館出版と取引きしてきました。息子さんが後継社長となり、これからも良質の絵本の普及活動を引き継ぐということです。

地方の出版社の場合、書店だけでなく、地元のお土産物屋さんや神社仏閣の売店などのお店で、出版した本を売る場合があります。秋田の出版社さんには、この時期になると鳥海山・稲倉山荘から「本の撤収お願いします」という連絡が入ります。雪で道路が閉鎖されるので山小屋も店仕舞い。運送業者もここまでは配達してくれないので、売店で販売してもらっている本は配送から撤去まで自分たちでやります。社員は車のタイヤをスパイクに替え、朝早くから鳥海山稲倉山荘に向います。本を撤収し、再度納入するのは来年5月。半年間、山小屋は静かな眠りにつく時期に今年もなりました。稲倉山荘には一棚分、専用ブースがあり、ここでの半年間の売り上げは公務員1カ月分の給料ほど。街に本屋が少なくなってしまった現在、山登りに来て、ここで本を買う人たちも少なくないそうです。半年間しか開いていない臨時の書店ですが、貴重な読者との出会いの場にもなっています。いまはなき長野の出版社は、山小屋へ食料等を運ぶヘリコプターに便乗して売店用の本を春になると上げていました。

これから出る本・新刊案内

●不可能だった「青色LED」を実現し、今年のノーベル物理学賞を受賞した半導体科学者赤崎勇氏の初の評伝です。枚田繁著「評伝 赤崎勇 その源流」980円 南方新社は、氏の伝記映像制作を通して残された膨大な関連資料、取材ノートに基づいて書かれました。戦争体験や戦後の時代が深く刻まれています。ISBN978-4-86124-310-3

●15年大河ドラマ「花燃ゆ」のヒロイン・吉田松蔭の妹・文の夫の生涯。中村紀雄著「楫取素彦(かとりもとひこ)−吉田松陰が夢をたくした男」1,300円 書肆侃侃房は、新政府軍を率い戦い、薩長同盟の仲介役なども勤め、後に、群馬県令となり、富岡製糸場を閉鎖から救った人物を描きます。今まで歴史の表舞台に姿を現さなかった人物にせまることで、大河ドラマ鑑賞が楽しくなります。ISBN978-4-86385-164-1

●日本経済新聞の土曜版「NIKKEIプラス」で14年続く人気の料理紹介連載の単行本化の6作目。ベタホーム協会編・刊「かんたん美味6」1,200円は、2011年4月から2013年9月まで掲載された献立例。「身近な材料を使い、調理の手順はシンプルに、そしておいしいものを作る」という、まさに「かんたん」「美味」な料理130品を紹介。あ!これ作りたい!という一品が見つかります。ISBN978-4-904544-36-5

●周防大島出身の民俗学者・宮本常一が撮影した東和地区の写真約300枚。周防大島文化交流センター編/森本孝監修「宮本常一の風景を歩く−周防大島東和」2,500円 みずのわ出版は、昭和30年代から50年代にかけての写真を中心に現代との比較もできるように編集されています。全3巻で2巻、3巻は毎年12月刊行予定。ISBN978-4-86426-028-2

●古代オリエントにおいて王族の力と権威の象徴だった獅子・狛犬は仏教とともに伝来し聖域の守護神となりました。塩見一仁著「狛犬誕生−神獣のルーツをたどる」2,000円 澪標(みおつくし)は、古代・中世以降の記録文学から江戸の古川柳に至るまでを精査し、文献学的にその道筋を明らかにします。ISBN978-4-86078-286-3

●ブラジル日本移民の入植から100年。波瀾万丈の苦闘の歴史から100年後の到達点まで、気骨ある明治の日本人の舞台裏にせまるノンフィクション。深沢正雪著「一粒の米 もし死なずば」1,900円 無明舎出版は、ブラジル日本移民レジストロ地方入植百周年の出版。食料不足の明治・日本に米を供給するための移住地として選ばれた「理想郷」は、どんな歴史を辿ったのか?ISBN978-4-89544-589-4

●元松竹プロデューサーによる60年代の映画制作裏話。「切腹」「男はつらいよ」制作の熱血漢が生み出した大衆娯楽映画の数々。斉藤次男著「昭和映画屋渡世−坊っちゃんプロデューサー奮闘記」2,200円 ごまめ書房は、映画の本当の面白さは制作現場にある!という著者の力作。昔の映画屋たちの熱気を見よ!ISBN978-4-902387-17-9

●彫師も数人となり廃れつつある北海道の代表的土産、「木彫り熊」を工芸品として再評価しようという試み。山里稔編著「北海道 木彫り熊の考察」3,500円 かりん舎は、初期から現代まで287頭を収載。ISBN978-4-902591-20-0

●国の天然記念物で絶滅危惧種第二類にも指定される日本最大のキツツキの生態にスポットをあてます。藤井忠志著「日本のクマゲラ」2,800円 北海道大学出版会は、これまで謎とされていた生態を明らかにします。研究小史、生物学、生態学、樹木との関係学、保護という章立て。ISBN978-4-8329-8220-8


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