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地方・小出版流通センター

地方・小出版流通センター通信 No.1341(2015/02/18)

先日、ある地方の郊外型大型書店と、駅前のショッピングモール内に開店した書店を見学してきました。商店街・繁華街のお店ではなく、今までこの地で訪れたことのないお店を廻ったのですが、有力書店のその地における本店的性格を持つお店で、それぞれ出店時の時代を体現した雰囲気が感じられました。

郊外店の一つは1999年開店で600坪。郊外店がスタートした頃の雰囲気が色濃く残っていて、繁華街にある本屋さんが、多めのスタッフでひと棚、ひと棚に手間をかけていたその名残もしっかりと残っている店でした。もう15年余経過していますので、店舗の旧式な印象が不利ですが、ハード面のリフレッシュ感を演出できれば、いまのスタッフがいるかぎり、地域読者に喜ばれるように感じました。

もう一つは2008年開店の700坪。カウンターを店舗内部に配置した、最近のコンセプトがよく体現されたお店で、広い売り場を持ちつ、特別のこだわりを持たせたという棚や商品構成ではなく、全国に共通するデータに基づいて設計されており、この数年来主流となっているPOSデータを使った運営方式、少人数でそこそこの売上げを達成するという形がうかがえました。

一方駅前に出来た最新のお店は昨年末開店の420坪。蔦屋書店の代官山店に代表されるような、一部にセレクトショップ的側面を取込み、新刊も古書も、関連商品までそのジャンルの空間や棚に並べるという、新しい試みをしています。その昔 池袋にあった詩の専門書店「ぽえむぱろうる」の大衆化とその進化系・・・ここまでやり遂げてみせましたよ、これでどうですか!という読者への問いかけが押し出されていました。ユニークで斬新ですが、時代の変化(生活スタイルや客の世代構成)に対応し、新しい切り口を持続的に開発、創造していく必要がありそうで、それは結構大変かも?なんて心配もしてしまいました。1999年から2015年という時代や地域の変化に対応した、書店空間の15年余の移り変りとともに苦労を見させていただいた気がします。

これから出る本・新刊案内

●がんという病気に関係する全てのものを網羅し、患者さんの不安を取り去るための新聞連載をまとめました。山形大医学部著「がんを知る」1,500円 山形大学出版会は、がんにかかっても、がんと闘い、安心して療養ができるようになるために配慮された家庭に一冊常備の本。ISBN978-4-903966-24-3

●佐賀藩のみならず昌平坂学問所に集う全国の俊才を教えた尊王思想指導者の生涯。大園隆一郎著「枝吉神陽(えだよししんよう)」952円 佐賀城本丸歴史館は、佐賀偉人伝の14冊目。日本一君論を称揚し、鮮烈な印象を残し早逝した人物。ISBN978-4-905172-13-0

●江戸期文明の残影と明治末の人々の価値観が読み取れます。勝山敏一著「明治・行き当たりレンズ−他人本位から自己本位へ」1,800円 桂書房は、明治末期、富山市郊外を散歩し、行き当たりばったりにカメラを向け、市民の反応を記していく地元新聞の連載記事を分析することで百年前の富山の日本人が見えてくる労作。劣化した新聞写真は、原版を探して掲載されてます。ISBN978-4-905345-82-4

●いまも息づく洋館100館と町並みを訪ね歩いた、森下友晴著「昭和戦後の西洋館−九州・山口・島根の代レトロ建築>」1,700円 忘羊社は、古い名だたる建築物ではなく、比較的新しい終戦直後からバブル期を経て21世紀までに立てられた昭和戦後生れの新しい洋館の紹介。100年後には重要文化財かも?ISBN978-4-07902-06-3

●明治長崎の古い風景写真から、撮影者の足取りを甦らせる試み。森望著「明治の長崎撮影紀行−小川一真と江南信國のはるかな旅路」2,000円 長崎文献社は、脳神経学者の著者が科学的手法で古写真の謎を解き明します。港・山・寺・社・川と多様な風景写真が。ISBN978-4-888521-229-9

●天然の食品香料として欠かせないバニラを知ってますか?その起源・生態・栽培・生産・利用を網羅した、エリック・オドゥー、ミッシェル・グリゾニ著、谷田貝光克訳「Vanilla」5,300円 フレグランスジャーナル社は、その遺伝資源としての重要性、バイオテクノロジーの観点から眺めたバニラ、栽培システム、病害虫、バニラ豆の熟成とバニリンなどの芳香化合物の生成過程など幅広い情報を24章に渡って。ISBN978-4-89479-253-1

●著者のオガワカオリさんは、週4日だけ手作りパン工房で働き、空いた時間はこの変な趣味に費やしているとか。「九州の巨人!巨木!!巨大仏!!!」1,600円 書肆侃侃房は、同社の<国内紀行>ガイドシリーズの一冊。山の中にひっそりたたずむ巨大仏、何百年も生きる巨木など九州各地の「巨」134を集めた本。著者セレクトの周辺立ち寄りスポットも掲載。ISBN978-4-86385-172-6

●城下町地図から最新地図まで、上田市のカラー地図を集大成。責任編集=尾崎行也・佐々  木清司「上田古地図帖」3,000円 しなのき書房は、真田家ゆかりの城下町絵図も多数収録。主要75点でふるさとの歩みがひと目でわかる。ISBN978-4-903002-46-0

●「おはなしいっぱい」の童謡詩人・祐成智美の2冊目。「タロとあるく」1,100円 リーブルは、子どもの躍動している心と姿が明るく描かれた生活詩が一杯の童謡詩集。ISBN978-4-947581-81-5


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