トップページ地方・小出版流通センターサイトマップ


地方・小出版流通センター

地方・小出版流通センター通信 No.1349(2015/08/04)

毎日、毎日、朝に夕に猛暑だ!猛暑だ!とニュースでやられると、精神的にその気になってしまい余計暑く感じます。あそこまで、ニュースや天気予報で報ずる必要があるのでしょうか?

今年も「ブックインとっとり2015−地方出版文化功労賞」の発表がありました。今年で28回目になります。戦後70年!受賞二点が北と南の「戦後」を跡づけたものになっています。

地方出版文化功労賞 奨励賞は2点。まず、福島・会津若松の歴史春秋出版刊の、平出美穂子著「古文書にみる会津藩の食文化」3,000円(ISBN978-4-89757-817-0)です。「こづゆ」を初めとした伝統食が地元の料亭で主役として供される、地域の伝統を大切にしてきた会津らしい料理書であるとともに歴史書。評価された点は、記録の多く残るハレの料理とともに、ケの日の食事(例えば下級藩士や藩校での日々の食事)についてもしっかりと再現され、様々な回想、様々な場面の料理がわかりやすく提示され、さらに戊辰戦争篭城時の記録に基づく再現は出色です。図や写真も多用された資料であり、郷土の食文化資料として長く図書館や資料館に残しておきたい本です。

もう一点の奨励賞受賞作は、沖縄タイムス社刊、沖縄タイムス中部支社編集部編「基地で働く−軍作業員の戦後」1,905円(ISBN978-4-8727-213-1)です。基地の集中する、沖縄・中部版で一年三ケ月にわたり、83人の証言を掲載した地方版記事を職種や体験によって6つの章にまとめている。基地反対闘争などに比べ、基地に直接関係した方々に関する類本は少なく、断片的な記載が多い。そして初期勤務した方々は高齢となり、この時期に残さねば証言が失われてしまう、いま、この本は真正面からこれに取り組んでいます。基地建設から武器の収納 、謀略ビラの作成等様々な職種の証言により、基地の多様なシステム、側面が理解されると、認められました。

地方出版文化賞 特別賞は、北海道新聞社刊、本田良一著「日ロ現場史 北方領土−終らない戦後」2,100円(ISBN978-4-89453-714-9)が選ばれました。日本・ロシアの関係を海洋資源と領土の二つのフィールドで徹底的に掘り下げた戦後史として貴重な著作です。前半は、昆布、サケ、マス、カニといった北方領土周辺で産出する海洋資源が、どんな状況、いかなる方法で漁獲され、様々な状況の変化の影響を受け、運びこまれる量も、その行為自体の評価も変化してきたかが、証言と資料で明らかに。そして後半では、終戦間際から、どのように島が占拠され、どう扱われてきたか、また、冷戦などの国際的な動きや国内の政治状況によって返還に対するスタンスが変化し、どんな動きがあったのかが臨場感を持って綴られています。

これから出る本・新刊案内

●昭和38年にはじまったテレビアニメ「鉄腕アトム」。アトムに魂を入れた−と手塚が言った声優が、制作秘話を交えて綴った自叙伝。清水マリ著「鉄腕アトムと共に生きて-声優が語るアニメの世界」1,800円は、さきたま出版会から。ISBN978-4-87891-420-1

●暗殺、謀略、裏切り、奇策、備中高松城水攻め、宇喜多直家を中心に繰り広げられた岡山の戦国ヒストリー。市川俊介著「岡山戦国物語」1,200円は吉備人出版から。好評につくき重版出来。ISBN978-4-86069-264-4

●「A子さんの恋人」などで注目されるNY在住の現代アート作家が描く初めてのエッセイ集。「近藤聡乃エッセイ集-不思議というには地味な話」1,600円 ナナロク社は、エッセイと押絵57編、描きおろし漫画2編収録。ISBN978-4-904292-25-9

●子どもを愛するすべての母親に!グランまま社から久しぶりの新刊。さく みついゆきこ、え くぜじゅんき「おっぱい ばいばい」1,200円は、授乳しているときの満ち足りた幸福感。断乳のときの身がよじれるつらさ。かけがえのない時間を母親の目でやさしく描いた絵本です。ISBN978-4-906195-64-0

●信仰とセクシュアリティを考えるキリスト者の会代表の社会学者によるレスビアンをめぐるアイデンティティの可能性を描く書。堀江有里著「レスビアン・アイデンティティーズ」2,400円 洛北出版は、生き難さへの怒りが伝わります。ISBN978-4-903127-22-4

●秋田県横手地方に残った「奇習」をはじめて明らかにします。須藤功著「若勢(WAKAZE)」1,800円 無明舎出版は、出羽国(横手地方)の農業を支えた若者たち、農作業が、すべて手作業の時代を支えた奉公人市の全体像が描かれます。ISBN978-14-89544-594-8

●基地問題は普天間だけではない。新たな基地負担がある。基地をめぐる「歴史認識」を明らかにもします。沖縄探検社編・刊「データで読む沖縄の基地負担」1,100円は、毎日起きる航空部品・備品の落下紛失。基地のある疑惑と恐怖を告発。ISBN978-4-9904533-8-1


本のご注文について

★一般読者へ。できましたら最寄の書店でご注文ください。その際、書誌名・発行所とともに「地方・小扱いです」と書店員の方に告げてください。またネット書店でも扱っている場合があります。
お急ぎの方は当社でもご注文をお受けします。コチラをご覧になりFAXにてご注文ください。
★書店様へ。当センター扱い商品は「注文制」です。お取引取次店へご注文いただくか、弊社ファックス(03−3235−6182)にて、帳合・取次・番線・書店コードを明記の上、ご発注ください。よろしくお願いします。

トップページ地方・小出版流通センターサイトマップ