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地方・小出版流通センター

地方・小出版流通センター通信 No.1350(2015/08/18)

いま長崎の街は空前の観光客ブームだそうです。路面電車は修学旅行生や県外観光客で一杯。月平均3隻入港する豪華客船からは3千人ほどの客が町に吐き出され「爆買」に奔走し、「明治日本の産業革命遺産」が世界文化遺産に決まった7月からはさらに急増中だそうです。この恩恵を長崎にもたらした人物の一人が英国人トーマス・グラバーで、グラバーの住んでいたグラバー住宅(グラバー園)には、異国情緒を求めてくる客の9割は訪ねるといいます。グラバーは住宅を残しただけでなく、世界遺産となった、小菅造船所、高島炭鉱に直接関わり、さらに軍艦島(端島・世界遺産)にも間接的にかかわりました。今回指定された長崎の世界遺産がすべて三菱関連施設であり、三菱のお雇い外国人として、炭鉱開発やビール製造(現在のキリンビール)に貢献したことでは、「世界遺産のグランドスラマー」とも言えます。

この長崎外国人遺留地研究の第一任者である、長崎在住カナダ人で、ブライアン・バークガフニという学者がいます。長崎に関する出版の多くを手掛ける長崎文献社から、丹念に資料を辿り史実を記述したものとして評価の高い著作が出ています。代表的なものを挙げると、グラバー伝記の決定版とも言える「グラバー家の人々」(2003年初版・本体1800円・ISBN978-4-88851-172-8)があります。他に「華の長崎」(2005年・5800円・978-4-88851-085-1)、「グラバー園への招待」(2010年・800円・978-4-88851-215-2)、「リンガー家秘録」(2014年・2400・978-4-88851-215-2)とつづきます。特に「グラバー園への招待」は、グラバーだけでなく、国の重要指定文化財 に指定されている住宅を建てた、フレデリック・リンガー(リンガー住宅)、ウィリアム・オルト(オルト住宅)という2人の英国人を詳しく紹介し長崎観光のわかりやすいガイドブックとなっています。いま注目される「長崎」を長年見つめ続け、紹介し記録してきた地域出版が報われつつあるようです。

マツノ書店主人、松村久さんがNHKのラジオ深夜便にご出演

●山口県の徳山(現・周南市)で長年、明治維新関係の出版を続け、第55回菊地寛賞も受賞した、マツノ書店主人、松村久さんが「古書復刻40年」という題で、NHKのラジオ深夜便で、8/23(日)4時05分から、「仕事一筋60年の来し方行く末」を語るそうです。早朝ですが、ご案内しときます。

新刊・これから出る本

●海の気配が心地よく漂う個性豊かな千葉県の「海カフェ」135軒を紹介。沼尻亙司(こうじ)著「千葉の海カフェ」1,300円 書肆侃侃房は、港町のカフェで見かけた地元民の日常のリズム、店主とのなにげない会話。最東端の銚子から、サーファー人気の九十九里海岸、太平洋に広がる外房、南国の光が弾ける南房総、東京湾に望む内房まで。ISBN978-4-86385-196-2

●発行以来累計65万部を発行しているベターホーム協会の「お料理一年生」が全面改訂され新版が出ます。素材別食材の扱い方を中心に包丁の持ち方など基礎、冷凍の仕方、盛り付け、後片付けなど料理以前のきほんのキを写真でていねいに。「新ベタホームのお料理一年生」ベターホーム協会編・刊は9月刊。キッチンで広げやすく堅牢な造りのA5版と、文字が大きくて見やすいワイド版の二種類になります。A5判の堅牢版(ISBN978-4-86586-015-3)は1,400円。ワイド版(A4判・並製 978-4-86586-016-0)は1,500円です。

●寺山修司生誕80年記念出版です。白石征著「望郷のソネット-寺山修司の原風景」2,400円 深夜叢書社は、寺山と伴走しつづけた編集者によるその世界の深層。精神的孤児としての孤独と悲しみを丹念に読み解きます。ISBN978-4-88032-424-1

●南西諸島に伝わる葬送歌や哀惜歌、宮古島の古謡。文字のなかった時代人々は歌に想いを託しました。福寛美著「歌とシャーマン」1,500円 南方新社は、藤圭子の怨歌、伊豆大島のミコケのある女性の御詠歌、盲目の女旅芸人瞽女の歌と信仰など、歌と神霊の奥深い世界を説き伝えます。ISBN978-4-86124-321-9

●バードウォッチヤーのバイブル的図鑑がリニュアール。!高野伸二著「フィールドガイド日本の野鳥 増補改訂新版」3,600円 日本野鳥の会は、2012年9月発行の新しい鳥類目録に対応。解説とイラストを更新、観察されやすい種19種を追加しています。より薄く、持ちやすくなっています。ISBN978-4-931150-62-1

●母親は女性博徒、父親は暴力団組織の組長。喧嘩や覚せい剤の果ての獄中生活を犯罪学者が記録したユニークな著作。廣末登著「組長の娘 中川茂代の人生」1,800円 ハーベスト社は、更生した女性自身が語る自身のライフヒストリー。ISBN978-4-86339-066-9

●福島で進行する低線量・内部被ばくをレポート。医療問題研究会編著「甲状腺がんの異常多発とこれからの広範な障害の増加を考える」1,296円 耕文社は、112人が甲状腺がんと判定され、99人が手術。これは地域統計の数十倍多い。被ばくを隠す言い訳は許されない。ISBN978-4-86377-040-9

●旧石器・縄文文化からアイヌ文化の形成、松前藩成立までを豊富な図版で解説。どこからでも読める、古代・中世の入門書。関口明・越田賢一郎・坂梨夏代著「北海道の古代・中世がわかる本」1,500円 亜璃西社は、2万5千年を一気に読み解く。32のトピックスで、謎とロマンに満ちた時代を描きます。サハリンに来襲した元軍と唐子アイヌによる戦いなど。ISBN978-4-906740-15-4


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