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地方・小出版流通センター

地方・小出版流通センター通信 No.1361(2016/01/27)

この数年、社主の高齢化や他界という理由で廃業する出版社が後を断たない。その後始末も仕事になってきています。基本的には、預っている在庫を返して、残高を合せて清算ということになります。そして、その出版社が今まで出してきた出版物は消えてゆくわけですが、資料としてまだ役にたつ本も多くあります。ある図書館から予算が余ったのでいままで買っていない(買えなかった)地方出版の比較的に高額なもので在庫のあるものを買いたいという要望がありました。戦後70年、地方出版が活発になって40年、いろいろな地域に関する本が各地の出版社から出てきわけですが、それなりの予算を持った図書館でもそう多く揃えているわけではありません。例えば岩手の「遠野」とか学術的(民俗学)に重要視される地域の本は揃えられ、そうではない県や市町村に関する本は忘れられてきたと思います。おそらく、国立国会図書館と地元の図書館が1冊づつ“資料”として保存しているにすぎないと思います。

かっては、県を“地域”の単位と考えることが多かったように思いますが、交通網の発達により人の往来は広範囲になり、それぞれが影響し合って戦後の“地域”が作られてきたと思うのですが、そのような感覚で、果たして図書館員が郷土資料を集めてきたか?はなはだ疑問を持っています。昔は、例えば秋田に関する本は、青森の図書館や岩手の図書館が購入してきたか?と言えば少数であったと聞きます。また、郷土の本は地元住民にとっては、読み物であり実用書でもあるわけで、本来は資料として購入するものとは別に、誰もがいつも手にとって読めるように、開架棚にも一冊置いておく配慮があってもいいように思います。地域出身の作家や著名人の伝記や著作物を集書するように。そして高齢者が多く図書館を利用するようになった昨今の要求でもあるように思います。これから、廃業(閉店)する出版社の本を地域の図書館になるべく多く遺す方法ないだろうか!と思いあぐねている昨今です。

新刊・これから出る本

●膨大な島々で構成されるインドネシアという国。サギと魚とカニと(サブ島)、人間と海と火(アロール島)など、訳者が長年訪れ採取した民話10編を翻訳出版します。採集・訳/和知幸枝「インドネシアの民話集 サブ島のベロド」1,500円 優しい食卓は、人間の深い心に潜む闇をえぐる民話の数々を紹介します。ISBN978-4-901359-70-2

●ローマ法王との謁見を実現させた被曝者の衝撃的生涯を絵本で伝える学習絵本・長崎の証言Eとして、企画:末永浩、構成:船井サナミ、絵:西岡由香「生きていてよかった−片岡ツヨさんの証言から」2,000円 長崎文献社は、言い尽くせない地獄絵巻、自分の顔をみた時のショック等。ISBN978-4-88851-252-7

●歴史ファンタジー絵本です。え:こだまじゅんこ/ぶん:さめじままさやす「まほうつかい おづの−鬼は外国人だった!?」900円 読書館は、生駒山に伝わる「役行者(えんのぎょうじゃ)の鬼退治」伝説をもとに、鬼は外国人だったという仮説をたて創作された絵本です。ISBN978-4-925170-34-5

●全83巻に及ぶ韓国全道で採取された説話を地域別に収録した韓国の口碑文学の集大成である国家的事業の成果を日本語に。日韓比較文学研究会編「翻訳 『韓国口碑文学体系T』」3,000円 金壽堂出版は、韓国の方言のままで採録されたものを百話日本語に初翻訳して刊行されます。解題付きです。ISBN978-4-903761-14-2

●江戸後期、幕府は諸国の風俗・習慣を知る為に、問状を各藩に配布し回答をもとめた。その回答の秋田版です。金森正也:翻刻・現代語訳・解説「秋田風俗問状答(といしょうこたえ)2,500円 無明舎出版は、その影印版・翻刻・現代語訳。加えて注釈と解説を付し、カラー彩色絵図20頁付き。ISBN978-4-86544-608-2

●信州の一年は自然の恵みと発酵食とともに巡ると言います。その研究の権威:小泉武夫氏と料理研究家:横山タカ子共著「信州の発酵食」1,200円 しなのき書房は、信州の8つの発酵食、台所からの発酵食レシピ、発酵食王国信州の概観で構成。ISBN978-4-903002-49-1

●即席漬け、本格漬け、地漬(ジージキ)、黒砂糖の濃厚な味が独特の風味を醸し出す南国の漬物。家庭料理友の会編「家庭でつくる 沖縄の漬物とおやつ」1,600円 むぎ社は、漬物、19のレシピと日本、米国、中国そして琉球の食文化のチャンプルーが生み出した独特のおやつ53レシピ集。オールカラーです。ISBN978-4-944116-46-1

●才能を見抜いた但馬大乗寺の住職の支援で大成した江戸中期に活躍した絵師・円山応挙の生涯を時代小説化。水嶋元著「丸山応挙伝 報恩の画」1,200円 北星社は、同時期に活躍した絵師たちも続々登場し、当時の日本画壇の本質が見えます。ISBN978-4-939145-43-8

●戦後の野毛で生きるヤクザ・賭博師・風太郎・浮浪児・売春婦ら闇に生きる人々をペーソスあふれる文章と挿画で描きます。伊奈正司著/伊奈正人解題「やけあと闇市野毛の陽だまり」1,600円 ハーベスト社は、米警官が見た、昭和23前後の横浜・野毛の人びとの姿を甦らせます。ISBN978-4-86339-070-6


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