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地方・小出版流通センター

地方・小出版流通センター通信 No.1372(2016/08/03)

出版ニュースの「海外出版レポート」欄でアメリカを担当している小山猛氏が、続けて2回も「なぜ電子書籍の売り上げが落ちているか」という報告をしているのが興味深い。アメリカ出版社協会の売り上げデータでは電子書籍の売り上げは前年比14%減、マーケットシェアは2014年の23%から20%に縮小しています。調査会社であるコーデックス・グループが行った「最近の書籍購買者の購買傾向調査」では、書籍を購読した4992人のうち、買った書籍における電子書籍の割合は、前年4月の調査で35.9%だったものが32.4%に減少しています。コーデックス社のスミス社長は、デジタルが席捲してしまった音楽業界と異なり、書籍業界は二つの要素により異なっているといいます。

一つ目は、書籍業界において電子媒体で本を読むということは選択肢の一つであり、(それがスーマートフォンであれ、タブレットであれ、専用リーダーであれ)利便性と価格の安さにかかわらず、印刷された書物にとって代わるような読書体験をもたらすまでに至っていないこと。二つ目に読者に「デジタル疲れ」という兆候が見え始めているということ。日本においてはコミック(書籍と定義するかどうか疑問ですが?)をメインにスマートフォンが「電子書籍」媒体として 大きな存在感を示していますが、アメリカでは、所有率73%のスマートフォンでは電子書籍読書時間の12%しか占めていません。 所有率66%のタブレット端末による電子書籍でも読む時間の28%しか占めません。また書籍購読者は一日平均5時間、デジタルデバイスのスクリーンを見る時間に費やしていますが、この購買者の25%、特に18歳から25歳の若い世代では37%がこの時間を減らしたいと思っており、書籍を読むには紙の本という選択肢が残っているので、彼等の嗜好は紙の本に戻りつつあると指適します。

そして紙の本を買う割合は、最もスクリーンに向かう時間の長い18歳から24歳の世代が最も高く83%、55歳から64歳の世代では61%だそうで、スミス氏は電子書籍が更に価格を安くする、あるいはデジタル環境の向上を計らない限り、「デジタル疲れ」は加速して電子書籍の売り上げ減少傾向は続くだろうと予測しています。

純粋「書籍」の世界では、出版社のデジタル化に対する姿勢や国会図書館等のデジタル化事業の推移をみても日本ではアメリカ以上に電子媒体読書が伸びる余地は少ないように思いますがどうでしょうか?しかし、これは書籍という形態の話で、新聞や雑誌という情報をメインとするメディアにおいては、アメリカでも日本でも電子媒体が勢いを増していることは事実で、様々な統計が証明しつつあります。ただそれがどれだけ経済性を持つかは?まだ先行きが見えないというところではないでしょうか?

★ 運送業者お盆休みのため、8月11日(木)から15日(月)まで出荷は休みとなります。

新刊・これから出る本

●適切な対応をとることで発達障害者の運転免許取得の可能なことを解説しています。梅永雄二編著「発達障害者と自動車運転−免許の取得と教習のためのQ&A」1,200円 エンパワーメント研究所は、発達障害者が自動車免許を取得するにあっての様々な問題点をQ&A形式などでわかりやすくまとめています。ISBN978-4-907576-42-4

●人気・実力・爆笑落語家−瀧川鯉昇(リショウ)の初の自叙伝、波乱万丈な修業生活。瀧川鯉昇著「鯉のぼりの御利益−東京かわら版新書(3)」1,200円 東京かわら版は、酒で廃業した師匠・春風亭小柳枝の壮絶な生き様にも注目です。ISBNなしです。

●難しいAndoroid Studio2を使う前にう前にEclipseでAndroidプログラミングの基礎を学べるように配慮した学習書です。佐藤浩著「アンドロイドプログラミング 最初の一歩 3」3,500円 パルフ出版は、最新のAndoroidアプリケーション開発環境の最新版の難しさで、学習をあきらめてしまう初心者に配慮したものです。ISBN978-4-9905443-2-4

●これから計算機言語を何とか習得したいという人のために、計算機言語の全体とまではいかないが大部分を示そうと試みた本。シ著「計算機言語のまとめノート」250円 暗黒通信団は、あなたは何の言語から学び始めるべきか?を読者に問うています。ISBN978-4-87310-051-7

●ぐぐぐん ぐぐぐん よぞら いつまでも ずっと ひろがりつづけているらしい〜作・絵 くにいともあき「のぼれぼしさま」1,300円 ぶんしん出版は、壮大なスケールで描くだれも知らない宇宙神話。天文台の街・三鷹発の「星と森の絵本」3作目です。ISBN978-4-89390-122-4

●著者の後田多敦さんは石垣島生れの琉球史・日本近代史の研究者。「『邦小国』をめざして」2,222円 出版舎Mugen刊は、「史軸」批評による沖縄「現在史」です。沖縄のあるべき姿を「海邦小国」ということばに託して透視する評論集です。ISBN978-4-905454-20-5

●夏だ、酒だ!横浜市民酒場だ!横浜の出版社・星羊社編・刊「横浜民衆文化誌 はま太郎Vol.11」833円の特集は、野毛の名店・武蔵屋おばちゃんのお惣菜シシピ、横浜を撮り続ける写真家・森日出夫ロングインタビュー、彼が手掛けるオリジナルグラスは男心を踊らせる−バンティグラス(!?)をつくるひと、驚き!ワイン生産量日本一は神奈川県?!−海蝦原健介教授が語る日本ワインの魅力など。ISBN978-4-9908459-2-6

●島根・松江市にある「松江歴史館」の公式展示のガイドブックの改定新版です。松江歴史館編「改定版 雲州松江の歴史をひもとく」1,000円 ハーベスト出版は、戦災に遭うことなく古い姿を残している城下町の成り立ちを。松江城が国宝に指定されたのを受けて、その重要な要素となった「祈祷札」等を新たに収録。ISBN978-4-86456-200-3

●名古屋の出版社・あるむが意欲的に取り組む<台湾文学セレクション>第3巻目。蘇偉貞著/倉本知明訳「沈黙の島」2,300円は、国家や民族、階級やジェンダーといったあらゆるアイデンティティを脱ぎ去り、個/弧としての女性の性と身体を見つめた<台湾現代文学作家の代表作の邦訳です。ISBN978-4-86333-102-0

●アン・ホワイト著/村田道則訳「オーストラリア・ブッシュ・フラワーエッセンスのハッピーヘルシー子育て」2,300円 フレグランスジャーナル社は、自然療法士として活躍する著者が、妊娠・出産から7歳児まで/家族が健やかでハッピーに暮していくための、安全で簡単、とても強力ヒーリングシステムを紹介。ISBN978-4-89479-273-9

●桃太郎、オオカミとキツネ、大食いゴンタなど63話を四季に分けて収録。立石憲利著「立石おじさんのおかやま昔話 第三集」1,200円 吉備人出版は、全国の7千話しに及ぶ民話採集者として知られる著者が子どもたちのために岡山県内で採集した民話を紹介。短い話しが多く読み聞かせや親子読書に最適です。ISBN978-4-86069-472-2


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