トップページ地方・小出版流通センターサイトマップ


地方・小出版流通センター

地方・小出版流通センター通信 No.1373(2016/08/19)

九州・福岡の西日本新聞社から、ブックオカ編「本屋がなくなったら、困るじゃないか−11時間ぐびぐび会議」1,800円(ISBN978-4-8167-0922-7)が刊行されました。本書は、昨年秋にまる2日間に渡って「車座トーク〜本と本屋の未来を語ろう」という出版・書店・取次人など12人のゲストを博多に招いて行われたトークイベントの記録(約200頁)と、工藤秀之(トランスビュー)、星野渉(文化通信編集長)、松井佑輔(H・A・Bookstore)、川人寧幸(ツバメ出版流通)、三島邦弘(ミシマ社)、長崎健一(熊本長崎書店社長)各氏へのインタビューと、大分の古書と新本も扱うカモシカ書店店主・岩尾晋作さんの「本棚の向こうの青空」という寄稿(約80頁)から成っています。トーハン・日販の取次人も参加して、昨今の本の環境が現場の感覚で語り合われています。問題は40年ほど前から同じのような気がしますが、市場が小さくなっている中での苦悩がいろいろ語られています。私が、知らなかったこと、認識していなかったことも幾つか語られていました。

本書の論議の中で、取次の九州「店売」がなくなっていることが語られています。書店でも図書館でも現物選択が出来る機会が無くなっていることを知りました。30年程前になりますが、大手取次の仙台支店長さんと話した折、将来的には東京近郊の取次店物流倉庫から、全国の書店に直送出来るようになるのが理想で、各地の取次支店の店売はなくなるだろうと言われましたが、それが現実になっていることを改めて実感させられます。売上減少、取引き書店の閉店増がそれをさらに後押ししています。本書の中で試案されようとしている、一冊の注文にも対応出来る「九州圏独自の出版流通システム」が出来るには、米欧の書籍流通システムのように、価格の変更(値上げ)と物流マージンの相応の負担が避けられないのではないでしょうか。

新刊・これから出る本

●200万人が受講したベターホームの料理教室の先生たちが、自宅でよく作っているおかずを集めました。ベターホーム協会編・刊「忙しくても作れる!料理教室の先生のアイディアおかず」1,200円は、何度も作っているレシピなので、味はお墨つき。特別な材料や道具、難しい手順はありません。毎日忙しい先生は、「時短調理」が得意。買物しやすい材料と調味料を使って、手早く料理することを心がけ、「栄養」もしっかり。家計のための「節約」にも余念がありません。ISBN978-4-86586-028-3

●「お化けの世界」などで知られる岡山出身の児童文学者が日中戦争の現地視察で見たものは?劉迎(リュウイン)著「坪田譲治と日中戦争」1,800円 吉備人出版は、1939年に中国の戦地視察で見た中国の子どもたち。この作家の子ども像の変化を戦時中・戦後期の作品から考察し、今まで触れらなかつた点に迫ります。ISBN978-4-86069-478-4

●韓国で最も権威ある文学賞=李箱(イサン)文学賞などに輝く女流作家・金仁淑(キム・インスク)の珠玉の短編7作品を収めた日本語版の初出版です。金仁淑著/和田景子訳「アンニョン、エレナ」1,600円 書肆侃侃房は、韓国女性文学シリーズ1巻目。遠洋漁船に乗っていた父から港港にエレナという子どもがいると聞かされた主人公が、その子らの人生が気になり友人に自分の姉妹を探してと頼む表題作や「ある晴れやかな日の午後に」など。ISBN978-4-86385-233-4

●25年前に刊行され品切れとなった本の改定版。環境も随分変わっている現在もレポートしています。浅間茂・林紀男著「手賀沼の生態学2016」1,000円 たけしま出版は、かって、日本一水質汚濁のひどい湖沼(いまは、かなり、改善されている)の生い立ちから生態系や自然(植物・鳥、昆虫、哺乳類、プランクトンなど)全般をあらためて詳細に。<手賀沼ブックレットNo.8>です。ISBN978-4-925111-54-6

●天草四郎、カライモ博士・今福民三、知の巨人・吉本隆明など天草にゆかりのある50人の業績を記録。天草学研究会編「評伝 天草五十人衆」2,400円 弦書房は、かって天領であった天草は独特の風土と歴史の中で苦難を乗り越え、天草スピリットを体現した人々が多くいました。その忘れてはならない技と生き方を刻みます。ISBN978-4-86329-138-6

●よく使われる医療制度・介護保険・福祉関連用語を網羅して、各分野の報酬改定等の最新情報を掲載しています。現代けんこう出版編集部編・刊「医療/介護/福祉コンパクト用語集」800円は、修学用テキストとしても利用できます。ISBN978-4-905264-14-9

●今年も原爆記念日、終戦記念日が終りました。磯米作・画「特攻花 マンガで読む 特攻兵物語」1,300円 学芸みらい社は、基地のあった九州の知覧や黒島を訪ねて取材した4編の特攻兵物語を収録。彼等は何を考え、誰を想い飛び立っていったのか? ISBN978-4-908637-19-3

●消え行く、変わりゆく昭和の古き良き酒場をイラストエッセイで思い描く著者・多田欣也さんの労作第二弾。「二十世紀酒場(二)−東京・さまよいはしご酒」1,300円 旅と思索社は、東京の酒場の集る、平和小路、丸三横町、アサヒ通り、スバル飲食街などの人や風景をほのぼのとしたイラストで。ISBN978-4-908309-02-1

●都市社会地理学及び都市論が専門の原口剛著「叫びの都市 寄せ場、釜ケ崎、流動的下層労働者」2,400円 洛北出版は、流動的下層労働者たちが生み出した、戦後の寄せ場の記憶は、昨今の「釜ケ崎的状況」が現出する21世紀前半を生きる術の手がかりとなると著者は言います。ISBN978-4-903127-25-5

●岡山のシネマエッセイスト=世良利和の文に地元出身のマンガ家=いしいひさいちが絵を添える山陽新聞連載の単行本化。「シネマ珍風土記 まぁ映画な、岡山じゃ県2」1,600円 蜻(あきづ)文庫は、2013年9月から2015年8月までの岡山にまつわる映画批評エッセイに画がついています。ISBN978-4-904789-09-4


本のご注文について

★一般読者へ。できましたら最寄の書店でご注文ください。その際、書誌名・発行所とともに「地方・小扱いです」と書店員の方に告げてください。またネット書店でも扱っている場合があります。
お急ぎの方は当社でもご注文をお受けします。コチラをご覧になりFAXにてご注文ください。
★書店様へ。当センター扱い商品は「注文制」です。お取引取次店へご注文いただくか、弊社ファックス(03−3235−6182)にて、帳合・取次・番線・書店コードを明記の上、ご発注ください。よろしくお願いします。

トップページ地方・小出版流通センターサイトマップ