トップページ地方・小出版流通センターサイトマップ


地方・小出版流通センター

地方・小出版流通センター通信 No.1377(2016/10/19)

岩波ブックサービスセンター信山社の柴田信(しん)さんが、10月12日に虚血性心不全のため急逝されました。享年86歳でした。

柴田さんの書店論によって学んだ方は多く、80年代、90年代の書店を担ってきた元書店員の方は「店売については海地信さん、店舗運営については柴田信さんと定めていた書店員は多かったと思います。若き日というか、書店員である時代をずっとお二人の背を追ってきた者として、なんだか止めを刺されたかのようなショックをどう躱(かわ)せばいいのか…はなはだ厳しい課題です」と寄せています。元旭屋書店の海地信さんは『書店の店頭から−本屋はわたしの学校だった』(編集工房ノア・1985年刊)を著した方。柴田信さんは『出版販売の実際』(共著・1978年刊)、『ヨキミセサカエル−本の街・神田神保町から』(1991年刊・共に日本エディタースクール出版部)で、前例の少なかった書店の現場論を展開されました。

柴田さんは、教師生活の後、当時は池袋の大型書店として名を成していた芳林堂書店の店長として、当時では最先端の「単品管理システム」を作り出し、それを世に問うたのが「出版販売の実際」です。芳林堂から、信山社に移り、本の町神保町の世話役として、非再販本を期間限定で可能とした「神保町ブックフェスティバル」の立ち上げから今までの主要実行委員として、また「神保町を元気にする会」の事務局長として80歳を超えても元気に活躍されていましたが、残念ですが、人生を閉じられました。柴田さんの一生については、昨年、晶文社から出た石橋毅史著『口笛を吹きながら本を売る』をご覧ください。直接柴田さんから取材しています。柴田さん亡き後も、昨今の苦境にある書店・出版業界をしっかりと生き続けさせねばなりません。

*追記:「お別れの会」が11月21日(月)一ツ橋の如水会館2Fにて行われます。開催案内の詳細は、コチラ(Wordファイル)をご覧ください。

新刊・これから出る本

●ロングセラーの増刷が出来ました。NHKのETV特集「武器でなく命の水を−医師・中村哲とアフガニスタン」で大反響の原点的著作。中村哲著「医者用水路を拓く」1,800円 石風社は、「百の診療所より一本の用水路を!」と、アフガンの大地から世界の虚構に挑むペシャワール会の活動を伝えます。ISBN978-4-88=44-080-1

●沖縄で戦後の芭蕉布復興のバイブルと言われる書の復刊です。柳宗悦著・松井健解題「芭蕉布物語」1,500円 榕樹書林は、民藝運動の祖・柳宗悦著の古典の復刊。老齢化や過疎化、文化意識の変化でどこでも大きな危機にある伝統工芸の復活を願っての刊行です。芭蕉布の美しさを最認識し、いつまでも残してゆくために。ISBN978-4-89805-189-4

●あべ弘士・田島征三などの物語の作者・きたむらゆういち作・画の絵本。「絵本 されどオオカミ」1,400円 あるまじろ書房は、あらたなタッチで、モンゴルのオオカミとにんげんの世界を描きます。ISBN978-4-904387-09-2

●笑いあり、涙あり、したたかに生きた女たちを活写しています。渡辺順子著「小説 田中カツ−田中正造の妻と明治の女たち」1,800円 随想舎は、鉱毒事件に奔走する正造を支え、救済活動に力をつくしたカツを軸に物語は展開します。ISBN978-4-88748-328-6

●DCプランナーとは、企業年金プランナーのこと。確定拠出年金制度発足とともに出来た資格で、次第に注目されています。「DCプランナー1級合格対策問題集 2016年度版」2,727円 経営企画出版編刊は、その一級対策集の最新版です。ISBN978-4-904757-16-1

●ふだんはあまり見向きもされない博物館・資料館の学芸員たちが、おらが町のちょっといい話、自慢所蔵品を熱く紹介しくす。北海道博物館協会学芸職部会編「北の学芸員たちの自慢のお宝ばなし」1,500円 寿郎社は、ほかの地域の人達には知られていない、魅力的な北の<自然>と<文化>と<人間>のはなし51編。ISBN978-4-902269-92-5

●日本三大弁天の一つ宝厳(ホウゴン)寺や本殿が国宝である都久須麻(ツクプスマ)神社などがある、琵琶湖に浮かぶ竹生島。竹生島奉賛会/発行「竹生島−神を斉く島のメモリー」1,500円 サンライズ出版/発売は、人々の信仰を集めてきた島の歴史や文化、自然など全てを紹介します。ISBN978-4-88325-603-7

●江戸の香り、明治の面影、昭和の名残り…川沿の道を辿り、歴史に想いはせる歩き旅123コースを紹介。飯野頼治著「東京の川を歩く−地図でたどる里川・用水・緑道」2,800円 さきたま出版会は、多摩水系を中心として「多摩地域」、神田川と石神井川を代表とする「23区エリア」そして多摩川・江戸川・荒川河口までの「大河」の3分類構成です。ISBN978-4-87891-421-8

●岡山県語りのネットワーク編・著/立石憲利監修「むかしこっぷり−吉備之国の民話」1,700円 吉備人出版は、温羅と桃太郎・腰折れ地蔵など岡山県内に伝わる民話52話を収録。自らが語っていたり語ろうとする民話の「再話」集です。「こっぷり」とは「はいおしまい」というような締めの言葉。ISBN978-4-86069-482-1


本のご注文について

★一般読者へ。できましたら最寄の書店でご注文ください。その際、書誌名・発行所とともに「地方・小扱いです」と書店員の方に告げてください。またネット書店でも扱っている場合があります。
お急ぎの方は当社でもご注文をお受けします。コチラをご覧になりFAXにてご注文ください。
★書店様へ。当センター扱い商品は「注文制」です。お取引取次店へご注文いただくか、弊社ファックス(03−3235−6182)にて、帳合・取次・番線・書店コードを明記の上、ご発注ください。よろしくお願いします。

トップページ地方・小出版流通センターサイトマップ