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地方・小出版流通センター

地方・小出版流通センター通信 No.1389(2017/06/14)

最近になって急に浮上した出版流通の危機的環境の状況を知るにつけ、その変容の深刻さにショックを受けます。
まず、取次が本や雑誌を届ける配送先の変化です。2011年6万店弱あったものが5年後の2016年は6万7500店に増加したものの、その内訳は書店が2千店減少してコンビニが1万店増加しました。そして2016年を例にとれば書店1万3千店に対して、コンビニ5万4500店に配送がされていて、それぞれの取次が運送会社に委託したり自社便で配達してます。書店数の4倍の数のコンビニへの雑誌輸送は取次の大きな負担になっています。
かつて、3万店余の書店への雑誌と書籍の混載配送で組み立てられたシステムに5万を超えるコンビニ配送が加わり、矛盾が露になってると言えるのではないでしょうか?

もう一つは日本出版取次協会が出した「業量平順化」のお願いから読める、取次現場の業務量の偏りです。最も少ない日の新刊点数は132点、70万冊、最大日は335点、250万冊と約3.5倍で、少ない日は午後4時に作業終了なのに、多い日は夜22時以降も作業だといいます。新刊に加えて注文品の作業もあるわけで、注文品についても、作業量の多い、締日前(19日から25日)への集中が予測されます。取次社員の労働の均衡が保たれていないとともに、余分な負担がかかっているだろうと推測されます。加えてこのような偏った配本量による返品増もあるといわれます。

運送業の人手不足、そして業量減少による不採算化による出版流通の危機が言われ、それは改善すべきなのですが、数年前までの取次間競争、書店間競争、そしてコンビニ間競争の陰で表面化してきませんでした。それが一気に吹き出てきたという感があります。現実を露にされてしまって、悩んでしまいます。とともに、対抗相手と目される<アマゾン>がこだわるような「速さ」で本を届けることが必要なのか?それを全出版物に適応するのは無理では?とも思ってしまいます。

新刊・これから出る本

●砂漠を横断する用水路、砂嵐から農地を護る砂防林・防風林。安定潅潅は、偉大な「投資である」と、アフガン支援に長年尽力してきた、ペシャワール会の中村哲医師は語ります。中村哲著「アフガン・緑の大地計画」2,300円 石風社は、伝統に学ぶ潅漑工法と甦る農業の実際を語ります。現在約1万6千ヘクタールの農地を回復しています。ISBN978-4-88344-271-3

●「復元!江戸時代の長崎」の著者による幻の名著の再刊です。布袋厚著「長崎石物語」1,600円 長崎文献社は、石が語る長崎の生いたち。観光地長崎を石を通して見ると長崎の古代〜現代までの人との営みが見えきます。ISBN978-4-88851-077-6

●結構値段がはるのですがマニアには必要な本でしょう。小家山仁著「カメの家庭医学百科−飼育の基礎と病気」5,000円 アートビレッジは、改定増補版。カメの基礎知識、飼育の基礎知織、動物病院のかかり方、餌と栄養、飼育環境と病気等。ISBN978-4-905247-62-3

●十二世紀に日本で誕生した伝統文化=手まり。水田由美著「手まり−幾何模様と手わざ」1,800円 リーブル出版は、その模様の美しさを生み出す製作技術とともに歴史を多くの文献を紹介しながら繙く著作です。ISBN978-4-86338-152-0

●現在の志木市の一部である商業都市の歴史・文化・民俗を郷土史家が語り尽くす労作です。神山健吉著「武蔵の商都『引又(ヒキマタ)』の栄光」1,800円 まつやま書房は、江戸期から昭和中期まで新河岸舟運で栄えた商業都市「引又」の姿が甦ります。ISBN978-4-89623-104-5

●東京の郊外で営まれる癒しの空間へ案内します。棚沢永子著「東京の森カフェ」1,300円 書肆侃侃房は、茶房糸屋、カフェせせらぎなど36ケ所をとりあげます。公園カフェ、隠れ家的カフェ等多彩なお茶飲み場があります。ISBN978-4-86385-268-6

●南の島での数々の廃村研究を踏まえ、足下から未来を切り開く術を探ります。安渓遊地編「廃村続出の時代を生きる−南の島々からの視点」2,500円 南方新社は、西表島の廃村の人々の暮し、屋久島の若者たちとの廃村探訪、別天地のやんばるの例をとりあげ持続可能な生活様式の確立を目指します。ISBN978-4-86124-363-9

●平将門を反逆者と誤認して鎮圧した時の権力者は誤りであった。本当は地震で困窮している民を救済した義侠者だったという。板東興太郎著「武藝人 平将門」1,500円 崙書房は、将門合戦の真相に迫り、いままでの将門記の像を塗り替える歴史小説です。ISBN978-4-8455-1215-7


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