「本の雑誌」(本の雑誌社刊)の表紙画をはじめイラストを43年、一度も休むことなく描いてきた、画伯=沢野ひとし氏が、2019年新年号で「●神保町物語−松村書店を忘れないで」という文を寄せています。彼が、児童書出版社・こぐま社の営業職時代の1969年から15年間通った、いまはなき古書店、洋書の松村書店の思い出です。美術やビジュアル関係の本の量が圧倒的で、どれも値段が安く、画集やイラスト、デザイン、写真といった見た目でわかる本には、(言葉がわからなくても)知的好奇心がくすぐられ、敷居が低く、よく通ったと言います。この店の逸話で有名なのは洋書マニアの植草甚一さんが鉛筆と消しゴムで「これは九百円ね」と本の値段を勝手に書込んで、店主=松村栄一さんとよく喧嘩になったということ。二人は仲が良く、本に詳しい顔なじみだったそうです。
この店は明治20年(1887年)に小川町に進出し百三十年の歴史があり、初代は店を持つ事ができず「せどり」から始めたそうです。二代目の松村龍一が洋書を大量に売りさばき、昭和29年には神保町では初の三階建てのビルを建てました。この時期に爆発的洋書ブームが始り、売上げは倍増。ビアズリーの画集を二千冊仕入れ、またたく間に売り切ったそうです。三代目の栄一氏の時代は脇も甘くなり、またバブル景気も終焉。銀座のイエナ書店をはじめ洋書専門店は次々と転覆。2007年に閉店。
沢野さんにとって松村書店で買った洋書は確実に絵を描くこやしとなり、今でも自宅の書棚には「松村書店棚」があり、絵に行き詰ると自然とこの棚の前で思案に暮れるのだそうです。20代半ばから30代の終りまでの、一番ものごとを勉強し吸収できる時期にこの書店と出会ったことは幸せなことであったと。<ありがとう。古本屋は大人の学校です。>と結んでいます。その他のお話は本文を読んでください。
●竹島(韓国名、独島)が日韓の係争の地となってすでに半世紀。韓国は竹島問題を「歴史問題」として捉え、一方日、日本は「領土問題」として捉えています。第四期島根県竹島問題研究会発行、ハーベスト出版発売で、下條正男著「韓国の竹島教育の現状とその問題点」800円が出ました。韓国の高校生用の副教材「独島を正しく知る」2016年版の歴史分野を中心に、韓国側の教育の概要と問題点を明らかにします。ISBN978-4-86456-291-1
●地元で「金魚鉢」という愛称で鉄道ファンに親しまれていた最高傑作の路面電車。1975年に廃止された神戸の市電と町並み。神戸鉄道大好き会編著「阪神国道電車」1,500円 トンボ出版は、本線、甲子園線、武庫川線・出屋敷線、北大阪線など。路線図、路線別開通図、停留所表示一覧も。ISBN978-4-88716-205-1
●43歳の時に、自分が学習障害の一種(文字の読み書き学習に著しい困難をかかえる障害)=ディスレクシアと知った著者。ICT機器を活用して大学を卒業し、現在は、大工として仕事をしながら、写真や映像制作も行う。井上智著「自分を取り戻す−成人ディスレクシア、50代で大学挑戦」1,800円 エンパワーメント研究所は、困難を脱した、波乱万丈の歩みを語ります。ISBN978-4-907576-50-9
●琵琶湖の西岸、浜大津から今津までを結んでいた鉄道が廃線となって45年余。大津市歴史博物館編「江若鉄道の思い出−ありし日の沿線風景」1,600円 サンライズ出版は、懐かしむ声に応えて利用者の回想を交え当時の写真と解説文で。4刷り出来。ISBN978-4-88325-554-2
●日本には32万人の医師がいますが、集中治療の専門医はたった0.5%の1600人しかいません。アメリカの調査では、集中治療専門医が、ICUを管理することで、合併症の発祥率や在院日数、さらに死亡率までも減少することが解ってきています。遅れている日本のICUの現状と課題を、医師、患者、看護師、理学療法士ら12人から聞きます。遠隔集中治療推進プロジェクト著「ICU・集中治療室物語」1,500円 星湖舎は、遠隔集中治療の重要性も訴えます。ISBN978-4-86371-101-2
●共に歩み闘い、最期を見取った渡辺京二の言。「私自身については、この一冊でほぼ私見を尽くした」と言う、渡辺京二著「預言の哀しみ−石牟礼道子の宇宙U」1,900円 弦書房は、石牟礼の遺した預言とは何か。そして彼女はどこへ帰って行ったのか。石牟礼道子像とその作品に込められた深い含意を伝える一冊。ISBN978-4-86329-182-9
●ストーリーで考える生き方論。現場は書店。鈴木孝博著「由佳の成長、それは奇跡の出会いからはじまった」1,500円 リーブル出版は、お仕事ドラマ。外資系証券をクビになった女性が書店チェーンに転職。奇跡の出会いから思わぬ活躍が始ります。「会社のあり方、私の生き方」をストーリーで。ISBN978-4-86338-240-4
●著者のバズ・ラヴデイはイギリス認知症トレーナー協会代表。パーソンセンタードケア専門の主席トレナー。バズ・ラヴデイ著/高橋誠一監訳/寺田真理子訳「リーダーのためのパーソンセンタードケア 認知症介護のチームづくり」2,000円 全国コミュニティライフサポートセンターは、、認知症の人が自尊心とアイデンティティをもち安心して受け容れられると感じるケアを実現するリーダーへの道を学びます。ISBN978-4-904874-60-8
●若年層を中心に風疹が流行っています。妊婦が感染すると、胎児に重大な影響を及ぼす怖い感染症です。金子あつし著「風疹をめぐる旅〜消される『子ども』『笑われる』国」〜1,600円 読書日和は、風疹の現状とワクチン接種について、ガラパゴス化した国=日本を告発します。ISBN9784-9910321-0-3
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毎年春に刊行してまいりました地方・小出版流通センター取扱図書目録【あなたはこの本を知っていますか】は、このNo.30をもちまして休刊となりました。今後は月刊情報誌【アクセス】や当ホームページ等で取引出版社刊行図書の情報提供に努めてまいります。今後ともよろしくお願いいたします。(2015/06/04更新)
「あなたはこの本を知っていますか−NO.30」(A5版・248頁・定価:本体700円+税 ISBN978-4-8123-0523-2)
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