トップページ地方・小出版流通センターサイトマップ

地方・小出版流通センター あなたはこの本を知っていますか

地方・小出版流通センター通信 No.1436(2020/02/21)

中国発の新型コロナウィルスの感染が広がり、電車でもほとんどの方がマスク姿の2月下旬です。グローバル化した世界で、あらゆる生活・産業資材が海外との関係で組み立てられている実態を新型コロナ感染が描きだしています。中国の存在がこんなに強大になっていることを改めて思い知らされます。

日本文芸家協会などが高校における学習指導要領の改変、大学入試の改革等に懸念の表明をしています。「国語教育改革」は、このままでは、「読む力」を破壊すると。文学や、人文系の表現物に関する軽視が明らかだということです。

このような改革の出てくる背景は、世界の15歳の生徒を対象にした経済協力機構(OECD)の国語学習到達調査(PISA)における日本の地位の低下があり、過去最低となったことによるそうです。実用文の読み取り能力が低下し、したがって論理国語を重視し実用主義の方向で学力向上を図るというわけです。しかし、朝日新聞紙上で京大名誉教授・佐伯啓思氏が指適しています。

「昨今の万事を情報処理として受け止める若者たちから読解力も表現力も失われてゆくのは当然のことであろう−中略−漢字の使用が制限され、難解な文章の読解が忌避され、できるだけ身近で読みやすい教材が選ばれることになる。そこにツイッターなどの「いいね」式の文章やLINEの短いメッセージが横行すれば、読解力も表現力も低下しない方が不思議だ−中略−国語の読解力が大事なのは、翻訳も含めて、国語で書かれた文章のなかに、先人たちの経験やそれを基にした思索のあとが刻印されており、それを知ることがわれわれのの想像力をかき立て、また鍛えるからである−中略−われわれがいま立たされている岐路、そして選択は、高度なグローバリズムのなかで世界的な競争に勝ち抜く人材を育成し、あらゆる分野で学力の向上を目指すへく教育改革を断行する方向か、他方、国語力を、生の経験の基礎的な訓練とみなし、国際競争力などに振り回されることなく、思想や文学の基礎的な読解を時間をかけて訓練するという方向かだ。私は躊躇なく後者こそが必要だと言いたい。思想や文学の基礎訓練に立ち返れ」と。
出版とも深く関わる日本の文化・文明・学術の重要な問題と思います。

新刊・これから出る本

●世界農業遺産である宮崎県高千穂町にある棚田の里・岩戸で山腹を切り拓く何本もの用水路を開削した庄屋と医師三代の歴史を軸に気骨と信の人間群像で描く郷土史。工藤寛著「名利無縁(みょうりむえん)」2,400円は鉱脈社から。幕末から、明治・大正にかけて、この地の基礎を作った人々の物語。ISBN978-4-86061-746-2

●農山村、戦後開拓集落から鉱山、営林集落、漁村、離島まで47都道府県の廃校廃村100ケ所の「ありのままの姿」を紹介。浅原昭生著「日本廃村百選−ムラはどうなったのか」2,000円 秋田文化出版社は、そこに秘められた可能性を模索する著でもあります。元住民から聞き取りをまとめた「集落の記憶」も収録。ISBN978-4-87022-589-3

しおうらしんたろう作・絵「ビックリ!深海深海−10000メートルまでの生きものたち」1,500円 ポトス出版は、海底1万メートルの地形や生きものたちを観察してみる絵本。なぞだらけの世界を子どもたちに。ISBN978-4-901979-45-0

●イワシ漁業とその加工、愛知の水産業の近現代史。片岡千賀之著「イワシと愛知の水産史」3,300円 北斗書房は、グラフィックにその世界を紹介。イワシ漁業と油肥製造業の発達、魚市場と鮮魚市場、塩干魚市場の展開と経営等。ISBN978-4-89290-050-1

斉藤勝裕著「いまさら聞けないアロマの化学 きほんのき」2,600円 フレグランスジャーナル社は、化学の中のアロマテラピーに関する部分だけをピックアップしてやさしく、楽しく、わかりやすく紹介。いままでわからなかった化学的説明のところのモヤモヤした霧が晴れます。ISBN978-4-89479-308-8

●世界194ケ国に20万本以上のピースポール「世界人類が平和でありますように/May Peace Prevail On Earth」を建てた、白光真宏会の教祖のこれまで明らかにされてこなかった特異な全生涯とその平和思想の全貌をはじめて、学術的に解き明かした、吉田尚文著「五井昌久の思想と生涯」3,800円 興山社は、戦後日本において「平和の祈り」のことばを提唱し、その普及に命をかけた五井昌久の業績を新進気鋭の宗教学者が解明します。ISBN978-4-908027-85-7

●パンをお皿に載せて→「サラブレット」などなど。東大工学部を出て65歳まで10社を渡り歩いてサラリーマン生活の著者がこれまで書き留めたダジャレを一挙公開。山田徹著「ダジャレ工房」1,000円 ごまめ書房は、英語ネタ、外国語ネタ、数字ネタ、短い小話、動物・魚介類、病気/薬編、言葉遊び、赤ちゃんの命名、人前で発表したダジャレの数々。宴会のネタ帳になるかも。ISBN978-4-902387-27-8

●川越宗一の直木賞受賞作「熱源」に登場するビウスツキの小説以上に数奇な生涯を丹念に追った労作。沢田和彦著「ブロニスワフ・ピウスツキ伝 〈アイヌ王〉と呼ばれたポーランド人」4,000円 成文社は、ロシア皇帝暗殺計画に連座し、サハリン島へ流刑、ギリヤークアイヌ調査に従事し、そこでアイヌ女性との間に二児をもうけ、<アイヌ王>と呼ばれたポーランド人。多彩な人々との交わりは明治日本の面影を伝えます。ISBN978-4-86520-040-9


本のご注文について

★書店様へ。当センター扱い商品は「注文制」です。お取引取次店へご注文いただくか、弊社ファックス(03−3235−6182)にて、帳合・取次・番線・書店コードを明記の上、ご発注ください。よろしくお願いします。

★一般読者の皆様へ。できましたら最寄の書店でご注文ください。その際、書誌名・発行所とともに「地方・小扱いです」と書店員の方に告げてください。またネット書店でも扱っている場合があります。

お急ぎの方は当社でもご注文をお受けします。コチラをご覧になりFAXにてご注文ください。

***

■このセンター通信のバックナンバーは、コチラをクリックしてください。


↑このページのトップに戻る

株式会社 地方・小出版流通センター

郵便番号162-0836 東京都新宿区南町20
TEL.03-3260-0355 FAX.03-3235-6182
電子メールでのお問い合わせは、chihosho●mxj.mesh.ne.jpまで。

*お手数ですが、●の部分を半角のアットマーク「@」に書き換えてご送信ください。スパムメール対策のためです。すいませんがご了解ください。

当ページに掲載されている記事・書誌データ・写真の無断転載を禁じます。


トップページ地方・小出版流通センターサイトマップ