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地方・小出版流通センター通信 No.1447(2021/02/18)

立春も過ぎ暖かくなってくるでしょう。当社のある神楽坂周辺には、東京理科大と法政大学があるのですが、2月はじめから大学などの入学試験が始まり、受験生の姿が目立ちました。しかし入学したとしても、いつものような対面授業がどれだけ受けられるのか、予想しがたいようです。昨年の新入生はほとんど大学に来ていないのではないでしょうか?

今年も2月中旬から教科書のシーズンに入りますが、どのようになるのか?予想がつきません。各取次は例年通り、「教科書の集荷便」を組むという連絡が来ています。

予想通り、第三波コロナ対策の「非常事態宣言」は延長され、2月も自粛生活を強いられそうです。出版物流は通常通りなされていますが、夜8時になると街から人波がすーっと引いてゆくのを見るにつけ、消費の落込みを納得せざるえません。一人所帯が増加している都会で弧食が推奨され、夜8時以降、食堂や飲み屋が閉ってしまうと、外食が出来ない環境で困っている人も多いのでは?

昨年の10月に出た本なのですが、1月下旬に新聞(日経文化欄)にとりあげられて、問合せの多い本があります。京都のキョートット出版刊行のトム・ギル著「毎日あほうだんす−横浜寿町の日雇い哲学者西川紀光の世界」(ISBN978-4-9902637-6-8)1,800円という本です。見逃された天才か、それともただの酔っ払いか?横浜のドヤ街に暮し、本と酒を愛した紀光が語る「面白おかしな」人生と哲学をイギリス人の社会人類学者(明治学院大教授)が聞き書きしたものです。22年にわたるふたりの友情の記録でもある。彼は日本における、港湾で働らきながら思索を深めた米国の哲学者・エリック・ホッファーのような存在であったと著者は言います。量子力学の知識を持ち、英語辞典を編纂した18世紀英国の文学者、サミュエル・ジョンソンをヒーローと思っていた人だったという。彼の、日雇い仕事と思索の日々を取材したのが本書です。人類学の「一人民族誌」という手法だそうです。2013年に初版が出ていますが、15年に亡くなった最期の日々や、お姉さんから聞き取りした記録などを追加して「完全版」として再出版したものです。著者は紀光の「アフオーダンス」論を最初は「阿呆ダンス」と聞き間違えていたが、本来の意味は英語の「afford」(環境を提供する)という心理学用語として使っていたということです。日雇いでお金を得る事も、生活保護を受けることも寿町のアフォーダンスと位置付けていたと言います。

新刊・これから出る本

●城館とは、山に築かれた山城と、麓に築かれた防御施設をともなった館をあわせた呼び名です。島根にはその中世城館が1200件以上あったとされています。島根県立八雲立つ風土記の丘編集「発掘された島根の中世城館」1,300円 ハーベスト出版は、島根県内の発掘された城館に注目した企画展の図録です。発掘によって地表面からではわからない、暮らしと戦の様子など、当時、城が機能していた情報が提供されています。領主の館、いくさに備えて、山の上に住む、月山富田城跡と富田川河床遺跡、津和野城跡、武将の嗜の六部構成。ISBN978-4-86456-370-3

●まもなく東日本大震災から十年。「三陸縦貫鉄道」の一角をなした気仙沼線、柳津−気仙沼間、大船渡線、気仙沼−盛間は廃止されバス高速輸送システムに転換されています。小田原標情著「たまきはる海のいのちを−三陸の鉄路よ永遠に」1,600円 言問学舎は、沿線を旅する主人公・英介が各地の情景や人々との触れいを経て成長する姿を描き、三陸の海と鉄道をたたえる小説に被災地と鉄道沿線の貴重な写真を収録。ISBN978-4-9910776-4-7

●植物の成長因子が身体の特定の器官に細胞レベルで働きかけ活性化することで機能回復をもたらす最新の植物療法紹介。ソリーナ・ソエスク他著/ミハエラ・シェルブレア訳/藤田円監訳「ジェモセラピー」2,500円 フレグランスジャーナル社は、新芽やつぼみを摘みたての新鮮なうちに溶媒に漬け込みエキスを抽出するレメディは分裂組織の再生力を自然のままに保ちます。ISBN978-4-89479-313-2

●韓国の出版人の世界書店巡礼記。金彦鎬(キム・オノ)著/舘野晢監修/山田智子他訳「カラー版世界書店紀行」3,000円 出版メディアパルは、ヨーロッパ・アメノカ編(ドミニカネン書店、ストランド・ブックストアなど)、アジア編(万聖書園、クレヨンハウスなど)の2部構成。ISBN978-4-902251-60-9

●古代中国の逸話になぞらえて詩文で描かれた戦国時代の情景を頼りに築城者の謎を解きます。柴田昌彦著「玉隠と岩付城築城者の謎−自耕斎詩軸并序を読み解く」1,800円 まつやま書房は長年に渡る岩付城築城論争に一石を投じる問題作。ISBN978-4-89623-144-1

●「岡山の民謡」と題して詩誌「道標」に1979年から連載してきたエッセイ、仕事歌やわらべ歌などのことを書いてきたものの集大成。立石憲利著「岡山わらべ歌紀行」2,800円 吉備人出版は、その中からわらべ歌に絞った44編を一冊に。著者は日本民話の会会長で、民話の採録は約1万話に及びそうです。ISBN978-4-86069-640-5

●このままではムラは消滅してしまう。佐藤晃之輔著「秋田・ムラむらはどうなる」1,800円 秋田文化出版社は、昭和31年と令和元年比較で人口30%減(約135万人から96万人)。昭和33年と令和元年比較で児童数80%減(約22万人から4万人へ)となることが予想されるという。綿密な現場調査と統計数字から考察し、秋田の再生・未来を考える問題提起の書。ちなみに、菅首相の出身地、合併した雄勝村(旧秋ノ宮村)の人口減少率は69%(昭和30年と令和元年対比)で、学んだ宮ノ宮小・中学校とも廃校となっています。ISBN978-4-87022-594-7

●開国まぎわの日本で、在留外外国人5名が企てた東北視察旅行記とその背景を考察します。青柳正俊著「明治三年欧州視察団周遊記」1,600円 歴史春秋社は、新潟から会津そして米沢への旅。戊辰戦争の痕跡の残る地の農産物や鉱山の状況が詳しく記されていて当時の有様がわかります。ISBN978-4-89757-978-8


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