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地方・小出版流通センター通信 No.1471(2022/08/25)

8月も下旬となり秋風が吹きはじめました。今年の夏の猛暑はきつかったのではないでしょうか?また第7波のコロナ感染が広がり、一日300人を超える死者が出ています。

デジタル教科書の導入が報じられています。先日亡くなった、児童文学者であり、東京子ども図書館を作り、館長を長くされていた松岡享子さんが「こどもとしょかん167号 2020年秋」で紹介している「紙で読むことvsパソコン画面で読む事」という小文は示唆に富みます。この中で松岡さんは、デジタル媒体と紙媒体の違いを論じたメアリアン・ウルフ氏の分析(「ブルーストとイカ−読書は脳をどのように変えるか?」)を紹介しています。「デジタル端末画面では、視線はジグザグに飛びながら動く。従って飛ばし読み、速読になりがち。結果として考え方が短絡になる。ことばを吟味し、考えながら『深く読む』には紙の本が摘している」。メアリアン・ウルフ氏は専門が認知神経科学、小児発達学であり、息子さんが読字障害(デスレクシア)があることから、その方面でも知られている方だそうです。

まず読み書き能力は遺伝子のなかには組込まれていなくて、脳の視覚、認知、言語の三システムが接続して創られた回路によって、後天的に生れた能力だそうです。人が読み書きで獲得したのは、時間をかけて深く考える能力で、それを可能にしたのは奇跡的とも言える脳の柔軟性で、その柔軟性は、脳がデジタル媒体一色に染るとマイナスの方向に働くとウルフ氏は恐れると言います。ソクラテスは「生きたことば(話しことば)」に対して「書字(書きことば)」は柔軟性に欠け記憶や知識を活用する能力を破壊するといって、読み書きに反対したそうですが、同様の怖れが紙媒体とデジタル媒体の脳に及ぼす影響についても言えるといいます。

新刊・これから出る本

●そば料理一筋、50年のそば茶屋店主のうんちく。磯部久生著「赤間茶屋『あ三五』(あかまちゃや/あさご)そば歳事記」2,500円 花乱社は、季節に沿って供せられるそば料理の数々。工夫された具の数々。そば食をとりまく風流の数々。ISBN978-4-910038-55-1

●この本が構成されるのを楽しみにしていた著者は2020年7月10日に心不全のため急92歳で逝去。岡井隆著「岡井隆の忘れもの」3,000円 書肆侃侃房は、前衛短歌運動や鋭敏な批評で戦後短歌界をけん引してきた歌人の遺言。斎藤茂吉、森鴎外から多和田葉子、荒川洋二まで、時代の表現者たちを自在に、時にやさしく、時に鋭く読みと解きます。ISBN978-4-86385-533-5

●いつ、誰が、何のために作ったのか?そしてなぜ、こんなふざけた顔に?!若山恵里著「石獅子探訪記」2,400円 ボーダーインクは、沖縄のシーサーのルーツではないか?といわれる、沖縄に残る村落石獅子を探して、石像彫刻を学んだ若い石工が60余か所の村落と130体の石獅子を訪ね歩いて紹介。ISBN978-4-89982-431-2

●令和3年、江戸時代中期に作られた「大手門」の石垣の一部が発見されたことによって、前橋城探究が始まりました。野本文幸著「前橋城考」1,500円 上毛新聞社は、いまはほとんど城が残っていない前橋城の残る遺構、絵図から、かつての姿に迫ります。ISBN978-4-86352-312-8

●「西北のむがしコ」(1960年)、「津軽ことわざ辞典」(1967年)など、青森全域における民俗調査、とりわけ昔話を中心とする口承文芸の調査研究を長年にわたって牽引してきた佐々木達司の遺稿をもとに若干の訂正を加えた、佐々木達司著「あおもり俗信辞典」1,818円 青森文芸出版が出版されました。〜蚊帳に入ると雷が落ちない、〜産婦はお粥に味噌だけ食べる〜など、短い表現で、生活世界における民俗的観念や判断基準、倫理や相互連関に関するものを「俗信」としてをまとめあげた辞典。

東京子ども図書館編・刊の児童図書館基本蔵書目録3の「知識の海へ」3,600円がやっと出来ました。1950年から2020年に出版されたノンフィクション作品(知識の本)からとっておきの1500冊を紹介しています。日本十進分類表を整理・簡略化した「東京子ども図書館児童室分類表」に従って配列。例えば、自然科学ですと、自然科学、数学、物理・化学から病気・障がいまで22テーマに分けています。ISBN978-4-88569-201-7

●コロナ、水害、原発事故など災害多発の時代。事業継続計画(BCP)を福祉現場の立場で。在宅サービスの具体的ノウハウ。後藤至功/家高将明/北垣智基共著「社会福祉施設・事業所のBCP 事業継続計画 2 学ぶ教訓!活かす実践!動くBCPを創る」3,600円 全国コミュニティライフサポートセンターは、第1章 制度理解「押えておきたい!BCPと制度改正 「第2章 ケア概論「こだわりたい!BCPとケア」 第3章実践「やってみよう!BCPと策定実践」 第4章 概論/実践「積み上げよう!BCPと感染症対策」から成ります。ISBN978-4-904874-74-5

●化粧の力、化粧の影響について、23のサイエンスのヒントを掲載。資生堂みらい開発研究所編著「化粧の力の未来−コスメティック・サイエンスによる人と社会の可能性」2,900円 フレグランスジャーナルは、資生堂が続けてきた研究を基に、心理学、脳科学、表情、匂、バーチャルリアリテイなど23の研究領域から、人が健やかに生きていくために役立つ化粧のポテンシャル23を考察します。ISBN978-4-89479-317-0

etale.K3著「Grothendieckに挑戦!57は素数なのか?二次体整数と素数判定」570円暗黒通信団は、かの有名な数学者Grothendieckの定理だという「57が素数だ」といううことを、あらゆる方法で模索したが、10進級表記の下ではその論証は得られなかった!ということを論述。ISBN978-4-87310-260-3


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