トップページ地方・小出版流通センターサイトマップ

地方・小出版流通センター あなたはこの本を知っていますか

地方・小出版流通センター通信 No.1473(2022/09/15)

 秋です。読書週間も近いです。〜地方からというこだわり、地方からの思い、地方だからこそ出版できる本、その出版への思い。それぞれが地方出版を支えています。〜という想いで、年に一度、秋の読書週間、過去一年間各県の代表的な地方出版物を鳥取県内に一堂に展示会を開催。さらにその展示された本の中から、鳥取県民の投票をもとに決められた候補作を審査員が熟読したのちに審査会を開催し、優れた作品に「地方出版文化功労賞」を送っている、第35回目の受賞作が決まりました。奨励賞二点、特別賞一点です。

書影 奨励賞の朝尾朋樹著「秘傳 鱧(はも)料理 百菜 改訂」5000円(ISBN978-4-7638-0754-0)京都新聞出版センターは、過去にあった鱧の処理法を蘇らせ、かつ独自の工夫により生みだした技法と料理を伝えようとしたもの。長年、京料理に携わってきた料理人の引退鱧料理論文(改訂版あとがき)だそうです。骨切りによって初めて料理の材料となり、その技が競われている鱧を、骨抜きで処理することにより、あるいは生きた鱧を湯通しすることでそれまでにない料理の提供を可能にしたこと、その他さまざまな工夫された技法やそれを生かした料理が、多くの美しい写真や図解であますところなく、分りやすく著されていることが評価されました。

書影 2点目の奨励賞受賞本は、柳原一徳著「本とみかんと子育てと 農家兼業編集者の周防大島フィールドノート」3,000円(ISBN978-4-86426-046-6)みずのわ出版は、移住した周防大島で編集・出版・みかんづくりと子育てを行う著者の記録。いわゆる農業日誌を超えて島の農業や日本の農業・食料問題への考察も記録されている。かってジャーナリスト、現在は出版を営む様々な経験が、観察、感想や考察が幅広いジャンルにちりばめられ、なかでも農業と島の生活に関しては、実践者ならではの試行も踏まえた記述にハッとさせられることが多い、という評価がされています。

 特別賞は大阪の西日本出版社刊の木戸崇之・朝日テレビ放送著「スマホで見る 阪神淡路大震災 災害映像がつむぐ未来への教訓」1,500円です。大震災で撮影された動画が時間が経つとともに活用されなくなってゆくことに危機感を持った放送局がアーカイブとして公開した動画を時間軸で整理し解説をつけ、QRコードにその場で見られるガイドブックとして編集したもの。本として収録されることにより、膨大な情報の中に時とともに埋没してゆくことを防げる、と評価されました。西日本出版社の本はトーハン・日販直扱いです。

新刊・これから出る本

●コロナ下、詩人は何が出来るか?人々の感情の変化をしっかり留め置こうと詩人達に依頼した2020年4月1日から2021年3月31日の一年間の輪番制の詩形式の日記。詩の活動体であるoblaat(オブラート)に集う、新井高子他著「空気の日記−23人の詩人が綴ったコロナ禍のリレー日記」2,200円 書肆侃侃房は、ウェブマガジン「SPINER」の連載として続けられたもの。締切りはその日の夜中の12時。事前の書き置き不可、とにかくその日の空気をその日のうちに記録するというルールでなされました。ISBN978-4-86385-532-8

●幕府御為替御用を勤める伊勢の豪商・竹川竹斎が自身で収集した動乱幕末期の桜田事変史料を自筆の茶書「川船の記」の中に隠匿・埋蔵していました。これを天目茶碗研究の過程で発掘した編者が現代語訳で初公開。類似史料も併載・対照します。岩田澄子・田久保國子編/大久保治男監修「新史料が導く桜田事変」5,400円 サンライズ出版は、リアルタイムのビッグデータを古文書初心者参加型のガイドで読み解く。ISBN978-4-88325-770-6

●現在の感染症対策は日本では明治時代に誕生しました。当時もっとも感染力の強かったコレラの病死者数は、日清・日露の戦死者10.2万人の3倍、37.3万人で、コレラ以外の法定感染症の死者数合計は116.5万人でした。関儀久著「感染症と部落問題−近代都市のコレラ体験」3,000円 福岡人権研究所は、感染症の原因を病者の行動歴等に過剰に求めるこの社会が歴史的に形成される過程といまなお、わたしたちの目のまえに部落問題が存在することは深いつながりがあることを、明治時代の福岡の経験に基づいて検証します。1.伝染病流行と地方都市、2.衛生政策と地方医師会、3.伝染病流行と公衆衛生施設、4.伝染病患者の可視化という<欲望>、5.伝染病対策と被差別部落の差異化から成ります。ISBN978-4-910785-05-9

●コロナ危機と米中対立の中でアジア経済の今日と明日を専門の学者が分析します。行過ぎたグローバル経済化の後にくるものは?中国の経済成長はこれからも続くのか?それに日本経済はついてゆけるのか? 末廣昭・伊藤亜聖著「アジア経済はどこに向かうか」800円 弦書房は、福岡ユネスコ・トークライブの記録。ISBN978-4-86329-251-2

●愛媛大学四国編路・世界巡礼研究センター編「四国編路と世界巡礼 上」1,300円 創風社出版は、編路の地元愛媛大学に集う多彩な研究者が紡いだ八十八の最新研究を纏めました。(上)はそのうち四十四話収録。中世の四国巡礼、四国編路のはじまり、八十八ケ所の成立、海を渡った四国霊場−植民地台湾の四国八十八ケ所写し霊場、沖縄の巡礼「東御廻り」、中国・泰山巡礼、聖ヤコブが眠る聖地 サンティアゴ巡礼など。ISBN978-4-86037-320-7

編集・発行 島根県立八雲立つ風土記の丘「出雲・石見・隠岐の古墳文化」1,500円 発売:ハーベスト出版は、島根県立八雲立つ風土記の丘開所50周年記念特別展の図録です。総説・古墳時代島根、英雄浪漫譚/図版1章 古墳を飾る、2章 装う、戦う 3章 祈りと供宴 特別寄稿 益田の古墳文化、向山1号墳がおもしろい等。ISBN978-4-86456-436-6

●高度に成熟した福祉国家デンマークから学ぶ、新しい時代における人々のつながりの模索。斎田英子著「デンマークの対話が生れる空間づくり〜small gathering」1,000円 西山卯三記念・まちづくり文庫は、暮らしを支える社会の仕組−バックキャスティング思考、心地よい暮らし(ヒュッゲ)をつくる知恵と工夫、地域にリビングルームをつくるの3章 ISBN978-4-909395-09-2


本のご注文について

★書店様へ。当センター扱い商品は「注文制」です。お取引取次店へご注文いただくか、弊社ファックス(03−3235−6182)にて、帳合・取次・番線・書店コードを明記の上、ご発注ください。よろしくお願いします。

★一般読者の皆様へ。できましたら最寄の書店でご注文ください。その際、書誌名・発行所とともに「地方・小扱いです」と書店員の方に告げてください。またネット書店でも扱っている場合があります。

お急ぎの方は当社でもご注文をお受けします。コチラをご覧になりFAXにてご注文ください。

***

■このセンター通信のバックナンバーは、コチラをクリックしてください。


↑このページのトップに戻る

株式会社 地方・小出版流通センター

郵便番号162-0836 東京都新宿区南町20
TEL.03-3260-0355 FAX.03-3235-6182
電子メールでのお問い合わせは、chihosho●mxj.mesh.ne.jpまで。

*お手数ですが、●の部分を半角のアットマーク「@」に書き換えてご送信ください。スパムメール対策のためです。すいませんがご了解ください。

当ページに掲載されている記事・書誌データ・写真の無断転載を禁じます。


トップページ地方・小出版流通センターサイトマップ