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地方・小出版流通センター通信 No.1478(2022/11/30)

 地方の出版社は、地元の民俗芸能やお祭りを扱った記録本、写真集、研究書などを多く出してきています。また東京でも岩田書院や高志書院なども関連書を多く出しています。最近「風流踊(ふりゅうおどり)」という言葉を聞くようようになりました。何だと調べてみると、ユネスコの無形文化遺産に登録しようという政府の方針で注目されるようになって、この名称が使われています。全国に伝わる盆踊りや念仏踊りなどの民俗芸能を「風流踊」とし、今回41件をまとめて、ユネスコに申請するそうです。

 本来「風流踊」というのは、華やかな、人目をひく、という「風流」の精神を体現し、歌や笛、太鼓などとともに賑やかに踊ることで、安寧な暮しを願う民俗芸能と定義されています。しかし、今回のまとめられた41件には、宗教行為に近い念仏踊りから死者供養が目的な盆踊りまで、多種多様なものが含まれているといいます。そしてその中には存続の危ぶまれているもの、これを機会に、外部発信を増やし、存続に望みを託す地域もあると言います。各地の民俗芸能は、いま、明治期や高度成長期に次ぐ地域社会の変化による変革期にあり、人口減に苦しむ小さな集落単位のお祭りも多く、継続伝承が課題です。私たちは無形遺産の過去を記録することは出来ますが、それが行われなければ、現在を残すことは出来ません。地域の産業が再び育ち、人口が増えないと、解決できないのでしょう。秋田県羽後町の「西馬音内(にしもない)の盆踊」のように、体験施設を整備し、通年で訪問者を呼び込み、保存と活用を両立する小さな自治体の試みもあるとのことです。

新刊・これから出る本

●今年7月に亡くなった佐賀の農民作家・山下惣一さんは、「農業とは本来、常に未来のために汗を流す、夢を育てる仕事。だから明日を信じ、木を植える。父に限らず、おそらく一時代前まで日本の百姓の思想、生き方はそのようなものであったでしょう。その遺産の上に私たちは生きています。時代がどう変わろうと、日本の国土や原風景が守られているのは農村の「農夫也(のぶや)」たちが頑張っているからであることを、多くの皆さんに理解してもらえればうれしいです。」と言い残しています。山下惣一著、聞き手/佐藤広「山下惣一聞き書き 振り返れば未来」2,000円 不知火書房は、新聞連載の半生記を一冊にしました。農の明日へのヒントを綴ります。ISBN978-4-88345-139-5

●チェコの作家チャペックが1924年、約2ケ月かけてイギリスを旅行し、地元新聞に寄稿した連載記事の旅行記の新訳です。カレル・チャペック著/挿絵、栗栖茜訳「カレル・チャペックの見たイギリス」2,000円は、海山社から。解説は、村上春樹氏で、「いろんな意味でとてもチャーミングで、ハートウォーミングな旅行記です」と結んでいます。ISBN978-4-904153-13-0

●書肆侃侃房が発行する、文芸誌「ことばとvol.6」1,700円は、特集−「ことばと戦争」で、高橋源一郎氏へのインタビューが30頁。他に新人賞−福田節郎「銭湯」全文掲載。ウクライナで戦争が始まった2月24日以降ロシア語で詩を発表している戦争に反対する詩人たちの翻訳が6編。ISBN978-4-86385-548-9

●岩手では「忠臣」、津軽では「大悪人」と言われる相馬大作の藩主暗殺の企ての思想と事件の全容に迫ります。下斗米哲明著「文政四年の激震<相馬大作事件>」2,300円 寿郎社は、相馬大作は、なぜ大砲による藩主暗殺を企てたのか?思想と事件の全容に迫るカギはロシアと蝦夷地(北海道)にあったことを詳述した最新の研究成果から解明。ISBN978-4-909281-46-3

●鹿児島は日本の中でも南の星のよく見れる場所です。天文アドバイザー兼写真家が美しくおもしろい星空の豊かな世界へご案内。西井上剛資著「鹿児島の星空ガイド」2,000円は南方新社から。目次を紹介すると、星空を見る楽しみ、春・夏・秋・冬の星座、いろんな天文現象(日食・月食、彗星、流星群他)、ロケットと人工天体(鹿児島のロケット、人工衛星他)、星空の観察(観察道具、街の中の星空他)など。978-4-86124-475-9

●「小学生のボクは、鬼のようなお母さんにナスビを売らされました」で衝撃のデビューをした原田たけし・文/嵯峨山高弘・絵「うんこガエル」1,300円 リーブル出版は、うんこまみれになったり、天敵に食べられそうになったり、それでも必死で生きる主人公のカエルはなぜ頑張れるのか?を描く絵本。ISBN978-4-86338-363-0

岸本充弘著「山口の捕鯨・解体新書−日本人と鯨の二千年」1,100円 花乱社は、江戸期には古式捕鯨が行わていた下関。近代捕鯨発祥の地・日本一の鯨の町から、古代から連綿と続く捕鯨の歴史を繙き、2019年の商業捕鯨再開後の現状と課題を伝えます。ISBN978-4-910038-69-8

●農作業や生活スタイルが大きく変わりつつあった明治後期から大正期。今から100年以上前につづられた、ある農民の日々の営みの記録。中野英男編・著「『渡辺清絵日記』の世界」1,000円 随想舎は、その日々を6つのテーマから読み解きます。6つのテーマは、絵日記の誕生、絵日記に見る農業、絵日記にみる地域社会、絵日記にみる民俗、絵日記にみる言葉とくらし、渡辺清 作画の変遷です。ISBN978-4-88748-412-2

●新資料で辿るロシア人学者の宮古研究の道程。田中水絵著「歌(アヤゴ)の島・宮古のネフスキー」2,800円 ボーダーインクは、100年前に宮古諸島を3度も訪れたロシアの民族・言語学者ネフスキー。自在に島の言葉を操り、島民から古来より伝わる言葉、歌、風習を聞き集めました。大粛清の時代のソ連で非業な死をとげた彼の残した民俗資料は、宮古研究の光源としていまも島々を照しています。ISBN978-4-9982-436-7

●田和山・神後田遺跡、出雲国府跡など松江に残る古代遺跡の展示目録。松江歴史館編「古代出雲の中心地・松江−田和山(たわやま)・神後田(じごで)から国府・国分寺へ」図録1,000円 ハーベスト出版は、松江市南郊の遺跡から出土した遺物を中心に取り上げ、弥生時代に田和山・神後田遺跡が出現して以降、意宇(おう=安来市から松江市周辺)の地が、出雲の中心地になってゆく様子を辿ります。ISBN978-4-86456-444-1


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