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地方・小出版流通センター通信 No.1482(2023/02/22)

 温かくなってきました。あと数回寒波が来て春になるのでしょうか。もうすぐ11年目の3月11日。東日本大震災の時も福島や宮城等では雪が降っていたと記憶します。

 新聞報道などでご存知かもしれませんが、「本の雑誌」の元発行人兼編集長・目黒考二(=北上次郎)さんが亡くなり、その衝撃が書店員さん達の間に広がっているようです。日書連新聞には、船橋のときわ書房の宇田川拓也氏が、北上次郎名の書評ページは毎号必ず読み「あらすじを省き、セリフや場面を糸口に物語の美点を紹介していく文章は、まさに目の前で語られる『声』をよむようであり、ジャンルを問わず『これは読まねば!』と手を伸ばした小説は数知れない」と語ります。

 愛知豊川の豊川堂本店店長の林毅氏は、新文化紙上で「なにごとも長続きしない性質の私ですが、これだけは当たり前のように続いてきました。それは『本の雑誌』を毎号読むこと。創刊間もない頃に当時大学生だった私は書店で見かけて、以来40年愛読してきました。『いつかは本を読むだけで暮していけたらいいなあ』なんて恥かしげもなく公言してきた私にとって、読書を仕事にしてしまった目黒考二さんは、まさに『憧れの人』になりました」と記しています。目黒(北上次郎)さんの書評は、本屋さんの新刊仕入れの「灯台」だったのではないでしょうか!


新刊・これから出る本

●1990年代から再び研究が蓄積され学び直されている哲学者アンリ・ベルグソンの主著4冊を読み解く、白熱の連続トークイベントが福岡で行われました。その場面を再現し未来への可能性に満ちたまったく新しいベルグソン入門の書と位置づけて、桧垣立哉、平井靖史、平賀祐貴、藤田尚志、米田翼著「ベルクソン 思想の現在」1,800円 書肆侃侃房が出ました。ISBN978-4-86385-556-4

●主に福岡県内の遺跡から出土したキリスタン遺物をもとに、加えて大分、長崎の関連遺物資料でキリスト教受容の状況・影響を展開しています。<西南学院大学博物館研究叢書>鬼束芽依著「考古学からみた筑前・筑後のキリシタン 掘り出された祈り」1,000円 花乱社は、1549年(天文18)年、フランシスコザビエルによりキリスト教が伝えられた時代を考古学資料から紹介します。ISBN978-4-910038-70-4

ピエール・フランコム著 下山大助/中村ひろみ訳 濱田祥子/池村国弘/谷田貝光克監修「フランスアロマテラピーがよくわかる薬用エッセンシャルオイルの科学」15,000円フレグランスジャーナル社は、エッセンシャルオイルの分野で頂点にたつフランスの研究者による作用メカニズムの謎、日常の実践的な使用方法まで多角度ら触れる重厚な参考書。ISBN978-4-89479-318-7

●防衛技術基礎講座のうち、最新の航空装備の最新技術を紹介。「防衛ジャーナル」編集部編「航空装備技術の最先端」2,700円 防衛技術協会は、機体関連、エンジン関連、無人機関連、誘導武器関連それぞれの先進技術を紹介。ISBN978-4-908802-82-9

●農村への移住、CSA(地域で支える農業)の実際、田舎で稼ぐローカルベンチャーの成功例などを網羅した新しい暮し方指南の本。林美香子著「《農都共生ライフ》がひとを変え、地域を変える 移住・CSA・ローカルベンチャー─〈ウェルビーイングな暮らし〉の実践」2,200円 寿郎社は、コロナ禍で地方での活動が見直される今、ウェルビーイングな暮しの実践を提言します。ISBN978-4-909281-48-7

●沖縄では、かってほとんどの集落で屋敷林としてフクギ並木が見られました。フクギは幹がまっすぐに伸びて葉が肉厚なことから、台風の多い地方では防風、防潮、防火の効果があり、垣根や街路樹として植えられました。陳碧霞著「琉球列島のフクギ並木」4,300円 南方新社は、沖縄の原風景のフクギ屋敷林の分布、効用、東アジアの利用状況等をあらゆる角度から追求しました。3万本の毎木(まいぼく)調査で、フクギ屋敷林を未来につなごうという試みでもあります。ISBN978-4-86124-472-8

●南北朝動乱から江戸幕府の始まりまでを網羅。複雑な勢力図で煩雑となる歴史を整理。梅沢太久夫著「武蔵戦国歴史年表」1,800円 まつやま書房は、出典資料も各項毎に明記して地域研究のベースにも、戦国時代の流れの把握にも使えます。ISBN978-4-89623-194-6

●山陰の城郭研究第一線で探究にあたる専門家が最新の研究成果を纏めた論文集。松江市文化スポーツ部松江城・史料調査課編「論集 松江城T」3,500円 発行:松江市/発売:ハーベスト出版は、第1章 近世城郭としての松江城、第2章 天守、第3章 、城郭及び城下町 から成ります。地図・写真・図面等多数収録。A4判、298頁の大冊です。ISBN978-4-86456-457-1

●19世紀に活躍したフランスのエロチシズムの作家、マンディアルグ待望の本邦初訳作品。A・P・ド・マンディアルグ著/松本完治翻訳「汚れた歳月」2,800円 エディション・イレーヌは、悪夢とエロスが混淆した《奇態な》イメージが炸裂。極彩色の「幻想綺譚集」26編収載。ISBN978-4-9912885-0-0


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