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地方・小出版流通センター通信 No.1483(2023/03/20)

書影 昭和30年代から40年代の九州・鹿児島の噴火湾を舞台に、ひとの世の生と死を映し出す小宇宙を出現させることはできないか…そんな思いで書き綴づられたという、宮内勝典著「南風」(1,500円 ISBN978-4-88344288-1)が九州・福岡の小出版社・石風社から蘇りました。

 新人作家の登竜門「文芸賞」を40年前に受賞し、文庫にもなりましたが、長く絶版だった作品を40年前に読んで「今までの日本文学にない世界を描いている」と感動し、それを40年余温めていた、石風社社主・福元氏が2019年に単行本として復刊したものです。今になって注目されているのは、NHKラジオ夕方の番組「九州沖縄読むクラブ」に福元氏が出演、紹介されたことによります。著者は1944年ハルピン生まれで79才、高校卒業後アメリカに渡り、ニューヨークで通算13年暮らし、世界60ヶ国を歩いて帰国してから書いた初めての作品が「南風」ということです。十代の頃、島尾敏雄の「島の果て」を読んで心が震える体験をされたという方です。


新刊・これから出る本

●テレビで取上げられて品切れですが、3月8日に重版が出来上がりました。書肆侃侃房の西山進著「おり鶴さん−漫画で描き続けた被爆者の戦後」1,500円は、17才の時に、長崎の三菱造船所で被曝した西山さんが、40年間にわたり、被爆者の全国組織「日本原水爆被害者団体協議会」の新聞に書き続けている四コマ漫画から335回分を一冊に。被曝体験、戦争体験世代の願い−核兵器の廃絶と核被害者の救済、体験した生き地獄 を次世代に繰返させないということを漫画にして、難しい言葉や読んでいて怖くなったり辛くなったりする描写は控え、とっつきやすいユーモアと風刺を効かせて分りやすく伝えようと心がけてきた作品です。ISBN978-4-86385-535-9

●日本語の音韻で名付けた地名には災害の記録や自然の警告が秘められていることが多い。池田善朗著「福岡・九州の災害地名−語源と地形から読み解く警告」2,000円 忘羊社は、著者の地名研究からわかる危ない場所を指摘します。氾濫原、川の曲流、土石流、崖崩れ、埋立地等を表す地名から、災害の痕跡と、今後の災害予測に役立てることできる「地名のレッドデーターブック」ともなっています。ISBN978-4-907902-31-5

●昭和・平成を境に「土葬」という埋葬法は消滅していますが、近江にはサンマイという土葬墓地が各地に残っています。日本固有の鎮魂儀礼の痕跡が残る、近江の死者送りの習わしの様子。高橋繁行著「近江の土葬・野辺送り」1,500円 サンライズ出版は、地域ごとに特徴のある葬送の風習を古老から聴き取った貴重な記録。添えられている絵・イラスト・切り絵が味があり、理解を助けてくれる。ISBN978-4-88325-771-3

●2003年に初版が出て品切れだった著作の20年ぶりの再刊です。島尾ミホ・石牟礼道子対談「新装版 対談ヤポネシアの海辺から」2,000円 弦書房は、「ヤポネシア」という語の創出者・島尾敏雄の作品を挟んで、海辺育ちの女性作家二人が時空を超えて南島の豊な世界を語ります。今から31年前に鹿児島の吹上温泉で行われた対談で、お二人ともすでに故人です。ISBN978-4-86329-261-1

●江戸期までの物流を担っていたのは、船であり、関西の琵琶湖では、港間を船が往来していた。北川徹著「江戸時代の長浜湊と船持たち」2,000円 サンライズ出版は、江戸時代、琵琶湖湖岸の長浜湊の賑わいを、船年寄の吉川家に残る役銀帳や舟証文をリスト化、湊と船町の具体像を描きます。ISBN978-4-88325-783-6

●終戦50年に編まれた合同歌集「黄金森」(百五十九人、三千百八十首)、それらの歌を通して見えてくる、ひめゆりたちの鎮魂の祈りを伝えます。仲程昌徳著「ひめゆりたちの『哀傷歌』」1,600円 ボーダーインクは、ひめゆり学徒たちの歌を取りあげながら、歌そのものについて述べる以上に、歌の出所というか、歌と関わりのある証言によって、ひめゆりたちの戦争、ひいては沖縄戦を浮び上がらせています。ISBN978-4-89982-440-4

●日本語テキストを完全対訳(英語)。地獄の戦場から九死に一生を得て生還した男の体験手記です。濱辺政雄著「陸軍衛生二等兵 ルソン島生還記」1,100円 長崎文献社は、昭和18年のルソン島。敗走する日本軍を襲う米軍機、砲弾の雨、ゲリラ、飢餓、マラリアなどの地獄の戦場を体験したものだけが語ることができるリアルな証言。左ページ日本語テキスト、右ページ英語テキストです。ISBN978-4-88851-381-4

●日本では特異的に南九州だけに2属6種が分布するベールに包まれた幻の希少植物を、はじめて網羅的分布調査の記録です。大工園認著「日本産カワゴケソウ科全6種分布・生態の詳細調査報告」8,000円 南方新社は、世界に数百種存在しますが、日本では南九州にだけ分布するコケの花期を含め生態の各段階を220枚の高倍率撮影の鮮明画像で報告。ISBN978-4-86124-483-4


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