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地方・小出版流通センター通信 No.1496(2023/11/21)

 先週10日のラジオ深夜便で、演劇人である舞香さんが知里幸恵(ちりゆきえ)のことを話していました。舞香さんは「劇団ムカシ玩具」を主宰し、様々な会場で一人芝居を公演されている方で、その演目の中に、アイヌとして最初にアイヌ語の言い伝え=「アイヌ民謡集」をまとめ世に出した知里幸恵を主人公にした「神々の謡−知里幸恵の自ら歌った謡」を上演しています。文字を持たない先住民族である「アイヌ」の言葉によって伝えられてきた物語を文字として残したはじめてのアイヌ人が知里幸恵です。

書影 先日、のんびり出版社・海豹舎(あざらししゃ)から「エポエポアヤポアイヌ文学読本」1,500円(ISBN978-4-901336-42-0)が出版されました。出版元の話では、本土の出版社に企画としてアイヌ関係の企画を出しても、けんもほろろに無視されてしまうから、自社の企画としたそうです。国も北海道のアイヌを先住民族として認め、「国立アイヌ民族博物館」も出来、ユネスコの「絶滅危惧リスト」の中に「アイヌ語」がトップクラスで揚げられています。明治期に文字で記録されてこなかったアイヌの言葉を文字化して、出版したのが知里幸恵で、彼女はその「アイヌ民謡集」の校正作業中に19歳で急逝します。亡くなったのは校正を終えた日だったそうです。海豹舎の文学読本では、知里のこと、その後に続いたアイヌの語り部である違星北斗、貝澤正、萱野茂の紹介、そして和人のアイヌ文学に心を寄せた金田一京助、本多勝一、手塚治虫等の作品紹介や業績紹介もされています。文字を持たない民族と、その理解者の和人たちが残そうとした歩みを辿ったものが、海豹舎の文学読本です。アイヌとは和人の付けた名前で、正しくは「アイノ」と著者は言っています。

新刊・これから出る本

●福島県民が関わった、戦時中の5つの物語を記録。紺野滋著「戦争が遺した五つの物語 愛しき父よ母よ友よ」1,500円 歴史春秋社は、太平洋戦争の時代の人々の苦難を取材し残します。「外交官ろう城記」(米国領事館における事件)、「壮絶なフィリピン逃避行」、「女学生とミシンと軍服」、「空行く怪物顛末記」(風船爆弾製造)、「幻の手紙」(引揚げ船と沈船)の5編。ISBN978-4-86762-029-8

●<金利生活者が利子部分のみならず元本もくいつぶしながら生活してゆく>ことを「くいつぶし型経営」と言うそうです。高度成長期、都市部で供給された民間貸家は、この「くいつぶし」の原理で大量供給され、都市住宅問題を解決しました。佐藤和宏著「民間貸家経営と家主の果たした役割−くいつぶし型経営の歴史的意義」1,000円 西山卯三すまい・まちづくり文庫は、住まいの社会問題化を未然に防いだ「くいつぶし型」貸家経営なるものの今日的意義を問います。ISBN978-4-909395-13-9

●おきなわ野の薬草基本料理レシピ。大滝百合子著「野草がおいしい おきなわ 野の薬草 基本料理レシピ」2,200円 ボーダーインクは、自然の摂理に通じた太古の賢女=緑の魔女流ハーバリズムの普及を目指す著者の書。身近で採集できる21種類の野草を使った「ふだん使い」できる野草料理を料理写真とシンプルなレシピ、野草ごとの薬効や採集方法、野草との日常を記したコラムなど充実した内容で紹介。ISBN978-4-89982-451-0

●「神風の伊勢」と「八雲立つ出雲」。対比的にとらえられることの多いこの二つの地域は古代より神々の聖地とされてきました。島根県立古代出雲博物館編集:発行「伊勢と出雲」2,000円 ハーベスト出版は、両地域の歴史的風土に焦点を当て、神宮・大社の祭儀と造営遷宮の歴史を繙き、参詣文化と信仰の広がりを明らかにする展示会の図録。ISBN978-4-86456-485-4

●日本第二の大きさの秋田県・八郎潟を干拓して作られた大潟村が発足して来年60年を迎えます。佐藤晃之助著「秋田・大潟村の話しっこ 語り継ぎたいモノガタリ」1,500円 秋田文化出版は、大潟村読本の決定版。南北27q、東西12qの面積の湖を湖底から大地へ干拓した世紀の大事業で生れた村の全てを第4次入植者である著者が語り尽くします。ISBN978-4-87022-612-8

●利尻に生れ、金沢で学び、札幌の三省堂書店で書店員生活をおくる日常を綴ります。工藤志昇(シノブ)著「利尻島から流れ流れて本屋になった」1,700円 寿郎社は、発注をし、品出しをし、フェアやイベントの企画なんかもして、とにかくやることが多く、ゴールの見えない書店の仕事。仕事帰りに何気なく夜空を見上げた時、ふと故郷<利尻>の記憶が浮んでくるという。ISBN978-4-909281-55-5

●織田信長との闘いで29歳で自刃して果てた浅井長政の生涯。太田浩司著「浅井長政と姉川合戦−その繁栄と滅亡への軌跡 増補版」1,500円 サンライズ出版は、大敗したとされる浅井軍は合戦で大敗していない!浅井・朝倉同盟は存在しなかった!等最新研究により真実に迫る労作。ISBN978-4-88325-797-3

●ベルギー人の著者が、知られていない日本の伝統的自然布=芭蕉布文化の起源と歴史や地理的、時代的起源を示します。カトリーヌ・ヘンドリックス著「琉球列島における芭蕉布文化の起源を探る」2,000円 琉球新報社は、文献資料に見る琉球列島の芭蕉文化、他地域における芭蕉類を使った織物文化、中国史料に見る芭蕉文化、そして歴史から見る芭蕉文化の起源を記述しています。ISBN978-4-910937-04-5


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