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地方・小出版流通センター通信 No.1501(2024/03/29)

 今年1月に起きた能登半島地震は、災害復興を50年見てきた室崎神戸大教授によればこれほど「苛酷な災害を見たことがない」といいます。建物が崩壊し、地域が破壊され、必要な支援が届かず、社会的な孤立が進み、被災者の絶望感は大きいそうです。自然の狂暴化と社会の脆弱化が同時進行する中で、災害が究極まで進化しているといいます。高齢化が進み、生活インフラが脆弱になっている地方の集落(町村合併で行政的には「市」というのが多いのですが)は、日本全国いたるところにあります。

書影 そんな日本の中で、いまは無住となった集落を訪ね歩き、そこに希望を見出そうとする書き手がいます。無住集落は増加していますが、そこに住まなくなっても守りたいものがある、訪ねた旧住民の多くは語るそうです。住まなくなっても元の集落に通い、神社・仏閣を整備しつづける人々。秋祭り・春祭りなど、昔から続く祭事をやり続ける人たち。時には声を掛合って集り、交流を続けるケースもあるそうです。ふるさとを大切に想う心が残り、その風景、生活の有様を引き継ごうという営みが、各地で続いていると言います。震災ではありませんが、生まれ育った土地への愛着の強さを感じます。能登でも集団移住など、昔のコミュニティが残され、引き継がれる施策が強く望まれます。秋田文化出版社から出た、浅原昭生著「住まなくなっても 守りたい」2,000円(ISBN978-4-87022-615-9)は、全国の無住集落を調査し、歴史、往時の暮らし、現況を調べるとともに、住まなくなっても守りたいものは何か?を聞き取った記録です。

新刊・これから出る本

●難民キャンプ、内戦が続く町、ゴミの町、川が汚染された町…世界中の問題を抱える場所で、腹を満たそうとする人々の姿。木村聡著「満腹の惑星 誰が飯にありつけるのか」2,100円 弦書房は、必死に生きる人々の「ご馳走」風景を見てきたカメラマンの食べて考えたフードドキュメンタリー。セミは美味しかった、ゴミを食べる豚、その豚を食べる人々など。ISBN978-4-86329-282-6

●明治30年歩兵第四十八連隊設置から九州・久留米の軍都への歩みは始まった。山口淳著「軍都久留米−近代都市への転換と地域の人々」2,500円 花乱社は、明治維新後、城下町から軍都へ転換、発展した街の実像を跡付けます。地域の人々と軍隊、軍は何を残したのか?しかし敗戦により軍都は消滅。今はゴム産業3社と、肥沃な筑後平野が育てる農業が主産業となっている。ISBN978-4-910038-88-9

●平均余命や新生児死亡率が近隣のインドやパキスタンを凌ぐ国バングラディシュ。現地に身を置き調査した記録。松岡悦子編「バングラデシュ農村を生きる」3,000円 風響社は、この国の医療、福祉の50年余の歩みをミクロな観察で報告。自由の闘争とNGOsの誕生、農村の多元的なヘルスケア、マイクロクレジットから見る女性の生活変容とNGOsの課題など。ISBN978-4-89489-341-2

●青山医師は、ソケイヘルニアがあり、その手術体験は大きなトラウマとなりました。青山興司作・監修/中山忍文・絵「しゅじゅつってこわくないよ」1,000円 吉備人出版は、幼い子が怖いと感じることなく手術を受けることが出来、術後のトラウマを残すことなく成長することを願い、最新の配慮の行き届いた手術の実際を伝える絵本。ISBN978-4-86069-735-8

●パレスチナに生まれ育ち、バレスチナとイスラエルの問題について果敢に発言し、20年前に亡くなった批評家の言葉が今回のガザ攻撃で、再び読み直されています。中井亜佐子著「エドワード・サイードある批評家の残響」1,700円 書肆侃侃房は、文学や音楽のみならず歴史や現実の政治など、分野をこえて論じた批評家の思考の軌跡をたどりつつ、現代社会に於ける批評の意義を問います。朝日新聞読書で紹介。ISBN978-4-86385-612-7

●自然対数の底を十進展開表示で小数点以下一億桁まで詳細に印刷した数表。真実のみを記述する会著「自然対数の底100.000.000桁表縮刷版」718円 暗黒通信団は、A5判で携帯に便利です。日常の空き時間にも気軽に読めますISBN978-4-87310-271-9

●人々を魅了する15秒あるいは30秒の世界。昔(昭和)、CMの世界は輝いていた。輝く面と暗部の両面を現場にいた著者が明かすフィクションでもありノンフィクションでもある小説。高見沢功著「日比留(ひびる)の海」1,500円は会津若松の歴史春秋社から。ISBN978-4-86762-038-0

●源氏物語は近江の石山寺で書かれたという伝説を手かがりに紫式部が見たであろう景色を眺めその旅路を追体験します。京樂真帆子著「一時間でわかる紫式部と近江」2,000円は、滋賀のサンライズ出版から。旅した紫式部が見たであろう近江の風景を推測し、石山縁起絵巻から伺える当時の石山詣でなども紹介。ISBN978-4-88325-807-9


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