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地方・小出版流通センター

地方・小出版流通センター発行情報誌「アクセス」より

新刊ダイジェスト(2016年11月号発行分)

『二十世紀酒場2 東京・さまよいはしご酒』●多田欣也著

書影

酒は飲めば酔う。しかも安酒はさらに効く。記憶を失い、二日酔いの頭で反省するが暗くなる頃にはさて今日はどうしようかと街を選ぶ。酒飲みとは本当に困った人種なのである……と自省しながらも暖簾をくぐり、今日もはしご酒。社会人、特に会社員にとっては勉強の場であったはずなのに、決まった料理に飲み放題付きのセット料金と今やすっかり画一化された宴会スタイルを嘆き、隙間を上手に利用して成り立つガード下の店に歴史を感じ、知らない街での一人酒で地元の常連客の話に耳を傾け、東京がいつまでも混沌とした奥の深い街であってほしいと願う。
 本書は昨年出た飲み歩きイラストエッセイの第二弾。今回も飲みながらのメモから生まれた80店が紹介されている。失敗談を反省しながらのぼやきをまとめた、あとがき代わりの“呑兵衛かるた”に著者の思いが溢れ、イラストから古き良き酒場の雰囲気が存分に伝わり、すぐにでもコップを手にしたくなる。
◆1404円・四六判・142頁・旅と思索社・東京・2016/9刊・ISBN9784908309021

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『三江線写真集』●福間寿彦ほか著

書影

広島県三次市と島根県江津市を結ぶJR三江線。江の川に沿って走る全長108.1 キロの路線です。沿線に有名な観光地があるわけでもなく、特急列車も走っておらず、住民の日常の足という性格が強い路線です。そんな三江線が淡々と積み重ねる日々の明け暮れを捉えたのがこの写真集です。
中国山地の奥深くを走るだけに、沿線の自然と歴史が織り成す風景は当たり前のように美しいものです。しかしそれ以上に惹かれるのは、地元の人々との関わりです。雪のホームに降り立つ学生、無人駅を掃除する人たち、一日数本しかない列車を見送る人、そこからはたとえ利用者が減り続けていても、この路線が地域にとってかけがえのないものであることが伝わってきます。現在三江線は遠くない将来の廃止が予定されています。地元の人たちに愛されるこの美しい路線も見納めとなるのか、それとも何とか活路を見出すのか、この写真集にふれた今では後者であることをなおさら願ってやみません。
◆2160円・240mm×250mm判・107頁・今井出版・鳥取・2016/7刊・ISBN978486611110301

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『宮沢賢治童話論集』●中野隆之著

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生誕120年、宮沢賢治への関心は衰えることを知らない。賢治ファンそれもディープでマニアックな人、我こそは賢治ワールド最高の理解者なりという輩には、うってつけの本が出た。「なめとこ山の熊」「ポラーノ広場」「風の又三郎」「オツベルと象」「グスコーブドリの伝記」等々、17篇の童話をとりあげ、微に入り細を穿つかのような解釈を行いつつ、賢治の作品の底に流れる「賢治精神」を洗い出していく。
「ポラーノ広場」の章での「イーハトーブ」論などに見られるように、賢治は、地元岩手・花巻で畑を耕しながら農民に働きかけ(羅須地人協会)、「世界ぜんたいが幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」(農民芸術論概論)という思いを実践していく。当時の賢治はまったく孤立していたかのように考えられていたが、じつはこの思いは、当時、一部の心憂える東北の青年、たとえば寒川道夫や松田甚次郎によって、それぞれの故郷で受け継がれていったことが本書によって明らかにされている。
◆2700円・A5判・406頁・のぶ工房・福岡・2016/7刊・ISBN9784901346610

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『統合失調症をほどく −中井久夫と考える患者シリーズ2』●中井久夫著

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統合失調症を深く探究してきた精神科医の中井久夫の著作を、患者と医療者がともに読むという試みのシリーズ第二巻。病気の経過を辿った第一巻から、この第二巻では、病気の様々な症状とされるものを中井のテキストに沿って理解していく。例えば中井は〈あせり〉と〈ゆとり〉というわかりやすい言葉をよく使う。
本書の中の〈考える患者〉たちはこの言葉を使って、「発症前はあせりが90%でそれが普通だと思っていた」あるいは「あせりが100%でゆとりがなかったが現在は10%くらいに下がった」と自らを相対化し客観視している。こういったところに、「重要なのは患者の置かれている状況へのエンパシーである」また「患者に通じる普通の言葉のボキャブラリーをふやすこと」という中井の治療思想が実践され花開いている現実を見ることができるのではないか。一巻の読後にも増して、本シリーズが、統合失調症の予防や治療にとって、今後様々な場所で希望になるに違いないという思いを深くした。
◆2700円・四六判・255頁・ラグーナ出版・鹿児島・2016/9刊・ISBN9784904380536

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『【雑書】の世界 −盛岡藩家老席日記を読む』●細井 計著

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寛永2年(1644)、盛岡藩三代藩主南部重直が家老席に指示してつけ始めた『雑書』と呼ばれる日記。代々引き継がれ、天保11 年(1840)まで200年近く続いた。途中14年分が欠けるが、190冊もが県指定文化財としてもりおか歴史文化館に保存されている。藩政を中心に庶民生活に至る領内のあらゆる出来事、更に幕府や他藩の動向までも含む第一級の地域史料である。さらに驚くべきは、1986年から翻刻出版事業が開始され、既に163年分が刊行されていることである。
長年この翻刻と研究に携わり隅々まで熟知した著者が、参勤交代の道中心得や煩わしい人馬調達業務、学問好きの将軍綱吉に翻弄される藩内の儒学振興と弾圧、藩主の頭髪の悩み、岩手山の噴火に動転する村の世話役たち、離縁を願い出た町民女房の調停、盛んになった民衆の伊勢参りに関わる風紀粛正など、誰もが興味関心を引きそうな出来事を抽出し、背景や周辺領域の事柄を交えて優しく解き明かしてくれる。
◆2000円・四六判・266頁・岩手復興書店・岩手・2016/7刊・ISBN9784907100322

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