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地方・小出版流通センター

地方・小出版流通センター発行情報誌「アクセス」より

新刊ダイジェスト(2017年02月号発行分)

『あひる』●今村夏子著

書影

父が働いていた頃の同僚から譲り受け、あひるを飼い始めた一家。父と母、資格取得のため勉強中の娘。弟がいるが、結婚して市内で暮らしている。物語は娘の視点で語られていく。あひるを目当てに学校帰りの子供たちが集まるようになり、やがて彼らの行動は次第にエスカレートしていく。あひるの様子もおかしくなっていくが……。
地方発の文芸ムック「たべるのがおそい」創刊号に掲載され、芥川賞候補となり、大いに注目を集めた表題作ほか「おばあちゃんの家」「森の兄妹」の書き下ろし2編を収録。この2編にはそれぞれ祖母と孫、ある老女と近所に住む幼い兄妹とその母などが登場する。一見ほのぼのとしたふれあいと思われる中に散りばめられた毒ややるせなさ、子供の残酷さや本当は認めたくない現実など、3編とも何気ない日常に潜む危うさが描かれており、各方面で絶賛される著者の新たな世界が広がっている。
◆1404円・四六判・140頁・書肆侃侃房・福岡・2016/11刊・ISBN9784863852419

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『新編 荒野に立つ虹』●渡辺京二著

書影

現代の諸問題はおよそ近代化のなせるわざであろう。『逝きし世の面影』(和辻哲郎賞)などで近代の意味を問い続けた著者は、同じく近代がもたらした水俣病を描いた名著『苦海浄土』の石牟礼道子の強力な支援者としても知られる。
本書は「いま何が問われているのか」に始まり、長崎大の学生への講演「ポストモダンの行方」で近代化のおさらいをし、「山河にかたどられた人間」で自身を振り返りつつ本題に入っていく。近代化、現代文化のもつ本質を、パステルナーク、ソルジェニーツィン、ローレンツ、イリイチといった思想家との出会いからえぐりだし、「彼らの仕事は私にとって荒野に立つ虹のごとくであった」と著者は述べ、とりわけイリイチには深い関心を寄せる。世界システム論のウォーラーステインやマルクス、ウェーバー、ハイエクほかにも触れる。意図したわけではないだろうが、博覧強記の著者の手にかかる本書は、近代、現代文明、現代思想について考えるうえでのテキストにもなるという側面を持つのは、読者にはありがたい。
◆2916円・四六判・440頁・弦書房・福岡・2016/12刊・ISBN9784863291416

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『三江線BOOK −乗るだけじゃない!ローカルガイドブック』●三江線沿線魅力化プロジェクト編

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JR西日本によって廃止が打ち出されている三江線は、島根県の江津と広島県の三次を江の川に沿って結ぶ108.1 キロのローカル線です。そんな三江線の沿線の魅力をもっと知ってほしいという地元の思いを凝縮したのが本書です。
沿線には江の川の雄大な自然や様々な泉質の温泉、伝統芸能として盛んに行われている神楽など、たくさんのみどころがあります。そこには決して派手さはありませんが、地域に根ざした風景や文化そしてひとに出会うことのできる場所が紹介されています。また旅の楽しみといえば食事。猪肉を使った山くじらラーメンや、ワニと呼ばれる鮫を使ったその名も「わにプリン」、あるいは鮎が一匹のった鮎だしうどんなどご当地グルメも充実しています。三江線が廃止になるのはさびしいことですが、それで当地の魅力がなくなってしまうわけではありません。本書を片手にぜひ現地も訪れたいものです。というわけで今度は江の川のほとりでお会いしましょう。
◆1296円・A4判・72頁・ハーベスト出版・島根・2016/11刊・ISBN9784864562188

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『八幡神万華鏡 −神託とはなにか加護とはなにか』●木下博民著

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そもそも著者の八幡神への関心の原点は、著者が生まれた時に遡る。著者の父親が地元の八幡さまに何がしかを奉納して頂戴した我が子の名前に祖父がケチをつけ、その祖父の一声で現在の名前に落ち着いたのだという。「八幡さまの神託を蹴った罰当たり…当人のわたしは、それなりに、八幡さまに済まぬことをしてしまった、と生涯思いづづけてきました」
さて古事記や日本書紀には登場しない八幡神が、現在のように神社数にして日本一となるほど人気となったのはなぜなのか、本書は歴史的資料を丹念に辿りながら浮彫にしていくのだが、やはり最も興味深いのは、宇佐地方の土地神、祖霊神に過ぎなかった八幡神が突如、応神天皇と習合することで一躍メジャーに躍り出たその経緯だろうか。やがて八幡神は伊勢神宮に次ぐ神威を身に纏って鎮護国家の神となり、武家政権の誕生や元寇により武神として全国に広まっていく。戦争を経験した著者は、八幡神が戦争イデオロギーに利用された事実にも目を向ける。
◆2376円・A5判・280頁・創風社出版・愛媛・2016/12刊・ISBN9784860372347

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『プリオン 認知症感染の刻』●宇江田一也著

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わが国で認知症という病名が使われ始めてからまだ10年余りにしかならない。それなのに今や高齢化社会の問題というにとどまらず、若年性の発症もあって国民の誰もが自分のこととして意識するようになっている。認知症が感染するなどと聞いたことはない。しかし、発症のメカニックを解析し、病原体を人為的に操作したらどんなことが起こるのか。
ある町の介護付き有料老人ホームとその地域で、異常型プリオンを媒介にした百万人に一人という希少な致死性の認知症が4人も発症する。感染なのか。それを容認できない医師と研究者は、大学病院に保管されている一つの病原体に行きつく。厳重な管理下に置かれているその施設からの持ち出しは到底不可能と思われた。だが、老人ホームへの潜入協力者の命を犠牲にしてまでもの警察の執拗な捜査で、認知症の母親を交通事故で失った一人の男が浮かび上がる。認知症を取り巻く社会の歪を描く身の竦むような小説である。
◆1944円・四六判・326頁・書肆アルス・東京・2016/11刊・ISBN9784907078171

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