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地方・小出版流通センター発行情報誌「アクセス」より

新刊ダイジェスト(2018年04月号発行分)

『西南戦争 民衆の記 −大義と破壊』●長野浩典著

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西南戦争といえば、西郷隆盛の人となりや大義、悲劇、戦後の権力構造にばかりに目がいきがちだが、食糧や武器の搬送、陣地構築の土木作業、野戦病院勤務、遺体埋葬作業に軍夫として動員された民衆の姿や、地域社会に与えた影響については知ることが少ない。
しかし、どこの国いつの時代の戦争や紛争と同様に、そこには民衆の犠牲と人倫にもとる凄惨な現実があった。わずかな期間に福岡、熊本、大分、山口の各県から官軍に動員された軍夫は一説に実12万人(延べ1900万人)を上回り、多数が犠牲になったという。薩軍の要求に応ぜず殺害された住民も少なくない。双方からの略奪が横行、農民一揆を誘発し、コレラも流行した。一方で兵士に食糧や日用品を売るにわか商人の出現、軍事特需に沸く都市もあった。こうした戦時の異常で過酷な実態を、たくさんの資料を掘り起こし、民衆の側から追体験してみせてくれる。戦争がもたらすものは何か、痛切に実感させられる。
◆2376円・四六判・285頁・弦書房・福岡・2018/2刊・ISBN9784863291638

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『裏鳥海の「奇蹟」 −ダムに沈みゆく山郷の履歴』●飯田辰彦著

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山深くの美しい農山村が、ダム建設のため離村し、姿を消してゆくのはなぜなのだろう。美しいものとは、儚いものだからなのだろうか。 秋田県では14か所もの集落を離村させた森吉山ダムが2012年に竣工し、栗駒山麓の成瀬ダムが2024年竣工を目指して建設を進めている。さらにいま、鳥海山麓の百宅が、鳥海ダム建設のため離村しようとしている。百宅をこよなく愛する著者は、この地にあった歴史、豊かな自然、民俗知などを一冊の本として残そうと試みた。
例えば、百宅の開創は、弘法大師の時代、西国からの開拓者によるものだという。また、鳥海マタギの文化は、ライフルの普及とともに様変わりしたという。村人達が時代にあわせて姿を変えながらも脈々と受け継いできた民俗知の多くは、百宅の水没とともに失われてゆくのだろう。失われゆくものほど愛おしく思えるのはなぜなのだろう。鳥海ダムは、百宅をタイムカプセルにするために建設されるのかもしれない。
◆1944円・四六判・245頁・鉱脈社・宮崎・2018/1刊・ISBN9784860616915

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『「夏目狂セリ」 −ロンドンで何が起きたのか』●三上 命著

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今から102年前の1916年12月に49歳の若さで亡くなった夏目漱石。死因は胃潰瘍で、解剖に付された遺体の腸には胃から流れ出た大量の血が詰まっていたという。漱石はなぜこんなにも苦しんだのか。1902年、イギリスに留学するが、精神的不調に苦しみ始め、ロンドンの下宿に閉じこもり、文部省には「夏目狂セリ」という電報を送ったほどだった。官費留学までしていながら英文学に共鳴できなかったことも一因と言えるが、以前から漱石には妄想や幻聴があった。精神の上昇と下降を繰り返しながら漱石は帰国するが、「坑夫」と「夢十夜」の第二夜には当時の気持ちが色濃く反映されている。講演形式を取りながらこの二作を分析し、漱石の懊悩に迫っていく。
漱石のうつは最低のところから折り返していく過程で起こるなど、ここでも並の人間とは違うことがわかる。劣等感と自己本位のはざまで矛盾を抱え、一点の汚れも許さない純白主義者だった大いなる天才の姿は強烈である。
◆1620円・四六判・165頁・満天地・長野・2017/11刊・ISBN9784990963323

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『佐竹支族宇留野氏系譜 −秋田に下向した宇留野氏の探訪』●宇留野弘著

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佐竹氏はそもそも、源義家の弟・新羅三郎義光の子孫が常陸国久慈郡佐竹郷に土着したことに始まる。一時、頼朝により所領が没収されたこともあったが、中世を通じて常陸北部を中心に勢力を張った名族である。その庶流・宇留野氏が歴史の表舞台に現われたのは16世紀前半、享禄・天文の乱(部垂十二年の乱)のときである。佐竹宗家・義篤と実弟・義元(宇留野家の養子)との権力抗争だが、果は義元側が敗れる。宇留野氏は滅亡したかに思われたが、別系統の宇留野氏が存在した。義篤の曽祖父・義俊は正妻以外二人の女性に子を産ませており、そのどちらもが宇留野氏を称した。
近世、家康により出羽国の転封を命じられた義重・義宣につき従った宇留野義長はその別系統である。近世大名・佐竹氏は一門以外に「引渡・廻座」と称する新たな家格を制定。宇留野氏はその廻座に属した。本書は系譜を駆使して中世から現代に至る歴代宇留野氏の事績を丹念に綴った労作である。
◆2160円・A5判・368頁・秋田文化出版・秋田・2017/11刊・ISBN9784870225800

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『平家の里 椎葉村の昔語り 上巻 昔ばなしの部』●椎葉村の昔語り記録委員会編著

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椎葉平家まつりや平家落人伝説で知られる宮崎県椎葉村の古老らの昔語りを方言もそのままに聞き書きした昔話集。西南学院大学民俗学研究会の学生や院生による丹念な調査と村を挙げての協力によって結晶化した。本書では昔話1 話ごとに椎葉村の歴史風土に纏わる解説が付されているが、そのうちの一つに、江戸期の『西国奇談』という書物にある逸話が紹介されている。すなわち…肥後国、球磨川のほとりで、三人の樵夫が川上から流れてくる上等な杯を拾った。かつて、椎葉という平家の落人たちの隠れ里があると聞いたことがあるが、さてはこの川の上流にその村があるに違いない…こういった平家落人伝説を背景に据えてみると、狸が源平の争いを芝居してみせる『四国八島の禿狸』等、昔話のいくつかが一際興味深いものになるだろう。
また『筑前琵琶の起こり』の注記では、椎葉村の狩人は日光派であり、この派は全国どの山でも狩りができ、その本拠地は栃木の二荒山神社である等と書かれている。採録された昔話も面白いが民俗学的な知識に裏打ちされたこういった解説や注記がまた抜群に面白い。
◆3240円・A5判・408頁・鉱脈社・宮崎・2017/11刊・ISBN9784860616793

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