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地方・小出版流通センター発行情報誌「アクセス」より

新刊ダイジェスト(2020年02月号発行分)

『イージス・アショアを追う』●秋田魁新報取材班編著

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2017年晩秋、北朝鮮の弾道ミサイルに備えた地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」配備候補地の一つを秋田市の陸上自衛隊新屋演習地とする政府決定を、秋田魁新報社の記者たちは全国紙の報道で文字通り寝耳に水のように知る。学校や福祉施設が立ち並ぶ住宅街に隣接する土地がどうして適地なのか。歴史的局面に秋田が直面している。地方紙からは遠い存在である政府の安全保障問題として手をこまねき、全国メディアの後追いばかりしていていいはずがない。記者たちの熱い情熱と気概が突き上がる。
そもそもイージス・アショアは何なのか。世界で唯一実践稼働しているルーマニアの米軍デベセル基地と周辺地域を訪ねる。地方紙が特定テーマで海外に独自取材することは並大抵のことではない。これまで全く足を運んだことがなかった防衛大臣の定例会見にも欠かさず出席し、鋭い質問を投げかける。圧巻は防衛省がまとめた101 頁の調査報告書を徹底検証し、適地の根拠とした地形断面図に示された9ヵ所の山の仰角の誤りを指摘する過程だ。初めから新屋演習地ありきの捏造ともいえる数値である。局面は大きく変わり、防衛省は適地の再調査に追い込まれ、参院選では配備反対の野党統一候補が勝利する。
地道な取材で事実を掘り起こして積み重ね、何物をも恐れずに真実を伝える。全社を上げての足かけ2年に及ぶ取材と報道の迫真のドキュメンタリーである。
◆1600円・A5判・299頁・秋田魁新報社・秋田・201912刊・ISBN9784870204102

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『日本廃村百選 −ムラはどうなったのか』●浅原昭生著

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「廃村」と聞くと、何が思い浮ぶでしょうか。朽ちた廃屋や廃校の校舎、雑草が生い茂る荒れた田畑が思い浮かぶかもしれません。勿論、そのような廃村も存在しますし、本書にも登場します。しかしそれは廃村の姿の1つでしかありません。学校や集落の記念碑が建っていたり、元住民が通い作で田畑を管理していたりします。さらに、神社の例祭が行われているところもあります。
本書では北海道から沖縄まで、全47都道府県に存在する廃村のうち、筆者が実際に訪ねて「特に印象深い」と感じた100箇所が取り上げられています。人口統計や集落の現況など、研究色が強い部分もありますが、探訪の記録は客観的に捉えられており、分かりやすい内容です。また、「集落の記憶」として元住民への聞き取り記録が掲載されていますが、かつての暮らしや集落を離れた背景、現在の故郷への想いなどが綴られており、地方史の記録にもなっています。都市部への人口の一極集中、それに対する地方の不便な地域の人口減少は今後も続き、同時に新たな廃村が生じていくのはやむを得ないことなのでしょう。しかし、ただ成り行きにまかせていることは、良いことではありません。
本書は、現在のムラの姿、そしてムラの将来、ひいては日本の未来について一石を投じる内容になっています。本書を読めば、廃村に「朽ちた、荒れた」といったイメージを持たれていた方も、その意識が覆ることでしょう。
◆2000円・四六判・280頁・秋田文化出版・秋田・202002刊・ISBN9784870225893

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『ある外国人の日本での20年 −外国人児童生徒から「不法滞在者」へ』●田巻松雄著

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1998年両親とともに10歳でTは来日しました。中学校に入ると、いじめなどから不登校となります。悪い友人と出会い非行に走り、少年院にも二度入院しました。退院後には就職していますが、それもリーマンショックの影響で解雇されてしまいます。そして職場で知り合った友人に誘われ再び罪を犯し逮捕され、懲役7年の実刑判決を受け服役します。2017年10月にようやく出所。そんなTを待ち受けていたのは、日本での再起ではなく、入国管理局の長期収容でした。Tは服役中に在留期間の更新が認められず不法滞在者となっていたのです。以来収容は続き2019年7月時点でも収容されたままです。以前は仮放免が相当行われていたようですが、近年は他にも多くの長期収容者がおり、被収容者の人権について問題となっています。彼らは母国に生活の基盤がなく、帰国という道は選び難いものです。Tも母国には疎遠な親戚しかおらず、言葉も巧みではありません。
また一度日本を出国すると、犯罪歴のため再入国は厳しく、家族にも会えなくなってしまいます。なぜ刑期を満了したにもかかわらず、更生の機会が与えられないのでしょうか?そして母国へ戻るのが著しく不利益なのになぜそれ以外の選択肢が示されないのでしょうか?残念ながら裁判所もTのそういった訴えには耳を貸してくれませんでした。ひとりの外国人の人生を辿ることで、日本人や日本政府が外国人をどう見つめているのかも浮き彫りにされてきます。
◆2000円・A5判・204頁・下野新聞社・栃木・201910刊・ISBN9784882867432

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『石川啄木と岩手日報』●小林芳弘著

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盛岡市に本社を置き、145年もの歴史を誇る岩手県内でシェア1位の岩手日報。その岩手日報と石川啄木とは長く深い関係があり、啄木が挫折を繰り返し、悩みながら日々を送る過程で岩手日報がどのように関わったかを国際啄木学会前盛岡支部長である著者が新たに発見した資料を基に明らかにしていく。
岩手日報に啄木の作品が初めて載ったのは明治34年12月。啄木15歳の時であり、以後26歳で亡くなるまで歌、詩、評論などが10年間にわたり掲載された。関連広告記事や消息記事も多く、他の県内紙に比較すると群を抜いている。岩手日報には主筆・福士神川、主幹・清岡等、恩師・新渡戸仙岳がおり、この三人との人脈がなせるわざだと考えられる。さらに啄木は晩年、東京朝日新聞に入社したが、盛岡出身の編集長佐藤北江の尽力があり、それには佐藤と親しかった福士の役割が大きかったことも解明された。彼らとの関係は三章を割いて論じられているが、本書の中で最も注目すべきは結婚式前後の謎行動を探った章である。一番力を入れた「あこがれ」の詩作と出版。しかし岩手日報に出版広告は載ったもののさほど売れず、のしかかる生活が不安で死すら考えた啄木。一方、広告掲載を節子ら家族は朗報と捉えたが、この齟齬ゆえ、啄木は式の日自体を知らなかったともいえる。また、立ち直ったきっかけなども考察する。独自の視点で丹念に研究した著者の力量が発揮され、新たな啄木の人間像が示されている。
◆1500円・四六判・253頁・桜出版・岩手・201912刊・ISBN9784903156309

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『大戸の昔ばなし』●小林兵郎著

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各地で悪事をはたらいていた堀主水(ほりもんど)という男が、会津にもやってきて領民を困らせていた。会津の殿様は一刻も早く捕らえよと、家臣をさし向ける。追手から逃げる途中、国境にある橋を渡ったところで堀主水は、保身のために橋に火をつけた。橋が燃えていることを村人に知らせようと大声を出し続けた橋守の老夫婦は腹が裂けて死んでしまった。一方堀主水は、あろうことか高野山まで逃げ延びて僧侶になって身を隠した…福島県会津若松市大戸町に伝わる昔話や伝説、数えうた、手まりうたなどを収録する本書の冒頭を飾るこの「おんば様」の長大な伝承は、現在その場所にかかっている橋そばの神社縁起譚になっているとともに、会津三十三観音の由来譚にもなっている。
他に、村人の橋渡しの手助けをしてくれた蛇姫の話、なぜか婚礼で三三九度をやらない家の言い伝えや、柿や胡麻といった一定の作物を作らない地域のその禁忌の由来など、著者が長年に渡って地域の老人会、公民館で古老から聞き取り、郷土誌資料等から収集した伝承七十三話。地元の教員であったという著者のあとがきには「昔ばなしを収拾しようと思い立ったのは、大戸に残る昔ばなしを今収集し記録しておかなければ、やがて話す人も聞く人もいないままに暮石の下に埋もらすことになり、かけがえのない文化遺産を失うことになると考えたからです」と書かれている。遺稿を見つけたご子息が志を引き継ぎ、本書の刊行が実現した。
◆1400円・A5判・178頁・歴史春秋社・福島・201911 刊・ISBN9784897579610

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『太田資正と戦国武州大乱 −実像と戦国史跡』●中世太田領研究会編著

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太田資正の名は、曾祖父の太田道灌に比してあまり世に知られていない。けれども、江戸時代においては軍記物等に登場する英雄として庶民の間で有名な存在だったという。中でも『甲陽軍鑑』に記される、伝令犬を使って味方の窮地を救ったという逸話は広く知れ渡る。その奇想天外さが受けたのか、現代ではゲームキャラクターのヒーローとして人気に火が付いた。江戸時代の資正像は、関東管領上杉氏への忠義に徹し、強大な勢力の北条氏に孤軍奮闘した、知恵と勇気と反骨精神の持ち主として描かれた。でもそれは、あくまでもフィクションの中でのお話。実際は少し違ったようである。
本書は、3人の研究者が各章ごとに分担執筆、様々な史料を駆使しながら資正の実像に肉迫していく。道灌死後の太田氏は、江戸太田氏と岩付太田氏とに分かれるが、資正は後者の系統であり道灌の曽孫に当たる。第1章では、太田氏の系譜を詳細に辿る。第2章では岩付城主時代の資正について考察。軍記物だと資正が岩付城主として北条氏と抗争を繰り広げたのは長い歳月に亘ったとされるが、実際は4年間に過ぎなかった。さらには資正が北条氏に服属していた時期もあった。なぜ齟齬が生じたか。その謎を探る。第3章は岩付太田氏の支配領域及び城館などについて。第4章は太田氏所縁の地を詳細に紹介する。最新の研究にも目が行き届いた本書は、太田氏の研究ならびに関東戦国史を研究する上において必読の書といえよう。
◆1800円・A5判・352頁・まつやま書房・埼玉・201912刊・ISBN9784896231281

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