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地方・小出版流通センター発行情報誌「アクセス」より

新刊ダイジェスト(2020年06月号発行分)

『地獄と人間 −吉本隆明拾遺講演集』●吉本隆明著

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吉本隆明氏が2012年3月に87歳で亡くなってから8年、この期間、『吉本隆明全集』(晶文社)や『吉本隆明〈未収録〉講演集』(筑摩書房)、『吉本隆明質疑応答集』(論創社)等が、刊行中、あるいは刊行済みとなっている。こうした中にあって、今回刊行された本書には、新たに入手された音源をもとに全11 講演が収録されている。解説の宿沢あぐり氏によると、7講演が初収録、収録済みの4講演も、音源を確認して改稿されている、という。吉本氏の手は加わっていないが、吉本氏の講演集としては最後とも言えるものとなる。
これら一連の講演が、内容、テーマによって3つのカテゴリーに分節化されている。「T」は『身体のイメージについて』や『現代文学に何が必要か』等が収録されており、文学論、イメージ論という括りになるだろうか。「U」は、『労働組合について』や『民間教育への視座』、ほかに『バブルのあとに』や『現在について』等を収録。「消費社会」を誰よりも明確に定義付け、1990年前後に展開した独自の吉本経済学、そして〈現在〉と名付けられた時代情況への揺るぎない視線に、多くの読者がここで改めて魅入られるだろう。「V」には、本書のタイトルともなった『地獄と人間』ほか『日本浄土系の思想と意味』が収録され、宗教論として括ることができる。宿沢氏の解説では、〈講演〉を書き言葉とも話し言葉とも違う独自の位置を占める〈作品〉とみなしてきた吉本氏の、講演の理念について述べている。
◆3800円・四六判・333頁・ボーダーインク・沖縄・202004刊・ISBN9784899823810

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『人がたり外伝 大阪人物往来』●倉橋健一著

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「大阪にこだわり活動する人々をたずね、語り合って、その心を読者とともに共有する」という編集方針の季刊誌「おおさかの街」。残念ながら2009年に70号で休刊となったが、18年にわたって連載されていたエッセイがある。特徴は大阪人ではないけれど、大阪に何らかの関わりを持ったり、通り過ぎていった文人たちの大阪印象記。
たとえば谷崎潤一郎は「細雪」「春琴抄」など上方を舞台にした数多くの作品で“関西”のイメージがあるが、実は東京出身で、関東大震災を機に移住した。だからこそ異邦人の観察眼であれらの作品が書けたのだ。さらに大阪が生んだ無頼派作家、織田作之助の死に際し、盟友であった新潟出身の坂口安吾は織田作が大阪を余りにも意識しすぎて、書くものが限定されてしまった無念さを文にした。大阪人による大阪語りはたくさんあるので、こうしたエトランゼの視点の方が大阪人が見過ごしているところに気づけるのではと考えた詩人の著者。小林秀雄を筆頭に漱石や三島由紀夫なども登場するが、文学界だけではなく、内田朝雄、田中絹代といった俳優や景山英子、堺利彦など社会運動家も取り上げる。
中には例外として詩人の小野十三郎、歌人の折口信夫、画家の小出楢重など、大阪出身者も登場するが、いずれも身贔屓をしない辛口評が飛び出すのが取り上げた所以である。文人と大阪の意外なつながりも浮かび上がり、計43編がいにしえの大阪のさまざまな表情を見せてくれる。
◆2000円・四六判・228頁・澪標・大阪・202003刊・ISBN9784860784683

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『令和の神輿 誕生物語 −利根沼田の総鎮守 榛名神社の宮神輿』●石川恒夫、平蝸英、木暮竜田著

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夏祭りに神輿は付きものと、日本に暮らす人は何の疑問も抱かないことが多いだろう。しかし、その神輿を誰が、どのように造っているかと尋ねられると、これまた多くの人が答えに詰まるのではなかろうか?明治33年(1900)以来の宮神輿が老朽化したとき、これを新調すべく利根沼田の榛名神社奉賛会の人々が選んだのは、地元の木匠・小野康博棟梁だった。神輿は一見、神社建築を縮小したかに見えるが実はそれほど単純ではない。伝統的な寺社の細部意匠や部材の比例(木割)を守りつつ、担ぎ手にかかる重さや、激しく練り歩くことに耐える強度など、普通の神社本殿では考慮しない課題を解決しなければならない。
この困難な課題に小野棟梁はどのように挑んだか? 建築論・建築意匠の研究者・石川恒夫さんはその過程に密着し、榛名神社の宮神輿がどんな構造をもち、いかに造られたかを丹念に解説する。また、神璽を納める神輿がもつ独特な空間的意味を建築論の立場から読み解く。平柳利英さんは聴取りを交えつつ、棟梁が宮大工として培った技と道具の実像に迫る。そして本書の白眉というべきは、木暮竜太さんが描かれた図面の数々である。神輿の具体的な構造を、ここまで詳細に明らかにした図面は珍しい。多くの関係者から提供された写真と相まって、選び抜かれた木曽桧から令和の神輿が誕生するまでのプロセスが手に取るように伝わってくる。小冊子ながら神輿に関わる人々の熱意が込められた、内容豊かな好著である。
◆700円・A5判・74頁・上毛新聞社・群馬・202003刊・ISBN9784863522572

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『斗南藩 −泣血の記』●松田修一著

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高23万石、実質は御三家を凌ぐ40万石余といわれた雄藩会津藩は、戊辰戦争に敗れ、朝敵の汚名を着せられて藩領没収となる。だが、明治2年、鳥取藩預かりとなっていた藩主松平容保に嫡男が誕生し、3万石を得て家名存続が許される。しかし、再興の地は、稲作に不向きで実高7千石といわれる旧盛岡藩領の陸奥国3郡(現青森県むつ市一帯)。藩士で後に陸軍大将となった柴五郎は「挙藩流罪という史上かつてなき極刑にあらざるか」と書き残したという。そこに斗南藩を立てるが、どれほど過酷な境遇であったかは想像に難くない。サブタイトルの「泣血の記」は、会津藩降伏式の際に敷かれた緋毛氈を血の涙を吸った泣血氈と呼び、屈辱を忘れないようにと重臣に切り分けた逸話に拠っている。
会津地方には1 世紀半が過ぎた今も、無念の思いと長州へのわだかまりが根強く残っている。白虎隊の壮絶な最期も誰もが知るところであろう。どうしてそこまで薩長、そして新政府と対峙したのか。認知されない将軍の子であった藩祖保科正之まで立ち返り、正之が遺した勤王佐幕の家訓や、幕府の学問である朱子学を捨て徂徠学派を迎えて設立した藩校日新館の教育がもたらした精神風土を明らかにする。苦難の道を歩んだ斗南藩士の中から、近代日本を背負った帝大総長山川健次郎や、現在の「東奥日報」の元となる青森県初の言論機関「北斗新聞」創設者の小川渉が生まれているのも興味深いことである。
◆1800円・A5判・239頁・東奥日報社・青森・202003刊・ISBN9784885612596

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『結果を出すための攻める検問・職務質問』●宇野博幸著

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警察の仕事の中でも検問や職務質問などは地味な印象があります。される側の市民からしてもあまりいいイメージはないかもしれません。本書は警察官向けに、そんな検問・職務質問を結果が出るものにするための指南書です。結果が出るというのは検問や職務質問から検挙に結びつけること。著者は徳島県警で職務質問技能指導官まで勤めたその道のエキスパートです。なぜ結果を出すことにこだわるのかというと、検問や職務質問で検挙することができるということは、犯罪を未然に防ぐことができるからです。
例えば本書には飲み屋街で不審に感じられた人物を職務質問したところ包丁が発見され、その人物曰く「気に入らない奴がいるので殺しに行く」ところだったというものがあります。積極的な職務質問により殺人または傷害事件を事前に防ぐことができました。飲酒運転を検問で発見することも、重大事故を未然に防ぐことに繋がります。そのために警察でも様々なノウハウが蓄積されているのがわかります。そうした警察のねらいや著者の様々な経験談などは、一般市民にとってもなかなか興味深いものです。そうしたなかで著者が職務質問の相手に対し尊敬の念を常に持つことを説いているのは特筆できます。犯罪を未然に防ぐことは相手方の協力なしにはできず、横柄な態度ではそれは望むべくもありません。本書が実務にあたる警察官にも広く読まれ、適正かつ的確な活動が行われることも期待したいです。
◆1000円・新書判・173頁・春吉書房・福岡・202004刊・ISBN9784908314230

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