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地方・小出版流通センター発行情報誌「アクセス」より

新刊ダイジェスト(2020年07月号発行分)

『小沢一郎 闘いの50年 −半世紀の日本政治を語る』●榊悟/聞き書き・構成

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司法試験を目指して学ぶさなかに衆院議員であった父親の突然の死に遭い、弱冠27歳で跡を継いでから50年の波乱に満ちた政治人生を、地元岩手日報社記者による2018年から足掛け2年、23回に及ぶロングインタビューに答えて語った半生記である。こわもての小沢に、おっかなびっくり臨んだ記者であったが、正確に書いてくれるなら何を聞いてもいいと、笑顔で迎えてくれたという。田中角栄を「おやじ」と呼び、誰からもその後継者と目されながら野に下り、自自連合や野党大連合の画策、自らは身を引いて羽田孜や細川護熙を担いだ政局の駆け引きと心の内、民主党代表として政権交代が現実味を帯びてきたタイミングで公設第一秘書が政治資金規正法違反容疑で逮捕された「国策捜査」での検察との攻防など、政局の内実が歴代首相や要人の名を上げて赤裸々に明かされる。小沢ほど毀誉褒貶の激しい政治家もいない。
だが、米商務長官をして「手ごわくかつ公正な交渉相手」と舌を巻ませた日米経済交渉、ゴルバチョフをもう一歩のところまで追い詰めた北方領土交渉の評価はあまりされていないのではないか。小沢の揺るがぬ信念は、二大政党制による議会制民主主義の成熟である。若者たちに、政権を取って国民のために政治をやる志がなければ政党も政治家も意味がない、大志を抱けとけと呼びかける。現代日本政治史としても読み応えがある。(飯澤文夫)
◆1800円・A5判・285頁・岩手日報社・岩手・202004刊・ISBN9784872014242

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『トカラ列島の民話風土記』●下野敏見著

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トカラ列島は、鹿児島県の種子島、屋久島と奄美大島の間に点々と連なる七つの島々からなっている。これらの島々は数千年前から本土や琉球と交流があったといい、中世の頃からは琉球王国の影響下にあり、その後薩摩藩の勢力下に入ったらしい。琉球、および薩摩双方からの文化が根を下ろし、それらが今でも信仰や年中行事、祭りとなって残っている。
本書は、これら島々に伝わる言い伝えや子守唄、民謡や神話的な由来譚、歴史伝承等々を収録したトカラ列島民間伝承集成となっている。読者それぞれの興味によって様々な読み方ができると思うが、歴史的側面に興味があるならば、各島に残る平家落人伝説を始め、江戸期の諏訪之瀬島の島誌「江戸時代の諏訪之瀬島」、幕末の異国船打払令のきっかけとなったという宝島のイギリス坂由来譚「イギリス坂」、太平洋戦争敗戦間近のエピソード「空襲をさけてトカラの島々を南下」(子宝島)、「宝島空襲・アメリカ兵上陸」(宝島)等々に惹きつけられることだろう。宗教や民間信仰に興味がある読者なら、トカラの島々にほぼ一貫して見られる、男神役の太夫と女神役のネーシ(内侍)を中心とした信仰・祭祀体系に関心を持つだろう。民俗学徒ならば、各島の民話に散見される山姫という、神とも幽霊ともはたまた妖怪ともつかぬ、髪の長い女の姿をした異界のものに興味をそそられるだろう。各島に固有な民話ばかりではなく、本土でも聞き慣れた型を持つ昔話が収録されていることにも注意しておきたい。(N)
◆2500円・A5判・269頁・榕樹書林・沖縄・202003刊・ISBN9784898052198

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『徘徊する浪人たち −近世下野の浪人社会』●川田純之著

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江戸時代の浪人というと、新たな仕官への道を諦めた武士が裏長屋に住み、その日暮らしの生活をしながら近所の子供たちを集めては手習いを教えたり、傘張り仕事をしたりして食い扶持をつないでいた、そんなイメージがすぐに思い浮かぶ。テレビの時代劇の影響が強いからだが、そのほか各地を流浪する浪人、本書のテーマである「徘徊浪人」も少なからず存在した。とくに関東は幕領・大名領・旗本領・寺社領が複雑に入り組んだ相給の村が多く、領主支配の分散・錯綜が治安悪化を招くなか、江戸時代中期以降、浪人による「ねだり行為」が顕著となる。かれらは合力銭(金銭の施し)や止宿を求め村々を徘徊したが、村に要求を呑ませるために嚇すことも多かった。
組合村の結成や幕府の関東取締出役設置・改革組合村(寄場組合)の編成など対策を取るが、文政後期になると村と「浪士集団」とで契約を交わすことが始まる。浪人は契約金を得る代わりに、期間内での合力銭や止宿の要求禁止、さらによその浪人の排除についても誓約した。浪人側には金銭が確保できるメリットが、村側にも暴力からの解放というメリットがあった。まさに用心棒である。旅籠屋の主人などが引受人(仲介者)であったが、トラブル続出でなり手がなくなり、契約金の前借りも横行するなど契約は次第に形骸化する。面白いのは、集団でなく一人の浪人が自ら村に定住して対応を引き受けたこともあった。時代小説の主人公になりそうだ。(I)
◆2000円・四六判・189頁・随想舎・栃木・202004刊・ISBN9784887483804

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『なぜいま家族のストーリーが求められるのか −「公私混同」の時代』●橋本嘉代著

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結婚、妊娠、出産といった私的なライフイベントを「私ごとですが……」という前置きを添えて「ご報告」する著名人たち。SNSの普及を背景に、父として母として、家族の日常や思いを語ると、コメントが殺到する。しかし、1990年代頃までは公の場で家族を語ることは「公私混同」として批判されていた。子連れ出勤で賛否両論を巻き起こしてアグネス論争が象徴的であるが、今は〈公〉〈私〉が曖昧になり、「私ごと」の劇場化が進んでいる。カレーや衣料用洗剤のCMも以前は女性が”作る・洗う”という場面が多かったが、夫婦や男子のみのキャスティングにシフトしている。調査によると、オイルショックやバブル崩壊後には精神的な支えを必要としてか、「家族が一番大切」という意識が急増し、今またコロナウィルスで予測不可能な時代が訪れている。一方で、カンヌ国際映画祭で最高賞を受賞した『万引き家族』のように血縁関係がない人たちが家族として暮らしたり、同性愛や格差や自立を描いたドラマや映画が数多く作られている。
本書は家族の多様性に着目しつつ、家族をめぐる政治の思惑、メディア関与も絡め、海外との比較など、様々な視点で分析していく。少子化問題で出生率1.8を目指す割には日本の子育て支援は薄い。さらにケアに関しては自助努力を求められ、家族の絆が万病に効くと思っていないかと疑問を呈しつつ、ブームとなった背景を読み解いていく。(Y)
◆1600円・四六判・231頁・書肆侃侃房・福岡・202003刊・ISBN9784863853942

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『現代語訳 近江の説話 −伊吹山のヤマトタケルから三上山のムカデまで』●福井栄一著

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『古事記』や『今昔物語集』、『宇治拾遺物語』といった、奈良時代から室町時代までの古典から、近江に関わる説話十七編を抽き出して現代語に訳した。近江を説話で巡る、が著者の意図するところである。上方文化評論家の肩書きをもつ著者にはすでに『説話をつれて京都古典散歩』(京都書房)『説話と奇談でめぐる奈良』(朱鷺書房)といった著者があり、本書は説話でめぐる上方の第三弾といったことになる。 この中で最もよく知られているのは「三上山の百足退治」だろうか。主人公の藤原秀郷(俵藤太)は実在した人物であり、平将門討伐を成し遂げたことで知られる。三上山に棲む大百足に苦しめられていた竜神一族に、その大百足退治を懇願された秀郷が大いに活躍する。
本書では、それぞれの説話に詳細な解説を付しているが、この「三上山の百足退治」の解説では、原典となった『俵藤太物語』がそれまでの様々な説話を巧みに組み込んで成立していることが述べられている。 この他『今昔物語集』中の「小僧に変じた矢取り地蔵」は、いくさ中に主人公の身代わりになって背に矢を受けた小僧が実は主人公の氏寺の地蔵菩薩像だった、というお話。小僧に変じた地蔵が人を助けるという、日本の昔話の類型にもなっている物語の一つ。 他に取り上げられているのは「関寺の霊牛」や「詠う叡山の水」といった、当時の観念的普遍性としての仏教を下地とした物語が多いが、現代に置き換えてみれば、巷の怪談奇談や都市伝説として楽しめる。(N)
◆1500円・B6判・156頁・サンライズ出版・滋賀・202004刊・ISBN9784883251971

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『旅先銭湯 4 特集路面電車で風呂いこう!』●松本康治著

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銭湯は近年街から次第に姿を消しつつありますが、まだまだ営業を続けているところも多くあります。『旅先銭湯』今号の特集は「路面電車で風呂行こう」ということで、日本各地の路面電車が走る街を訪ね、その土地の銭湯に実際に浸かって紹介していきます。銭湯といえばタイル張りの床や壁、ペンキ絵、番台に下足箱などが思い浮かびますが、路面電車も古くから街の景色に溶け込み風情のあるものです。そのふたつの魅力を掛け合わせたらそれはいやおうなく旅情も高まるというものです。
巻頭を飾る阪堺電軌の古典車輌とレトロ銭湯の写真はまさにそんなノスタルジックな雰囲気にあふれています。北国函館には長い歴史を持つ函館市電。その終点湯の川には温泉の銭湯が。湯温は最高49度と熱すぎではないかとも思いますが、そんな銭湯に出会う旅もいいものです。函館に行った際にはぜひ市電に揺られて訪れたいですね。その他にも広島・長崎・豊橋・大津・松山と路面電車のある街には銭湯がよく似合います。東京に唯一残る荒川線も忘れてはいけません。重労働な上に経営も楽ではありませんが、お店の人の声からは楽しみに来てくれるお客さんのために営業し続ける心意気が感じられます。湯上りに美味しいお酒とお肴のお店が紹介されているのも嬉しいところ。ゴトゴトと路面電車に揺られ、ゆったりとお湯を味わい、店構えや内装に惚れこみ、名物に舌鼓を打つ、銭湯の多彩な楽しみ方を教えてくれます。(副隊長)
◆1200円・A5判・84頁・さいろ社・兵庫・202004刊・ISBN9784916052292

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