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地方・小出版流通センター発行情報誌「アクセス」より

新刊ダイジェスト(2021年07月号発行分)

『牡丹社事件 マブイの行方 −日本と台湾、それぞれの和解 増補版』●平野久美子著

書影

1871(明治4)年、八重山諸島から琉球王府に年貢を納めた貢献船が、帰路大嵐に遭って台湾西南部に漂着し、船頭ら69名のうち54名が、先住民パイワン族によって斬首された。当時、琉球を管轄していたのは鹿児島県、台湾を支配していたのは清国という複雑な関係にあった。おりしも、日本国内は政情不安にあり、その眼を海外にそらそうとしていた明治政府は、清国に賠償を求めたが拒否されるや、好機とばかり、1874年に台湾出兵を断行する。併せて「牡丹社事件」と呼ばれるものである。
台湾の日本統治時代に深い関心を持って取材を続けている著者は、この事件が、日本、沖縄、中国、台湾の近代史に重要な意味をもつものであるとの認識から、遭難者とパイワン族の末裔のもとに足繁く通い、信頼を得て、互いの文化と民族の歴史を学び、マブイ(魂)の交流と鎮魂を願う。2005年、パイワン族の一行が沖縄を訪問、遭難者遺族と面会して謝罪し、堅く手を握り、肩を抱き合うという奇跡が起こる。だが、パイワン族もまた被害者である台湾出兵の根は深く、その後、台湾内の遭難記念碑が日本の侵出に起因する事件であるかのように書き換えられたりもする。遺族のわだかまりも拭い去られたわけではない。
どうしたらこの葛藤を乗り越えられるのか。「歴史は両方の側から見ないと歴史にならない」。パイワン族の末裔から聞かされた言葉が印象的である。(飯澤文夫)
◆2000円・四六判・326頁・中国書店(集広舎)・福岡・202105刊・ISBN9784867350102

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『詳説 デ・レイケ堰堤ガイドブック』●大林和彦著

書影

明治政府は日本の近代化を目指すために、ヨーロッパから多くの技師たちを迎える。砂防・河川の分野では、明治6年オランダ技師デ・レィケが来日した。彼は全国の山や川を踏査し、日本の急峻な河川の特徴に基づき堰堤工事、河川改修工事を指導した。堰堤の役割は、土石流の減勢、斜面崩壊を抑え、植生を促進させる水源山地の荒廃を防ぐことにある。よって土砂災害、水害の減災を図る目的を持っている。明治15〜18年度にかけて、荒廃していた群馬県榛名山麓一帯にデ・レィケ堰堤が施工された。平成28年以来「榛名山麓のデ・レィケ堰堤を見守る会」の人達が、荒廃したそのデ・レィケ堰堤を掘り起こし、復元させ、その価値を見直す活動をしている。この書はその過程を詳細に論じている。@榛名白川のデ・レィケ堰堤の夕日河原4号地では、堰堤本体の両岸袖部に設けられた石垣が河岸の洗堀を防ぐA唐沢のデ・レィケ堰堤の唐沢1 号乙堰堤は唐沢で築かれた最大規模を誇るB十二沢(現・八幡川)の5号デ・レィケ堰堤では、八幡川の現河道から北に数十m離れた杉林の中に存在。天端の縄だるみは目立たない。提体の半分以上が埋没C自害沢川のデ・レィケ堰堤は、施工10基のうち8基を確認D滝の沢川・悪沢のデ・レィケ堰堤では、滝ノ沢11号、悪沢1 号・2号の埋没が進んでいる。
見守る会のデ・レィケ堰堤の調査・保全・顕彰の活動には、地域防災の観点から重要なことで頭が下がる。(古賀河川図書館 古賀邦雄)
◆1364円・B5判・111 頁・上毛新聞社・群馬・202105刊・ISBN9784863522831

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『図説 古代エジプト誌 神々と旅する冥界 来世へ 前編』●松本弥著

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人は死ぬとどうなるのだろうとは、人類が止むことなく延々と問うてきたことであるが、各時代、各地域で様々な伝承や宗教、哲学が、それに対する答え、というより仮説を提供し、人々はその時々、仮の安心感を得てきた。古代エジプトにおいては、それはどのようなものだったろう。本書では、この古代エジプトの死生観について、ピラミッド内部や棺、副葬品に書き残されたテキストや図像を見ながら初心者にもわかりやすく解説していく。その死生観の基本的な図柄は、現世での死後、だれもが「来世」で復活し、永遠の命を得ることができるというものであった。
この「来世」は仏教的な輪廻転生を前提とした、死後しばらくして再び生まれ変わった地上での次の人生、という意味ではなく冥界に存在する楽園での永遠の生のことである。死者の魂はここで現世と同じような生活を営むとされる。
前編となる本書ではまず、ピラミッドの通廊や玄室に書かれた、王の死後の生のために唱えられた呪文の集成である葬祭文書、いわゆる「ピラミッド・テキスト」を取り上げる。さらに王以外の州侯や役人等地位ある人々の棺に書かれた「コフィン・テキスト」、そして、時代が下り、有力者以外の多くの人々の副葬品となったパピルス文書「死者の書」についても解説する。読み進めると様々な王名や王朝名が登場するが、巻末の略年表がとても役に立つ。またところどころ、古代エジプトの象形文字であるエログリフについての説明もある。(N)
◆2200円・A5判・143頁・弥呂久・東京・202104刊・ISBN9784946482380

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『図説 古代エジプト誌 神々と旅する冥界 来世へ 後編』●松本弥著

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古代エジプト古王時代の王たちのピラミッド玄室や回廊に書き残されたいわゆるピラミッド・テキスト、柩に書かれたコフィン・テキスト、そして庶民に至るまで副葬品としてのこされたパピルス文書「死者の書」等を解読しながら古代エジプトの死生観を詳細に解説した前編に続き、この後編では、「王家の谷」の壁画をもとに古代エジプトの死生観にさらに詳細に迫っていく。「王家の谷」は3550年ほど前、新王国時代第18王朝(前1550年頃)から第20王朝(前1000年頃)までの王、王族が葬られた墓地である。
エジプトの王墓は古王朝時代や中王朝時代のピラミッドに代表されるように王の威厳を示すものであったが、副葬品である宝物の盗掘被害を避けることができなかった。そこで、王家の谷は屏風のように聳える岸壁のすぐ後ろに回り込んだところに設けられたのである。その王家の谷の最古となる王墓造営に携わった建築家の墓碑には次のように記されているという。「私は秘密裏にされている。陛下のために墓の開削を視察しました。誰も見ることなく、誰も聞くことなしに」。しかし、やがて、王家の谷は公然の秘密となってしまい、盗掘の被害を避けることはできなかったらしい。これら王家の谷の初期の壁画には、太陽神が日没後どのように冥界(夜)を進んでやがて復活するのか、が描かれている。王はその太陽神とともにある。あるいは太陽神そのものであるとみなされていた。だがやがて、冥界だけでなく天を移動する太陽の重要性が強調され墓内部全体で宇宙観まで表現されるようになっていった、という。(N)
◆2000円・A5判・127頁・弥呂久・東京・202104刊・ISBN9784946482373

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『近江の陣屋を訪ねて』●中井均著

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江戸時代の滋賀県といえば彦根藩が井伊家の名とともによく知られているところではありますが、それ以外にも幾つかの藩が存在していました。その中でも石高が低い大名たちは城を持っていませんでした。彼らが住まい、あるいは藩政の拠点としていた場所を陣屋と呼びます。
本書ではかつて滋賀県にあった陣屋について詳しくガイドしてくれます。陣屋は幕末の仁正寺藩陣屋のもので約90メートル四方。中世の城跡を活かして建てられており、周囲には家臣団の住む武家屋敷がありました。あるいは宮川藩では当主は江戸詰めの定府大名だったため、地元に常に詰めているのは一人程度だったといいます。明治維新を迎えて藩主が始めて地元に住むことになりましたが、そのために新しい藩庁と家臣団居住地は新たに造成されなければならないほどでした。しかし小さいながらもそこは大名の拠点。陣屋は城に比べれば小ぢんまりとしていますが、街並みとともにコンパクトにまとまっているところはその魅力のひとつかもしれません。今もいくつかの武家屋敷は残っていますし、藩主一族の墓地がある寺院などもあります。また町割りなどにもかつての陣屋町の姿の名残をとどめています。ただそうした遺構もあまり顧みられることなく、次々に姿を消しているようです。
本書によって広く陣屋とその街並みが持つ佇まいの魅力に触れていただき、姿を消そうとしている建物や遺構の価値も再認識されればと思います。(副隊長)
◆2000円・A5判・104頁・サンライズ出版・滋賀・202103刊・ISBN9784883257232

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『うつモンスターがやってきた!ママ、どうしたの?』●みやざきなおみ訳/エルドムート・フォン・モッシュ著

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リケは絵を描くのが好きな5歳の女の子。トミーはまだ赤ちゃんのリケの弟。2人のママのロシーはお花屋さんで、家の庭では野菜も作っている。パパのベルントは会社で仕事がたくさんあるから、余りうちにはいないけれど、お休みの日はリケとトミーと遊んでくれる。4人家族で幸せな日々を送っていたリケだったのに、ある日曜の朝、いくらベッドで待っていてもママが起こしに来てくれない。待ちきれなくて飛び出すと、ママはまだベッドの中だった。とても悲しそうで「どうしたの?」と訊いても答えてくれない。仕事も休んでいるのに、誰も何も教えてくれない。ママはリケのことを怒っているのかな? 不安でいつもとは違う暗い絵を描いてしまうリケ。やっと起きてきたママが話してくれた。ママを疲れさせ、落ち込ませる『うつ』っていうものがママの心から気持ちを盗んでしまい、元気がなくなったというのだ。「それってモンスターみたいなものなの?」恐がるリケを抱きしめてママは言う。「リケもトミーもパパもとても好き。だからモンスターが盗んでしまった楽しい気持ちを取り戻したいから、モンスターを追い出すためにお医者さんへ行くわ」その言葉にやっと安心するリケ。早くいなくなるようにとモンスターの絵を描いて破って捨てて、ママの回復を祈るリケだった。
こころの病にかかった時、小さな子どもにどのように伝えればいいのか? ドイツ人の著者が自身の体験に基づき、目に見えない病気をモンスターにたとえて分かりやすく説明。ウィーン在住の翻訳者も、こんな本が子どもの頃にあったらよかったのにと思いを馳せる。子どもは不安なことがあると対処するすべがわからず、罪悪感でいっぱいになったりするが、本書のように対応すれば病気が具体化でき、親の愛情も感じられる。ヤングケアラーの存在にもスポットを当て、助けを必要としている子どもに比喩や絵を通して手を差し伸べる暖かな絵本。(Y)
◆1600円・225mm×225mm判・44頁・ラグーナ出版・鹿児島・202104刊・ISBN9784910372068

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