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地方・小出版流通センター発行情報誌「アクセス」より

新刊ダイジェスト(2021年12月号発行分)

『チャンポンと鳴る鼓滝 −京都府京丹後市弥栄町船木の民話』●立石憲利著

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長年に渡り民話の採訪を行い、採録した民話一万以上、書籍として刊行してきた民話・昔話集200冊以上ともされる著者による最新民話集である。現在日本民話の会会長、岡山民俗学会名誉理事長、岡山県語りの会ネットワーク名誉会長などを務める。今回はかつて1990年代に著者の旧来の知己の方から送られてきたという京都丹後の弥栄町舟木の採録民話を元とした民話集である。収録されている民話・昔話は、死んだ妊婦による子育て譚「子育て幽霊」、継子いじめの定番である「椎の実拾い」、誰もが一度は聞いたことがある狐の化かし譚「風呂は湿田」等々、おなじみのものが多く、それらひとつひとつに著者もかかわった『日本昔話通観』(同朋舎刊)による話型名と話型番号が振られている。(U)
◆1400円・四六判・163頁・吉備人出版・岡山・202108刊・ISBN9784860696580

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『国家をもたぬよう社会は努めてきた −クラストルは語る』●酒井隆史訳・解題/ピエール・クラストル著

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人類学がその対象とする未開社会とは国家のない社会である。しかしそれは、その社会がいまだ未熟な段階だから、不完全だから、国家を持っていないのではない。その社会が国家を拒絶する社会だからであり、支配と被支配に社会が分裂する契機を絶えず祓い除けてきたからである。それは「国家なき社会」ではなく「国家に抗する社会」なのだ…政治人類学という聞き慣れない学問の場所でこのように国家と権力について深く思索し、ついには国家をその玉座から蹴落とした本書の著者であるピエール・クラストルとは何者であろう。1934年バリで生まれ、ソルボンヌ大学でヘーゲルとスピノザを研究後、構造人類学のクロード・レヴィ=ストロースの学生となり、後に政治人類学研究を開始するも、影響力の極みにあるなか1977年、自動車事故によって他界。日本ではその名はそれほど一般的ではないがすでに『国家に抗する社会』(水声社)といった翻訳書が刊行されているようだ。
本書は、1974年にフランスの地方都市で刊行された独立左派「社会主義か野蛮か」グループによる『反-神話』誌に掲載されたクラストルのインタヴューを収録しているが、「国家なき社会」から「国家に抗する社会」へ、というこの「コペルニクス的転回」について読者はその大枠を知ることができるだろう。さらに、政治哲学者のミゲル・アバンスールによる序文や訳者による長大な解題によって「クラストル的思考」がどんな時代の文脈から生まれ、その後どう展開したのか、より詳細に知ることができるはずである。(N)
◆2600円・四六判・267頁・洛北出版・京都・20211 0刊・ISBN9784903127323

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『立花隆 長崎を語る −長崎が生んだ「知の巨人」 追悼と鎮魂、そして人類』●長崎文献社編/立花隆著

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立花隆はジャーナリスト、評論家と呼ばれる。だが、田口富久長崎市長は本書に寄せた序文で、ピーター・ドラッカーを引き合いに、二人して好奇心の赴くままに社会のあらゆる現象に目を向ける社会生態学者であり、それぞれの手法で当事者感覚をもって直接社会に働きかける実践家であったと記している。見事に的を射ていると言えよう。原爆投下の5年前、爆心地から600メートルばかり離れた長崎医科大学病院で生まれた立花は、キリスト教徒であった両親に連れられ、追われるようにして北京に渡ったことで被爆を免れた。本書には、2011 年の長崎原爆資料館ホールでの講演「次世代に語り継ぐ戦争」、2010年に『土木学会誌』に寄稿した「軍艦島に上陸して思う」など長崎に関わる講演録、論文4点と、2015年の長崎大学での特別講義に基づく「ETV特集 立花隆 次世代へのメッセージ〜我が原点の広島・長崎から」を制作したNHKプロデュサーら身近に接した4名による立花論、家族史として「母の遺稿集と父の『長崎日記』」、初公開の両親と秋月辰一郎夫妻との往復書簡などが収められている。
特別講義では、被爆体験を継承する意義を熱く語り、学生たちに徹底議論させ、考え、言葉にさせ、行動することを求めた。ナガサキ、ヒロシマ、アウシュビッツは立花の生涯のテーマであったという。中でも長崎は特別な土地であり、原点であったことがひしひしと伝わってくる。(飯澤文夫)
◆1300円・四六判・235頁・長崎文献社・長崎・202109刊・ISBN9784888513661

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『ユダヤ人を救ったドイツ人 −静かな英雄たち』●平山令二著

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ナチス体制下のドイツにおいて行われたユダヤ人の迫害。それに加担する人や、見て見ぬふりをする人たちが多くいた一方で、ドイツ人でありながらユダヤ人を救うために力を尽くした人々もいました。本書はそうしたユダヤ人救出に力を尽くしたドイツ人について紹介しています。映画にもなったユダヤ系ピアニストをはじめ多くのユダヤ人を救ったヴィルム・ホーゼンフェルト大尉や、安全な街へユダヤ人を移送するのに尽力したアントン・シュミット軍曹などは軍人でありながら、政府の方針に逆らってまでしてユダヤ人を助けようとしました。それだけでなく多くの民間人もまた、ユダヤ人を自分の家に匿ったり、食料を融通したり、あるいは雇用したりするなどしてユダヤ人たちを助けようとしました。先に挙げたシュミット軍曹はナチス政権下で刑死しましたし、民間人であってもユダヤ人を匿うことは刑罰の対象であり、大きな危険を伴いました。なぜ彼らはユダヤ人を助けようとしたのか?末尾に引かれた救済者たちの行動の動機の調査として、同情や良心に従った結果ということが言われています。
ナチスが社会を牛耳る中でも彼らはそれに踊らされず、自らの正しいと思うことをできる限り行いました。ネット上で排外的な言葉が飛び交い、そうした言辞を弄する政治家がのうのうとその職にとどまることが出来てしまう昨今のこの国において、本書に紹介された人々の姿はとりわけ強い印象を残します。(副隊長)
◆3200円・A5判・226頁・鴎出版・千葉・202109刊・ISBN9784903251202

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『花山院隊「偽官軍」事件 −戊辰戦争下の封印された真相』●長野浩典著

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慶応4年(1868)1月の鳥羽・伏見の戦いは薩長中心の新政府軍が名実ともに新たな時代の担い手となった瞬間であった。以後「官軍」として錦の御旗を掲げて東征へと突き進む。そうした中「偽官軍」事件が起こる。有名なのは相楽総三の赤報隊事件であろう。相楽を隊長とする赤報隊は新政府軍の討幕先鋒隊として利用されたが、厄介者となると一転容赦なく切り捨てられた。「花山院(かさのいん)隊」もまたしかり。従来断片的にしか知られていなかった花山院隊「偽官軍」事件であったが、本書はその経緯を克明に描くことでその全体像を浮き彫りにすることに成功している。尊攘派の志士らが討幕を目的に結成した草莽隊の一つである花山院隊。名の由来でもある公卿の花山院家理を擁立。構成員の内訳は長州藩諸隊「報国隊」(支藩の長府藩に所属)出身が中心。当初、討幕へと隊員たちを焚きつけた藩上層部だったが、鳥羽・伏見の戦いでの勝利を契機に方針を転換、強盗・暴動行為とみなし弾圧し始める。
一方、薩摩藩は彼らの行動を背後から支援していくなど複雑極まりない様相を呈す。事件の期間は、慶応3年(1867)12月6日の天草富岡陣屋襲撃から翌年1月24日の長州藩兵による御許山騒動の鎮圧までのほぼひと月半である。この間、九州幕府領の要である日田代官が逃亡、一時的に権力の空白を生じさせるなど討幕に一役買ったことは疑いない。昭和に入り彼らは「義挙」であると見直される。(I)
◆2100円・四六判・257頁・弦書房・福岡・20211 0刊・ISBN9784863292369

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『小水力発電事例集 2021』●全国小水力利用推進協議会編

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私達が生きていくためには、水、食量、エネルギーの三つの供給が絶対欠かせない。水から米や野菜などの食糧が生産され、水力発電のエネルギーも作られる。このことから水資源の他資源に対する優位性が考えられる。エネルギーとは「仕事をする力」即ち「もの動かす能力」のことを言う。エネルギーの働きは熱を出す、光を出す、動かす、ことである。具体的には自動車、飛行機、工場など動かすが、これらを動かすために石油、石炭、天然ガスの化石燃料を燃やして、現在は経済活動が成り立っている。このことで二酸化炭素を排出し、地球温暖化が進んでいる。二酸化炭素を排出しない再生可能エネルギーとして、水力・風力・太陽光、地熱の利用がある。この年刊誌は、地球温暖化を防ぐ小水力発電の活動に関して、具体的に全国の事例をあげる。
今号の特集では、急峻な山々、豊富な降水量、広大な扇状地に恵まれる水の王国・富山の発電の特徴を記しながら、農業用水を利用し、発電した電力を売電システム化している愛本新発電所、小摺戸発電所、浦山新発電所等を紹介している。富山県内では7大河川には1000kw未満の小水力発電所53か所が設置済み。他県の例として、静岡県富士宮市「家康公揚水発電所」、同「白糸滝養魚場小水力発電設備」、「くまもと県民発電所」小水力第一号となった「南阿蘇水力発電所」、佐賀県吉野ヶ里町「松隈小水力発電所」も掲載する。
 小水力発電システムが地球を救う。(古賀邦雄・古賀河川図書館)
◆800円・A4判・69頁・水のちから出版・東京・20211 0刊・ISBN9784991107924

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『ねむりたりない −新鋭短歌シリーズ57』●櫻井朋子著

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 “親指でスマホの通知なにもかも上に流してねむりたりない”本書は最後の7文字がタイトルとなった歌集。今、若者の間で短歌が静かなブームとなっている。31 文字で表現出来る世界はSNSと相性が良く、ツイッターで短文の読み書きに慣れた世代を惹きつける魅力がある。五七五七七の音律で作る以外に特にルールはなく、俳句と違って季語も必要としないため、現代的な感性を表現しやすく、日記感覚で気持ちを伝えられるのがブームの要因かもしれない。
そんな状況を背景に2013年から「新鋭短歌シリーズ」が1期ごと全12冊で刊行されてきたが、本書は第5期8冊目にあたる著者の第一歌集。“お茶筒がふすりと閉まる瞬間もいつか死ぬって信じられない”冒頭の歌と同様に現実との違和感を表現したり、“あの女も使ったかなぁ出汁巻のうずに差し込む基礎体温計”と嫉妬心を斬新に詠んでみる。4つの章から成り、それぞれ主体は異なり、全てが著者の境遇と一致しているとは言えないが、後半の章では結婚生活や女性といった性を扱った歌もあり、果実や花などの単語をうまく使いこなしている。新聞歌壇に投稿を始め、東京歌壇(東京新聞・東直子選歌欄)年間賞を受賞。その東直子が不安や嫉妬、情念や怒り、憧憬など、あらゆる感情がつまった歌集であり、肉体と感情が幸福に落ち合える場所を探すために歌を作り続けているのでは、と解説。ますますの活躍を期待したい。(Y)
◆1700円・四六判・141頁・書肆侃侃房・福岡・202110刊・ISBN9784863854901

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