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地方・小出版流通センター発行情報誌「アクセス」より

新刊ダイジェスト(2022年02月号発行分)

『白川 千人の石合戦 −大干ばつが招いた水争い』●荒牧邦三著

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白川は阿蘇根子岳を源として、南郷谷を流下し、同じく北の谷を流れる黒川と立野で合流後、右岸側に迫玉岡堰、津久礼堰等、左岸側に畑井手堰、馬場楠堰等によって取水され、熊本平野を貫流し、有明海に注ぐ。昭和9年6月は雨が降らず、白川流域は大干ばつに襲われた。右岸の津久礼堰が取水し、対岸の左岸馬場楠堰からは水が一滴も流れなくなってしまった。津久礼堰は以前から取水のやり方や堰の形状を巡って白川下流の農民から水を取りすぎ、堰が高すぎるとの指摘をされていた。馬場楠堰側の農民40人は津久礼堰の筏流し口に潜りこみ、川底の石を拾い上げ、水の流れを下流に変えてしまった。その結果津久礼堰へ一滴も流れなくなった。津久礼堰側は村中に非常招集の半鐘を鳴り響かせた。時刻は9月1 日の夜明け前、現場では小競り合いが始まった。水喧嘩である。
馬場楠堰側はすぐ堰の下の河原を舞台に一斉に津久礼堰側へ向かって、小石を投げ始めた。津久礼堰側も負けてなるものかと小石を飛ばした。頭にあたって、血を流す人、頭を抱えて倒れこむ人が多く出た。警察官も近づけない。熊本北署長らはこれ以上騒ぎを続けば逮捕する、解散しろ。夕闇迫る午後8時におさまった。農民総出の水喧嘩・石合戦は全国的に珍しい。昭和9年当時では、米の収穫がなかったら農民たちにとっては死活の大問題で必死だった。現在では渇水対策委員会が開催され協議されることになるのだが。なお、津久礼堰は細川綱利、馬場楠堰(鼻繰り井手)は加藤清正の築造である。(古賀邦雄 古賀河川図書館)
◆1000円・新書判・174頁・熊本日日新聞社・熊本・20211 2刊・ISBN9784877556273

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『私がヤングケアラーだったころ −統合失調症の母とともに』●林真司著

書影

近年、テレビ等でヤングケアラーという言葉を耳にするようになった。病気の近親者を人知れず世話する若者が決して少なくないという事実に社会が気付き始めたのである。小学校六年生の時から統合失調症を患った母親を世話してきた著者も、そんなヤングケアラーの一人であった。著者の場合のようにその病気が精神疾患であるとき、当事者たちは家族の病気を周囲に知られたくないと、息をひそめるように暮らすことが多いというが著者もまたそうだった。筆舌に尽くしがたい生活の中、逆に学校では明るく振る舞うことが多かったという。
本書はそんな著者による「後の世代には決して自分のような経験をさせるわけにはいかない、そのためには、苦痛ではあるが決して目をそらすことなく思い出す限りの事実に、真摯に向き合わなければならない」という思いから生まれた。ところで、その青春時代は落ち着いて眠ることもままならない混乱した生活が多かった著者だが、印象的な出会いをいくつか思い返している。ひとりは落ちこぼれた著者を心配して祖母がつけてくれた家庭教師。学校の勉強ばかりではなく社会問題や映画、読書の話を聞かせてくれた。さらに進学した高校の、妙に老成した若い国語教師。牛乳配達をしながら猛勉強して教員免許を取得したという異例の経歴の持ち主だった。これらの出会いが著者の困難を切り開く力の一部となり、やがて、縁あって京都大学心理教育相談室の山中康裕先生と出会う。この出会いがきっかけとなって少しずつだが、しかし劇的に母親の病状は回復していくことになる。(N)
◆1200円・四六判・103頁・みずのわ出版・山口・20211 2刊・ISBN9784864260473

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『社長100人博士化計画』●西村訓弘著

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2006年に三重大学大学院でわが国初の地域イノベーション学研究科の創設に関わり、その教壇に立つ著者は、初め神戸製鋼所に入社し、同社生物研究所での研究で博士号を取得、米国企業研究員に転じ、さらにベンチャー企業創業と、自らをイノベーションし続けてきた。コロナ禍で授業形態に大きな変更を余儀なくされるが、オンライン授業への能動的な取り組みで、教員にも学生にとっても新たな教育効果を生むことに気づかされる。旧来のやりかたに風穴を開けたという意味では、コロナ禍で計り知れない打撃を受けている飲食業や観光業なども同じだ。宅配に活路を見出して4千人もの顧客と濃密な関係を結んだ三重県南伊勢町の漁師や、電子商取引に手ごたえを感じる伊勢市のクラフトビール事業者もいる。地方の衰退は著しい。どうしたら元気と富をもたらすことができるのか。地域イノベーションとは、「地域内での創造的破壊を伴う新結合を生み出すことで新たな価値を創造し、時代に適した新しい社会を創造すること」である。社会人が大学院で学び、博士号を持ってベンチャー企業の社長となり、切磋琢磨することで覚醒し、既成概念を打ち破って地域社会を変えていくのだという。
学問の世界にとどまらず、県とタイアップした若手経営者向け経営塾の開設、高校への出張ゼミと、若手リーダーの育成に東奔西走する。優れたビジネス書であるとともに、混迷の時代に生きる道しるべとして、勇気と希望が湧いてくる。(飯澤文夫)
◆1200円・四六判・193頁・月兎舎・三重・20211 2刊・ISBN9784907208219

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『みんなに喜ばれるお寺33実践集 −これからの寺院コンセプト』●松本紹圭/遠藤卓也著

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近年お寺の経営は厳しい時代を迎えています。都市部ではお寺とは関わりを持たない人も増える一方、地方では過疎化や少子化で檀家の減少が続いています。そして新型コロナウイルスの蔓延はさらにそれに追い打ちをかけています。そんな中どのようなお寺が人々から求められているのか、これからからのお寺はどうあるべきかを考えつつ実践している実例を紹介しているのが本書です。  紹介されているお寺は著者らの開く「未来の住職塾」に関わっているお寺になります。そこでは各お寺の事業計画書を参加者が作成し、それに則ったさまざまな取り組みを行なっていきます。お墓のあり方に一石を投じる「レンタル墓」や仏事のあり方などから改革をするお寺があるかと思えば、様々な人に仏教に関心を持ってもらうための場所づくりや広報などに力を入れているお寺もあります。またお寺どうし僧侶どうしの宗派を超えた互助的な組織を作る試みや学習会の開催なども行われています。こうした様々な取り組みは現に課題を抱えたお寺にとって大いに参考になるでしょう。
また今のところお寺とあまり縁のない人にとっても、色々な企画をしているお寺があることを知ることが出来るのはなかなか面白いかもしれません。檀家でもなければ地元のお寺の門をくぐったりするのは、敷居が高く感じるものです。しかし住職たちも実は地元の人たちにお寺を身近に感じてほしいと思っていることも本書からは伝わってきます。(副隊長)
◆2300円・四六判・307頁・興山舎・東京・20211 2刊・ISBN9784910408156

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