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地方・小出版流通センター発行情報誌「アクセス」より

新刊ダイジェスト(2024年01月号発行分)

『小水力発電事例集2023』●全国小水力利用推進協議会 編

書影

 エネルギーとして水の力を利用する発電は欠かせない。本書は北海道の水力発電の歴史を振り返るともに平成30年9月に起った北海道胆振東部地震により発生した日本初のブラックアウトについて論じる。

 北海道ではじめて電灯が灯ったのは、明治22年に札幌の北海道製麻会社札幌工場で、自家用発電施設による。電気事業は2年後の明治24年に札幌電燈舎が開業する。その後明治39年岩内水力電気鰍フ敷島発電所、明治40年定山渓発電所、大沼発電所、千歳第一発電所、野花南発電所と続く。現在道内で水力発電を行っているのは、北海道電力梶A電源開発梶A北海道企業局、国土交通省、王子製紙梶Aほくでんエコエナジー梶A新日本電工鰍ネどである。戦後、農山漁村や離島への電力供給が進められた。昭和24年から昭和28年にかけて小水力発電所89カ所が設置された。小水力発電所の出力は平均37kwである。

 胆振東部地震は、最大震度7で、震源近く20km四方内の8000カ所以上の地点で地すべりがおき道内で41名の死者が出るなど大きな痕跡を残した。北海道電力苫東厚真発電所では火力発電機3基の内2基が自動停止、稼働していた1基が17分後に停止しため道内全域が停電となるブラックアウトが発生した。水力発電所はブラックアウトに対し、安定的な供給力を果たした。その役割は大きかった。とりわけ王子製紙の千歳発電所が電力を供給する支笏湖温泉では北海道電力から独立した別の電力を供給する体制になっていたためブラックアウトは免れている。(古賀河川図書館・古賀邦雄)

◆800円・A4判・76頁・水のちから出版・東京・202310刊・ISBN9784991107948

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『中世「村」の登場 −加賀国倉月荘と地域社会』●若林陵一 著

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 倉月荘は現在の金沢市北東部で浅野川周辺にあった荘園である。加賀国の荘園では大野荘(金沢市)や熊坂荘(加賀市)などが知られた存在だが、倉月荘も一般的な中世後期の荘園の特徴を持ち合わせていたことがわかる。倉月荘の初見は弘安10(1287)で、それ以前はどうだったのか知りたいところである。

 20年後には亀山天皇の娘・昭慶門院の本家・領家に対し、鎌倉御家人摂津氏の地頭請が成立していた。摂津氏は鎌倉幕府崩壊後も引き続き室町幕府御家人・奉公衆となっており、15世紀半ばには「倉月庄地頭・領家両職」を有するようになる。このことから、この地においても中世後期の現象、すなわち「職の体系」が崩れ、「職の一円化」が進行していたことが確認できる。室町期には摂津氏以外にも複数の領主(禅宗寺院や公家)が荘内に存在しており、複数の「村」の出現との関係が指摘されている。とはいえ、対立関係ではなく相互補完の関係にあったことは見逃せない。

 一方で15・16世紀にこの地において活発化する本願寺勢力・一向一揆が「村」を単位に浸透、この地特有の展開を見せる。倉月荘内の諸江村は「諸江惣村」とも記されるように自治的な村落へと成長していた。本願寺下で「大坊主」寺院のひとつである光徳寺の講中に、木越や大浦などの村が参加するなど各「村」が独自に行動している。かれらのエネルギーが、長享2年(1488)に守護富樫政親を滅亡へと追い込むのである。(I)

◆2700円・A5判・229頁・桂書房・富山・202310刊・ISBN9784866271415

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『元禄の「グラミン銀行」 −加賀藩「連帯経済」の行方』●勝山敏一 著

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 グラミン銀行というとノーベル平和賞も受賞した貧困者に対する無担保低金利による融資で知られています。そのグラミン銀行に似たシステムを著者は江戸時代の加賀藩に見出します。そのひとつが宿続き銀。加賀藩が用意した資金を各浦・各宿の肝煎を責任者とし、それを貧民に貸し出させて商売をさせ、その利益から借り手が一日一文ずつ積立てていき、また必要な者に貸し出していくという制度です。そのほかにも除け銭という賃金からいくらかを積立てておいて、新米の出回る時期に米を買い、春の値上がりする時期にそれを配る制度や、置き米という船主が港から米を運び出す際にいくらかを差し除けておくという制度もありました。

 いずれの制度も貧しい者たちが連帯して資金を積み立てておいて、困窮時にそこから使うという形をとっています。またいずれの制度も町人たち自身の手によって運営されているのも特徴です。著者はこれらの制度について当時の考え方として、生活保障の第一義的責務が民間にあることの表れと述べています。そして民間では対処できなくなると庶民は逃散などの手段で為政者へ訴えました。宿続き銀も逃散対策として加賀藩から打ち出されています。

 また「ただ暮らしせぬよう」など、現代の生活保護を恥とするような視点もすでに見られる点も興味深いところです。これらの制度は明治時代に入るまで約200年続きました。その背景と当時の庶民の思想を解き明かしていきます。(副隊長)

◆2000円・四六判・209頁・桂書房・富山・202311刊・ISBN9784866271439

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『神保町 本の雑誌 −別冊本の雑誌22』●本の雑誌編集部 編

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 神保町と聞けば、本好きならずとも、”本の街”が連想されるであろう。160軒を超える古本屋が居並び、新刊書店、出版社など本に関わる様々な業種で地場産業を形成している。だが、神保町の魅力は、それに尽きるものではないことを、この本は教えてくれる。

 序章の「神保町で遊ぼう!」は、古本屋の愉しみに始まり、コーヒー、カレー、中華、つけ緬、スイーツ、居酒屋、楽器店、スポーツ店、パチンコ屋、さらに、書店スペースで催される浪曲、落語会と、この街の多様さを一気に紹介する。次章「本の街の秘境に挑め!」は、神保町熱愛者の徘徊模様、二階以上にある古本屋の入店難易度、出版社社員によるランチ対決、餃子、おしゃれ酒場などのベスト5と、マニアック度が高まる。古本業界の重鎮は、「神田古本まつり」の呼称を、「神保町古本まつり」に変えたいと熱弁を振るう。終章「やっぱり神保町が好き!」では、街の変化を懐かしむ思い出の神保町語り、この10年で新しくできた古本屋ガイド、神保町系愛書ブログの極致ともいうべき「神保町のオタ」、建て替え中の三省堂神保町本店への期待、出版各社おすすめのランチスポット、コーヒー焙煎のこだわりとダメを押す。

 この街は古いものと新しいものが融合し、小規模経営を成り立たせて雑多な文化を創り出している。裏路地にも発見が。さあ、自分の神保町を探しに出かけよう。(飯澤文夫)

◆1800円・A5判・213頁・本の雑誌社・東京・202311刊・ISBN9784860114848

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『細菌学者の般若心経と相即の知』●吉田眞一 著

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 著書が仏教と出会ったのは、十七歳の時、生まれ育った長崎に南北朝時代創建の臨済宗のお寺があり、同級生に誘われ山門をくぐった時、読経の響きに意味もわからないまま心奪われたという。その年頃特有の悩みや漠とした不安、疑問を受け止めてくれたのもそのお寺の住職と仏教の哲理であった。その後、大学の医学部に進み、細菌や免疫の研究に没頭することになるが、独自に仏教研究で研鑽を積んできた。

 本書はその集大成となるものであるが、仏教の教えを優しく噛み砕いて一般化するといった自己啓発書の類とは一線を画す。著者が本書で繰り返すのは、様々な仏教宗派を貫く「即」の論理構造である。華厳仏教では「一即多・多即一」、般若心経では「空即是色・色即是空」等と言われ、後の時代に西田幾多郎が「絶対矛盾的自己同一」と概念化し、それを継いで在野の仏教哲学者、中山延二がこれを「矛盾的相即」と表現した。「この世にあらわれるものは、必ず矛盾を含んでいる」あるいは「具体的なものは、いつも相手側に根拠を持っている」とも説明される。抗体は常に抗原に根拠をもつ、あるいは、国家試験に通れば医師になれるのではない、患者を診ることで初めて医師になる、と自身のフィールドである免役学や教育現場での事象でこれを説明するところが著者の面目躍如といったところである。この「即」の論理を掴みとったとき、あらゆる迷いが消えた、と著者は言っている。(N)

◆2000円・四六判・292頁・花乱社・福岡・202311刊・ISBN9784910038827

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『老いの俳句 −君とつるりんしたいなあ』●坪内稔典 著

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〈びわ食べて君とつるりんしたいなあ〉〈三月の甘納豆のうふふふふ〉〈たんぽぽのぽぽのあたりが火事ですよ〉などの代表句がある著者。口語で俳句を作り、正岡子規研究の第一人者でもあるが、間もなく80歳の大台を迎えようとしている。

 そこで老いの俳句についてあれこれと考える。もともと俳句人口の大半は老人であり、いつの時代も俳句は老人たちに愛されてきた。しかし、真面目な老人は俳人として面白くはなく、若い時にいい句を詠んでいても、老人になると俳人として魅力を失うということがわかってきた。ここで言う真面目とは一生青春とか生涯現役とか、老いを退ける言い方をすること。また、認知症を防ぐために俳句を作りたいという人が多いが、それは間違いで、よぼよぼ、おたおた、よろよろがまっとうな一流の老人だと説く。傑作と思う俳人たちの句を書き写してみると、ほとんどが若い日の句であることに気づき、呆然としつつも老人の句の二大傑作として〈天の川わたるお多福豆一列 加藤楸邨〉〈爛々と昼の星見え菌生え 高浜虚子〉を挙げる。名だたる俳人でも老人になってからの句は多くが平凡、独善と斬りながらも、同年代の行方克巳の〈空?に象が入つてゆくところ〉というモーロク俳句に出会い、再び希望を見い出す。俳句雑誌や句集の危機的状況や句会の重要さにも言及。俳人、まして老人は尋常や従順を捨て、ハチャメチャに言葉を使うべきと提案する、老いと俳句についてのエッセイ集。(Y)

◆1600円・四六判・213頁・ウエップ・東京・202310刊・ISBN9784866081496

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